ドイツ報告14

ミュンヘン市での見学も三日目に入りました。幸い、毎日天気には恵まれ、とてもいい気候です。また、21時30分くらいまで明るいので、なんだか得した気分です。

午前中の見学は1996年に設立された定員50名の幼稚園です。3~6歳児まで異年齢2クラスです。スタッフは、クラスに約2.5人の保育者、給食1名、清掃等1名、計7名です。0.5名の保育者は、異文化担当の保育者で、2クラスを随時移動します。

この園では、「小さな科学者たち」の認定を毎年受けている園で、認定証が何枚も壁に貼られています。二日目の午後も認定を受けた園でしたが、その園の見学と、三日目の午前中の園の見学に、ミュンヘン市の「小さな科学者たち」の担当責任者が一緒に参加してくれました。

実は、今回、初日の午後、私と現地で保育者として幼稚園に勤務していて、日本からのツアーのお手伝いをしてくれるベルガーさん(日本人)と、私の助手として一緒にドイツに来ている森口君と三人で、ミュンヘン市の学校局を訪れたのです。それは、昨年ブルグで紹介しましたが、今までミュンヘンで大変お世話になっていた幼稚園局長のグレッチェさんが、レーゲンスブルグへ移動になって、新しい局長さんになったからです。学校局で出迎えてくれたのは、局長さんほか、視察担当責任者と、今回、見学先の要望の一つの科学への取り組みに対して、「小さな科学者たち」の責任者の3人でした。そこでは、それぞれの国の課題について話をしました。少子化、保育者不足、待機児、様々な事情は、随分と似ています。

その学校局でお会いした科学担当の女性が、昨日と今日の午前中に参加して、質問を受けてくれたのです。私と森口君と、彼女はどのような出身だろうか?彼女は大学で何科で学んだのだろうか?科学の専門家なのだろうか?などと話していました。そこで。ベルガーさんに聞いてみました。すると、「保育者出身です。保育者の時に自らその分野を研究し、実践し、その後教育局に入って、その担当になった。」ということでした。もちろん、昨日お会いした局長も、視察担当も、教育局の部局の中枢の人たちは、皆、保育者、園長経験者です。それは、「研究者である前に、まず保育者であれ!」と言っているようです。しかも、局長さんの年齢は聞きませんでしたが、かなりお若い方でした。ですから、現場にいたのは最近のことのようです。また、視察に参加してくれたということは、現場に良く足を運ぶということでしょう。私の園で言えば、都庁の役人さんが、常に現場に足を運び、共に保育を語るということになります。ちょっと考えられませんね。

子どもたちは、家で、園庭で、降園で見つけたものを園に持ってきて並べ、それを観察することからいろいろと発見をしていきます。もし、専門的な知識が必要であれば、保護者に協力を頼みます。園庭には、お父さんたちが作った足の裏の触角を促すような道が作られてあったり、園庭の隅には、石がごろごろと敷き詰めた場所があり、子どもたちは虫眼鏡を持って、石の観察か、石の間にいる虫の観察をしていました。

このような「小さな科学者たち」の取り組みは、もともとは持続可能教育の一環としてユネスコから提唱されたもので、この地域の園長たちが集まって、1日半、保育者は1日研修をするそうです。そこでは、子どものヒトとなる視点、地産地消の考え方、ごみの分別などを学ぶそうです。

 

ドイツ報告14” への10件のコメント

  1. 「研究者である前に、まず保育者であれ!」胸が熱くなりますね、その土壌があってこそのドイツの保育の進展なのだと理解することができます。どこか海外の大統領が一日タクシーの運転手を務め、国民の意見を聞こうとする取り組みをテレビで見たことがあります。カツ丼の味を伝えるには実際に食べなければその美味しさを伝えることは難しく、実体験に基づくからこそ言葉や政策に意味や意義、真実味や迫力などが備わるのでしょう。簡単なようで簡単ではないことを、最早当たり前のように取り組まれているドイツ文化の水準の高さに驚いてしまいます。

  2. 今回のブログを読んで、思わずため息が出ました。「都庁の役人さんが、常に現場に足を運び、共に保育を語るということになります。ちょっと考えられませんね。」全く想像することもできません。公立保育園で勤務した保育士さんが庁舎勤務に転じているケースが私の住む区にもあります。そして、検査担当になったり、障がい児検討会担当になったり、しています。しかし残念なことに「保育者の時に自らその分野を研究し、実践し、その後教育局に入って、その担当になった。」とはどうも思えません。人事からの辞令ひとつで庁舎勤務している、そんな感じを受けます。園検査に同行する区の担当の方は、計画や記録を観ては、ここが足りない、記録の連関性がなっていない、などの評価を下します。しかし、私が勤める園の取り組みを公平に評価してもらっていないような気がします。一体、何なのでしょう?「現場に良く足を運ぶ」行政担当者、これもBEPを活かす試みなのでしょう。保育所保育指針はやはりガイドラインですね。BEPは本当の保育計画です。

