ドイツ報告15

三日目に訪問した園は、「小さな科学者」という取り組みをしている園ですから、園のコンセプトは、「小さな科学者」「統合保育」「地域とのつながり」「保護者とのつながり」であり、「すべての物事に対してオープンな心を持ち」、「何事も決めつけない」、「新しいものに取り組むことにもオープン」、「子どもに指示はせず」、「子どもと距離を置いて見守る」です。

子どもが楽しむということが最優先課題であるために、保育プランには、ねらいは立てません。たとえば、「子どもが松ぼっくりを見つける→先生に見て!見て!と言いに来る→先生は一緒に見てみようとする→子どもの疑問には一緒に考える→その手順の記録をとる」

この記録がポートフォリオと呼ばれるものとなり、子どもの関わりながら書いていき、いつでも保護者が見ることができるように置いておきます。また、その記録は、主に写真構成になっています。

テーマに沿った手順には、「実験」「数学」「自然科学」「情報」の四つありますが、その中で情報が最も面白かったそうです。しかし、手順はマニュアルではないので、個人の得意、個性を生かすことが大切です。今年のテーマは、「何か動くものを見つけよう」というものだそうです。

三日目の午後訪れたのは、1958年に小学校として建てられた建物を34年以来幼稚園として利用しているシュタイナー幼稚園です。シュタイナー幼稚園というのは、ルドルフ・シュタイナー思想である人智学に基づく保育実践園です。シュタイナー園は、ドイツが発祥ですが、なかなか見せてくれるところがないために、今年訪れた園は、ほぼ毎年訪れている園です。ですから、その報告は毎年書いています。

この園は0~3歳児が10名、3~6歳児が二クラス50名で、スタッフは清掃スタッフを含んで9名です。7時から登園、8時から10時まで自由遊び、11時前後のおやつを食べ、11時30分から12時30分までが外遊び、13時から14時が昼食、その後外遊び、16時45分に閉園です。どの園でも、デーリーを聞くと、昼食が遅いのにはびっくりします。日本では、随分早いために、午前中の活動がバタバタになってしまうことが多いのですが、ドイツでは昼食があるために、ゆったりと午前中を過ごすことができます。

保育は、自然素材の遊具、ワックスを使ったお絵かき、卒園児による手芸などが特徴的です。また、昼食の献立も曜日ごとに決まっており、保護者が当番制で作り、園にデリバリーします。メニューは、月曜日はスープ、火曜日はジャガイモ、水曜日はピザなどリクエストメニューでお楽しみ、木曜日はヌードル、金曜日はライスが中心です。おやつは、月曜日がコメを使ったもので、牛乳がゆなど、火曜日はクラッカー、水曜日はフィルゼという穀物クッキー、木曜日は麦を脱穀したパン、金曜日はミューズリーという押麦に牛乳を入れたものです。保育のメニューとしては、水曜日は園外活動、木曜日は粉をひく、金曜日はオイルトミューです。

今回、毎年訪れているので、シュタイナー独特の装飾を中心に写真を撮ってみました。自然素材、絹の布、人形などを上手に使っています。

ドイツ報告15” への10件のコメント

  1. 装飾が美しいですね。自然物を活かしながら、絹の布、そういった素材の取り入れ方がシンプルなようでいて斬新に映ります。そういったアイディアというものは湧き出るものなのか、何か見本があるものなのか、どちらにしても園でも取り入れていきたい装飾の工夫だと思いました。
    昼食の時間についても既成概念を打ち破るというのでしょうか、当たり前のように思っていることについて深く考察する癖が身についていないことを改めて実感してしまうのですが、確かにそれだけゆっくりに設定されていれば昼の時間の取り方というのもゆとりを持つことが可能になるでしょう。午睡については前回の報告に挙げられていた園同様寝たい子が寝るという方針なのでしょうね、まるで夏休みに田舎に帰省した時のようなあののんびりとした雰囲気を想像しました。

  2. 昼食の時間については確かに驚きます。昼寝するのは寝たい子がしていると、前回の報告にありましたので、そのようになっているのでしょうか。なんとなく昼食は「この時間」と決めつけているような、自分が頭の固いことが分かりますね。ドイツ報告から伝わってくるゆったりとした感じはこのような柔らかい頭も必要であるのかと思いました。
    そして、写真の装飾は素晴らしいものですね。見ていてトイストーリーみたいに人形たちが動いているような、そんな感覚になりました。

  3. 今回のドイツ報告で学びとなったところは、まず『「すべての物事に対してオープンな心を持ち」、「何事も決めつけない」、「新しいものに取り組むことにもオープン」、「子どもに指示はせず」、「子どもと距離を置いて見守る」』です。「見守る保育」が提案している保育内容と一致していますね。私が勤める園でも、子どもの自主性を尊重しています。階上フロアから階下の0,1歳児室の様子を観たくて降りて来る4,5歳の子どもたちがいました。そして、掲示されている0,1歳児の子どもの写真を指差しては「〇〇ちゃんだよ、この子好き」などと私に話しかけてくれました。私は、私が勤める園も「オープン保育」が実現している、と何だか嬉しくなりました。次は「手順はマニュアルではないので、個人の得意、個性を生かすことが大切です。」という部分です。日本の園でもプロジェクト保育や課業、ピラミッドメソッド等のマニュアルに基づいて保育実践を展開している園があります。しかし、目指すべきは、私が二番目に学びとなったところでしょう。

