ドイツ報告13

今年、ドイツに行く前にどのような取り組みをしている園を見学したいのかという問い合わせが来ました。そこで、最近取り組み始めた「オープン保育」を行っている園、そして、子どもの権利条約を批准したことをきっかけに行い始めた「参画」についての要望をお願いしました。もう一つ、日本では保育所保育指針が今年から実施されていますが、その中で実際に取り組みにくいものに「文字・数・科学」があります。特にその中で科学は、どう取り組んでいけばいいのか迷う園が多いと聞きます。そこで、以前ドイツを訪問した際に、「小さな科学者たち」という取り組みを知りましたが、実際にその取り組みをしている園を見たいと要望しました。

この「小さな科学者」という取り組みは、ドイツベルリンから提唱され、最近の科学離れを減らそうということで幼児期から科学に親しませようという試みです。そして、この取り組みに積極的に取り組んでいる幼児施設には認定書を発行することにしたのです。現在、ミュンヘン市の中で認定されている園は、45か園だそうです。もちろん、認定されていなくても科学についてどの園でも熱心でしたが、今回、認定されている園を二か所見学することができたのです。その一つが、二日目の午後に訪れた園です。

まず、科学に関係するものがびっしりと棚に並んでいます。どれも子どもが興味を持ちそうなものです。その横には、科学実験をするときに着る白衣がかかっていました。ちょうど私たちがその部屋に入ると、ある子どもたちが電気についての実験をしていました。窓際の棚には、そのためのさまざまな器具が置いてあります。バッテリー、豆電球、それらをつなぐ電線、スィッチ、そして、プロペラなどです。机の上では、子どもたちは、バッテリーにコードをつなぎ、豆電球を光らせていました。もう一つの棚には、バッテリとスイッチをコードでつなぎ、そのコードをプロペラにつなぎ、プロペラからバッテリーと違う極にコードをつなぎます。スイッチを入れると、プロペラが回る仕組みです。見た子たちは先生が見ている前で行っていましたが、一人で取り組みたい子の場所も確保されていました。

科学だけでなく、オープン保育は、子どもたちがやりたいことに取り組むために、それぞれのゾーンには、非常に物が豊富に置かれてあります。

また、昨日の園同様に大人の近いような工具が並べられています。釘打ちやのこぎりの扱いなどは危ない気がするのですが、私の園でも行っているように、作業は必ず工作台の上で行い、釘を打つときとかのこぎりで木を切るときには、木を万力に挟んで行います。ですから、きちんと子ども用の工作台が工具の前に置かれているのです。

そのほかにも、たとえば、学校ごっこをしている子どもたちを見ましたし、恐竜をテーマに大きな箱で恐竜を作ったりしている部屋もありました。子どもたちはどこで何をするかが自由のため、保護者にどの部屋ではどのような活動をしたのかを知ってもらうために、私の園では、紙にその日の活動を書いているのです、この園では、保育室の入り口にあるディスプレイに映像で放映し、その下にその説明が書かれてあります。

園庭では、ドイツでは夏の間、プールに入ることはせず、水遊びをします。また、どの園にもあるのが、大きな石がごろごろと置かれ、木を組んだトンネルや木の小道が作られています。

ドイツ報告13” への10件のコメント

  1. 素晴らしい環境設定ですね。大人でもワクワクするような環境で、そのワクワクとした気持ちはそのまま子どもたちが感じる好奇心そのものなのだと思うと、大人、保育者がワクワクするような環境こそ子どもたちの心に響く環境なのだと言い換えることが出来るのかもわかりません。
    過去のドイツ報告にもプールを行わないことについて触れられていました。「伝統を見直そう」という年間テーマで取り組んだ時のことを思い出すのですが、ある先生がパジャマという伝統について見直してみたいというような内容の話をしていて、とても斬新だと思いました。現在取り組んでいるものについて考えてみることは、とても大切なことだと改めて思います。

  2. 室内も戸外も環境が整っていますね。科学の環境で白衣があるのはなりきって科学に集中出来るような環境設定でしょうね。
    保護者へのその日の活動の伝え方も「なるほど」と感心します。
    園庭の写真から自然の中そのままであることが伝わってきます。〝ドイツでは夏の間、プールに入ることはせず、水遊びをします〟とあり、この時期の子どもたちにとってどのようなことをすればいいのかというのが考えられている印象を受けます。この自然いっぱいの園庭でどのような水遊びを行うのか気になりました。