  3. 〝昨日お会いした局長も、視察担当も、教育局の部局の中枢の人たちは、皆、保育者、園長経験者です〟とあり、ドイツの役所の担当の方は保育者出身の方が多いのですね。現場を知っているからこそできること、分かっているからこそできることは現場で働く人たちの気持ちを考えてあるもので、役所と現場を確実につないでくれるような気がします。
    そのような仕組みになっているから「本当に子どものためになること」や「どこに重きを置くべきか」というようなことがしっかりとあり、保育が展開されているのだと感じました。

  4. 「小さな科学者たち」の認定証というのは、毎年、更新されていくのですね。この認定証の枚数を見る限りでも、子どもたちに必要な環境を日々、考えながら準備していることが推測されます。また、”昨日お会いした局長も、視察担当も、教育局の部局の中枢の人たちは、皆、保育者、園長経験者です”というのは、驚きでした。考えると、こういった環境というものは、子どもたちに必要な環境であるのかを現場で実際に感じている人、さらにその思考をもち、現場を見ることができる、といったところが子ども主体である保育として、オープン保育が成り立つ要因にもなっているのだと感じました。

  5. 「昨日お会いした局長も、視察担当も、教育局の部局の中枢の人たちは、皆、保育者、園長経験者です」とありました。これは羨ましい環境ですね。ドイツのスピーディで効率の良い取り組みの背景的要因を知れた気がします。さらに「研究者である前に、まず保育者であれ!」という言葉がとても響きました。現場を知らずして、子ども、特に子ども集団の研究は難しいですね。また「都庁の役人さんが、常に現場に足を運び、共に保育を語るということ」は日本では聞いたことがないですし、おそらく皆無でしょうね。正直ドイツの園を取り巻く環境が羨ましく感じてしまいます。

  6. 「研究者である前に、まず保育者であれ!」という言葉が特に印象的でした。保育の現場を知りその上で研究を続けることの重要さをとても感じます。現場を知っていることと知らないことでは、全く考え方も変わってくると思うからです。私も、保育の現場に入るまでと今とでは考え方も変わりましたし、子どもがどこまでできるのかや、保育者の仕事内容、子どもたちとの距離感の難しさなど大きなギャップがあることを知りました。
    「都庁の役人さんが、常に現場に足を運び、共に保育を語る」という例えがありましたが、それが実現できたら大きな変化があるのかもしれませんね。今、実際に現場で子どもたちと関われる時間を大切にして、保育を学んでいきたいと改めて感じました。

  7. 都庁の役人が現場に足を運んで保育を語る・・・確かに想像ができません。それが可能であるドイツだからこそ、常に子どもにとって一番良い保育が何か?そして変える事への何の躊躇もないのかもしれません。「研究者である前に、まず保育者であれ!」この言葉は響きますね。軌条の上での理論ではなく、まずは現場で子ども達の姿を自分の目で見る事が一番大切な事だと言われているように捉えました。それから理論を語る事で初めて納得する保育論だと思います。

  8. 「都庁の役人さんが、常に現場に足を運び、共に保育を語るということ」という例えは衝撃的ではありますね。そして「研究者である前に、まず保育者であれ!」という研究のことだけを学んできた人ではなくまずは子どもを知るということから始めていることから土台の暑さを感じさせます。この内容に関してこの研究をするにあたって興味があるからこそしているのですかね。適材適所といいすが、子ども知っていて尚且つ科学が好きという側面もあるのですかね。とにかくその熱意が良い保育を生み出していることは間違いなさそうですね。

  9. 学校局への訪問、とても貴重な体験をさせていただきました。そして、そこで会った科学担当の女性ですが、私もてっきり科学系の大学を出た人なのかなと想像していたのですが、保育者出身であると聞いて驚いてしまいました。「研究者である前に、まず保育者であれ!」という言葉はとても胸に刺さります。科学の取り組みも乳幼児施設の子どもの発達に合わせた取り組みが必要ですし、だからこそそのことを一番理解しているのは、保育者であるのかもしれませんね。実際の現場の私たちが自信を持ち、発信していくことの大切さを改めて感じました。また、身近なものを観察し、そこから科学につなげていく姿勢もとても参考になりました。このような視点を私たちが持つことで、子どもの活動はどんどん広がっていくのかもしれませんね。

  10. 「科学ゾーン」を作るとなると、職員のみんなはすぐに「理科の授業」を思い浮かべます。確かに自分自身を考えても、そう思うだろうなと思うのですが、「科学」を「自分が不思議だと思うことを考える」と捉えたらその広がりは無限にあります。「子どもたちは、家で、園庭で、降園で見つけたものを園に持ってきて並べ、それを観察することからいろいろと発見していきます。」こういった入り口でもいいのでしょうね。そう考えると科学はそこら中にあるのでしょう。大人は「知っている」から伝えてしまいます。しかし、子どもたちからしたら、もっともっと「知りたい」が世の中にあふれているでしょうね。そんな時、大人の距離感はとても重要ですね。近すぎてはいけない。子どもたちが持っている興味関心を深めるためには大人はどうあるべきで、どう介入し環境を作ることが必要なのか考えなければいけませんね。

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