  4. 園のコンセプトを読んでいるだけで、重要視された子ども主体である保育が展開されることが基準となっていることが必要であることを感じさせられます。ひとつひとつの事柄にも大人が中心となることを感じさせない、子どもがもつ好奇心や探求心を抑制することなく、引き出してあげれるような環境づくり、この中には、しっかりとした規則も存在し、自由だけが先行しない、規則も遊びの中で、学ぶといった日本では、まだまだ先生が、教えることが多く、それがスタンダードになっている現状もある中、私たちができることを考え、取り組みが必要な気がします。子どもが何かに目的をもち、行動しようとするときには実現できるような保育者の受け入れる心、そこが、”「新しいものに取り組むことにもオープン」”に繋がるようなことを感じ、普段の保育でのオープン保育が実際に行われているが存在していることを改めて考えることができました。

  5. どれも魅力的な園のコンセプトがありましたが、中でも「すべての物事に対してオープンな心を持ち」、「何事も決めつけない」、「新しいものに取り組むことにもオープン」、「子どもに指示はせず」、「子どもと距離を置いて見守る」というのは、オープンという言葉が入っているものの、もはや見守る保育なのではないかと思えるほどです。
    シュタイナー幼稚園は自分の行った回でも同じ園に行かせていただきました。写真の通り、独特の装飾が綺麗でしたし、人形劇という言い方で合っているのか不安ですが、そのショーを見せていただいたこともあってか、とても印象に残る園でした。さらにドイツではどこもそうですが、園庭に意図した障がいがあったことなども勉強になったことを覚えています。

  6. 各園それぞれにコンセプトがあり、そのコンセプトに沿って保育する徹底力というか、職員の団結力のようなものを感じます。それだけ、各園で方針や理念を共有し、職員間のコミュニケーションもしっかりとれているのだろうと想像できます。日本の保育園は、昼食が早すぎるためにバタバタしてしまうとありましたが、確かに午前中が一番忙しいかもしれません。子ども主体の保育をするためにも、保育者が余裕を持っていないと難しいのかもしれません。ドイツ報告を読んで、オープン保育や参画、小さな科学者や保育体制など、参考になるところが多くありました。こうした、ドイツの保育を知ることで、自分たちの保育を見つめなおすことにもつながります。今の保育がよりよくなるために、できることを見つけ考えていきたいです。

  7. 今回の報告もとても参考になる内容です。子どもがな楽しむということを最優先のため、ねらいは立てませんと書いてありますが、藤森先生が講演でも散歩に行く場合、散歩に行く途中で珍しい虫や植物を見つけ、子ども達がそれらに対して興味を持つ事が大切で、散歩に行く事が目的ではないとも言われたのを思い出しました。それこそ子どもによって興味関心が違います、その違いを保育者は認めてあげて、個々の能力、関心を伸ばしてあげる事が大切ですね。保育の原理原則である、子どもの自発性、主体性は世界共通です。

  8. ポートフォリオの記録はやはり、報告を聞く限りやってみたいと思う気持ちが湧いてきますね。子どもの興味を一緒に考え、それを表に出し保護者に伝えるというのはやはり、保護者側からしてみたら嬉しいですし、信頼感というのも増すように思います。個人個人の記録としても残るため非常に一石二鳥というかたは間違っているかもしれませんが、そんな印象を受けます。シュタイナーの園というのはやはりとても素朴ですね。独特な装飾に目を向けるといいとこ取りをしていきたいなと感じます。

  9. 「子どもが楽しむということが最優先課題であるために、保育プランには、ねらいは立てません」という言葉がとても印象的でした。ねらい、計画というのが日本はどうしても強いですね。そのあたりの原因については藤森先生のお話で理解することができました。計画、ねらいとなるとどうしても子どものをその方向へと誘導してしまう姿勢が強くなってしまいますね。そこからは「子どものが楽しむことが最優先課題」という言葉はきっと生まれないだろうなと思ってしまいます。また「手順はマニュアルではないので、個人の得意、個性を生かすことが大切です」という言葉もありました。このことは本当に大切にしていきたいですね。「無理はしなくていい。それぞれの得意分野を活かす」という先生の言葉とかぶります。

  10. 「小さな科学者」の取り組みで「保育プランには、ねらいは立てません」というのはとても日本では考えられないですね。しかし、確かに子どもたちに興味関心はその時、その瞬間によって違ってきます。その瞬間瞬間を大切にすることがこういった考えに向かうのでしょうか。また、「子どもが楽しむ」という視点を持つことはとても大切なことだと最近特に感じます。つい大人は「子どもを楽しませよう」としてしまいます。しかし、その気持ちが強ければ強いほど子どもたちにとっては大きなお世話になってしまっているように思います。伝えるべきものと子どもが個性を発揮していくこと、そのバランスをとることはとても難しいように思います。しかし、子どもを一人の人格者と捉え、子ども自身から動くような保育をしていくことが本来の意味での保育に近いのでしょうね。

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