ドイツ報告7

ミュンヘンでの見学先の1園目は、39名の割と小さな幼稚園です。その幼稚園に着くと、外見は普通の住宅のようなたたずまいで、幼児施設には見えません。ただ、向こうの方の庭には、遊具が見え隠れしていて、かろうじてここが見学先であることがわかるくらいでした。それは、後でわかったことですが、ここはもともとは個人の住宅でした。それを幼稚園として使ってくださいと寄付したものだそうです。その寄付した人の肖像画が階段の踊り場に飾ってありました。このようなケースは割とあるそうです。それは以前に聞いたところによると、1つには海外における寄付をするという文化があることと、相続の際にかかる税金の優遇措置があるということでした。それによって、近隣の理解もあるそうです。日本では、公が敷地を用意するか、運営者が自ら用地や施設を探してきて、そこで園を開園するというケースが多いようです。そのために、近隣では、経営者が単に自分たちの利益のためにその場所で開演するというように思われてしまうことが多く、開園に対して反対運動が起きてしまうケースも多くなるのでしょう。

1園目の見学先は、ミュンヘン市の隣のハール市において、1999年、一般家庭の住宅であったところを寄付をうけ、開園した小行政自治体立幼稚園です。3歳から6歳まで二クラス39名の園です。スタッフは、1級保育士(大学卒、園長含む)3名、2級保育士(短大、養成校卒)が2名、給食1名、清掃他1名の小さな園です。

クラスは、1階がサラマンダグループ、2階がアナ(穴)グループの2クラスです。まず登園して自由遊びから8時30分から9時までの間に15分間程度「お集まり」がそれぞれのグループで行われます。その時の内容は、子どもたちが興味関心を持っているテーマに沿って行います。最近の2階のテーマは、「昆虫」で、蝶やカタツムリなどを観察するというものでした。そのためにルーペ付きの観察ケースの中に蝶の幼虫が入っていました。また、もし1階のグループの子がその取り組みを知って刺激を受け、自分たちもやりたいと言った時には、時期は少し遅れますが、そのテーマを取り上げます。そして、2階の取り組みで使ったあらゆる資料は、すべて提供するそうです。

その後自由遊びの時間で、園内すべてオープンで、どこで、何をしてもいいことになっているそうです。そして、11時になると、全員が園庭に出ます。もちろん、雨の日でもです。よほどの悪天候の日だけ室内運動遊び場を開放するそうです。もし職員が十分といる場合は、散歩に行きます。行先は、子どもたちが多数決で決めるそうです。

そして、昼食、その後は小さい子を中心として希望者は、13時から14時(たまに14時30分)までお昼寝をします。その時に寝ない子は、45分間本の読み聞かせをします。時間が長いので、二人の先生が交代で読みます。この時間は、絵本ではなく、紙芝居でもなく、いわゆる「モモ」のような長い物語にします。それは、ドイツ語をきちんと習得させるという意味と物語をきちんと理解する力をつけようとする意図があります。そのために、読み始める前に、前日の物語をきちんと理解しているのかを確認します。そして、話しの途中で疑問に思ったことがあった場合、まずその答えはほかの子どもがします。

それにしても読み聞かせが45分というのは随分と長いですね。二人の先生が交代するそうですが、よく子どもたちはじっと聞いていると思います。ワクワクする物語だからでしょう。この経験から、子どもたちは自分で本を読み始めるときにも、随分と長い、絵のない物語を読むようになるのかもしれませんね。

ドイツ報告7” への11件のコメント

  1. もう三年も前になるのですが、私が藤森先生のドイツ・ミュンヘンスタディーツアーに参加した時、お泊り保育の施設を見学したことを思い出しました。あの施設も個人の方がミュンヘン市に寄付して開設された施設でした。それゆえ、施設内は御屋敷のお部屋、お部屋。税金対策なのか慈善行為なのかわかりませんが、東京ではおよそ考えつかない、というか、あり得ないことですね。現在の日本では、金持ちの中には既得権益を保護し、快適な暮らしを維持するため、保育園に集う子どもたちの声を騒音と捉え、保育園の開設に反対する人さえいます。寂しい限りです。さて、少人数の施設であっても、子ども主体の保育展開を中心に据えていること、このことはとても参考になりますね。子どもの選択権を保障し、しかしお昼寝をしない子どもたちには45分間の読み聞かせを保育者はする。しかも、参加する子どもたちのドイツ語習得を意識化して。日本の保育園で先生たちは紙芝居や絵本の読み聞かせをします。「日本語」という言語を意識して実施される読み聞かせはどれくらいあるのでしょうか。

  2. まるで大きな家族、家庭のような環境の中で子どもたちは保育を受けていて、その中でお集まりや園庭、読み聞かせというような専門的な観点からの保育が施されているというような印象です。休日に家族でどこかへ出かけて、それは息子にこれを見せたいからで、そしてこの時間にこれをやって、とプライベートで現場での経験を活かしながら休日の父を担っている時、ふとドイツ報告を思い出したことがありました。確かに、息子が遊んでいる姿をベンチに座ってコーヒーでも飲みながら見ていることがあり、その時の感覚がドイツの保育者の日常的な感覚なのかもしれないと思うと、その感覚的なゆとりの大きさを想像上ながら実感すると共に、とても凄い日常が作り出されているということに改めて考えさせられるものがあります。

  3. なんか家族が過ごしている普通の一日、といった感じの生活の流れになっていますね。そして、個人宅の寄付を受けての幼児施設だということで、ますますその感じが強まります。
    普段の生活の中にこそ、大切なことが溢れているということがドイツの幼児施設の一日をみていくと理解ができるのだと感じます。何かをさせよう、しなければ、そんな気負いはドイツ報告からも感じることができません。感じるのはいつもゆったりまったりとした生活、時間がゆっくりと流れているゆとりを感じます。