  3. それにしても、モノがしっかりと取り揃えられていますね。写真をみると、その多さにビックリします。しかも、科学に親しむ環境が抜群に整えられている。そして、子どもたちの興味関心に寄り添って部屋が機能的に運用されているところは、環境設定する行政担当者の本気度、心意気、真剣さを感じます。日本の保育行政担当の皆さんは、いわゆる「検査」項目の遵守に躍起になっていますが、保育所保育指針に記載されている内容については、計画や記録とか安全とかについて重点的に見ますが、乳幼児教育の何たるかを踏まえた検査とはどうしても思えないところがありますね。子どもがアクセスする保育環境の豊かさの創造は日本の乳幼児教育現場の大きな課題であると言えるでしょう。「保育室の入り口にあるディスプレイに映像」、ゾーンが部屋ごとに分かれているならば、とても有効な情報伝達手段ですね。とにかく、保育室を年齢別の部屋から解放することが日本の課題ですね。

  4. 幼児期から科学に親しませようとすることへ対することで、認定書があることは、しっかりと続ける必要性があることを示しているように感じました。この科学の環境は、大人も子どもも楽しめる環境ですね。科学へ対する取り組みは、園でも行われているのですが、ドイツでいうところの認定書がもらえるところまではといったところです。子どもが楽しめるものを大人が楽しいと感じ、その楽しむといったところには、どちらも同じであると思いました。子どもの姿を見ながら環境を変えていく必要性を感じます。

  5. 私がドイツに行かせていただいた回にも「小さな科学者」を日常の活動に取り入れている園が1園あり、そこで科学実験をいくつか体験させてもらったことを思い出しました。好奇心が普通より薄いと自分で自分のことを評価していますが、科学はそんな自分でも興味をそそられ、帰ってから学童の子どもたちを対象に体験したことをそのまま活動に取り入れた形で科学実験を行いました。子どもの頃に好奇心を様々な角度から刺激してあげることが、大人になってからの興味関心を向ける幅や質に関わってくると思いますし、好奇心と言えば「科学」だと思うので、科学ゾーンの充実を今後より図っていきたいと思えました。

  6. こんな環境で、生活できる子どもたちのわくわくするような姿が想像できます。特に、科学ゾーンの充実具合には、驚いてしまいます。豆電球やプロペラでの実験は小学校の授業で体験した時、とても面白かったことを思い出しました。また、工作で釘を打ったりノコギリで切ったりというのは、東京ではなかなかない体験かもしれません。保育園に通う子どもたちがこうした体験ができるのは素晴らしいことだと思います。そして、そのための環境作りもまた、私たちのやるべきこととして大切だと改めて感じました。

  7. 「小さな科学者」で認定書を発行するシステムは職員もモチベーションが上がりますね。日本でも理科離れが起きていることを聞きましたが、乳幼児期に遊び感覚で科学を取り組むことで、科学に対する意識が変わる可能性は大いにあると思います。写真のような環境を設定するには、マニュアルというか、認定書をもらえる為の基準があるのかもしれませんが、そこが気になるところです。電池で豆電球が点灯したり、プロペラが回ったりを、単純な仕組みでも立派な科学あそびになります。自分の小学生の頃の理科を思い出して環境を用意するのもいいかもしれませんね。

  8. 科学については「積極的に取り組んでいる幼児施設には認定書を発行する」とあります。これは子どもたちにしっかりと出来る約束が守れる子に渡すような認定証を渡している時期があったことを思い出します。やはり、認定されることで自身に繋がることもあるのでしょうね。ドイツのスタンダードがそこに現れているような印象です。

  9. 科学についての取り組み、環境、本当に刺激を受けるものばかりで、興奮しました。物も豊富でしたね。あれだけ揃っていると「さて、今日は何をして遊ぼうか」と子どもたちも相当ワクワクするのではないかと想像しました。そういった意味での環境設定もあるのかもしれませんね。水遊びもまた水の楽しさ、不思議さを十分に楽しめるような環境になっていました。ワクワクでいえば、大きな石や木のトンネルもワクワクするような環境でした。子ども心をくすぐる環境でしたが、子ども心をくすぐるというのはしっかり子どもの発達にあった環境ということでもあるのかもしれませんね。

  10. ドイツの保育環境を見ていて思うのは「子どもでも本物を持たせる」ということでした。ある意味で「子ども扱いしない環境」というのでしょうか。日本では「危ない・危険」といわれるもの場所であっても、ドイツではそこに意図を持たせてあえて用意している様子はまさに今の日本の全く逆の価値観でもって子どもたちを見ているように感じます。すべてを取り除くのが子どもたちにとって本当にいいことなのか。怪我が起きても大丈夫な環境作りが本当にいいことなのか、問いかけられているように感じました。日本は子どもたちにとって過保護な環境なのだと思います。まだまだ、子どもの権利条約の内容を実現できていない部分は多くあり、考える必要があることや理解しなければいけないことは多くあります

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