  4. 園という概念を崩されるような一般的な家を使用しての保育とは思えないほど、しっかりと子ども主体となる保育が展開されていることに、人的環境の大切さを改めて感じるところです。その環境のなかで、どうすることが子どもが自発的に取り組めるような環境であるのか、子どもの興味を広いあげる、そこから展開していることが、社会的な役割を担った環境であることを感じます。また、読み聞かせの話で45分聞いていることに驚きますが、”ドイツ語をきちんと習得させるという意味と物語をきちんと理解する力をつけようとする意図があります”という意味合いをもちながら意識した取り組み、子どもたちがワクワクするような話、やはり、興味を向かせることが私たちは、子どもへ対する役目として存在している一つなのかなと思い、そこに専門としての意味合いを持たせることが目的をもった取り組みと考えられます。

  5. 個人の住宅を「幼稚園として使ってください」と寄付してくださるなんて、素敵な話ですね。その背景にそもそもに寄付をするという文化があることと、相続の際にかかる税金の優遇措置があるのですね。それによって、近隣の理解が生まれるとあり、善意は良い連鎖を生むなと感じています。また、このような小規模園が元個人住宅で行われることは、児童養護施設が小規模型へ、できる限り移行していく方針のように、よりアットホーム感が出るのかなと思いました。そして、今回最も驚いたのが、寝ない子対象の「45分間の本の読み聞かせ」です。他の子が寝ているので、良いなと思いますが、さすがに長いなあというなが正直な感想です。でもやってみたいなと思いました。

  6. やはり、印象に残る部分は45分の読み聞かせですね。「ドイツ語をきちんと習得させるという意味と物語をきちんと理解する力をつけようとする意図があります。」という意図は素晴らしいですね。まずそれを始めた時の子どもたちの姿を知りたくなります。確かによほど面白い物語であり、前回の内容をしっかりと復讐するたありもよりその内容の深いところまでいける理由でしょうね。また疑問に思ったところを訪ね、子どもがそれに答えるという形は子どもが説明をすることで学びが更に深まることに繋がりますね。大人も説明をすることで、深まります。それを子どもから実現できる環境ですね。

  7. 一軒家に39人もの子どもたちが生活していると考えると多いですね。家をベースにした保育園では普通の保育園と違いがあるのでしょうか。実際に環境を見てみたいという気持ちになりました。読み聞かせに45分と書かれていました。文章にも書かれているように子どもたちが集中して聞けることがすごいなと思います。それだけ、わくわくするような話であり、保育者の方の引きつける技術もあるのでしょうね。この取り組みには、きちんとドイツ語を理解できるようにという意味もあるのですね。3.4.5歳児クラスのお集まりでも長くて10分程度、紙芝居や絵本を読むくらいです。子どもたちがわくわくするような話はどんなものなのか、集中して聞けるような読み方はどんな読み方か、すいすい番で、今度長めのお話を読んでみたいと思います。

  8. 以前のドイツ報告で自宅を幼稚園のような施設に寄付するという話を聞きましたが、近隣の理解があるというのは良いですね。日本では、特に東京都内の場合はまず反対運動が起きるでしょう。その辺も文化の違いというか、国民の子育てに対する意識の違いを感じました。
    45分の読み聞かせは確かに長いですね。どうしても日本の読み聞かせは基本的に絵を見せながら、そして5分〜10分で終わる絵本が多いかと思います。やってみようと思うのですが、話す方も子ども達にワクワクさせるような読み方であったり、細かい気配りがあってこそ、45分も集中して聞けるのかもしれませんね。

  9. 海外の寄付をする文化と、税金の優遇措置があるとはいえ、国として、個人が子どものたちの園を作ることを考える仕組みがあるというのはいいですね。こうした考えが幅広くあるからこそ、日本のような園が新しくできることによる子どもの騒音問題などはないのでしょうね。「子ども環境を大切にすれば、その後の国の経済が潤う」そんな経済の基本もうまく利用しながら、国民全体で子ども環境について積極的に考えていける意識を作っていきたいですね。

  10. 個人の自宅を教育施設に寄付するというのはドイツではあることなのかもしれませんが、日本ではと考えると驚いてしまいます。それだけ、教育施設の重要性を多くの人が感じているという表れでもあるのかもしれませんね。朝の会で、子どもたちが興味を持ったものを取り上げているというお話が印象的でした。室内にやたらと蝶のポスターなどが貼ってあった意味が理解できました。朝の会を使って子どもたちの興味を掘り下げていくというのはおもしろいですね。朝の会や帰りの会での子どもたちの集まり方に困っておられる園の話をお聞きすることがありますが、このように子ども自らの興味が広がっていくような工夫があると、またお集まりの時間も楽しいものになるのではないかと感じました。

  11. 具体的な一日の流れですね。なるほど、朝の時間お集りの時間になっているのですね。オープン保育とはいえ、すべてがそうではなく、「緩やかな一斉保育」の形がとられているのですね。その時にテーマのことに沿って話し合うというあたりいかにも海外っぽいですね。また、その後、各部屋それぞれに遊びが広がり、オープン保育の体系や散歩になっていくのですね。また、お昼寝も選択ということもあり、私の園でも同じようにしていますが、5歳や4歳でも自分で選んでいるのを見るとやはり子どもは自分の調子はしっかり分かっているのだなと感じます。絵本の読み聞かせが45分というのは驚きです。そこまで集中力が持つのか。この時どう動機付けをしているのかとても気になるところです。

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