敵対と協力

実証研究では、 R&Tと子どもの活発なゲーム遊びとの密接な関連が見出されているそうです。R&Tで役割を交代したり、追いかけたりすることは、鬼ごっこのようなゲームで役割を交代したり、走たりすることと類似しているということがわかっているそうです。青年期に近づくにつれてR&Tは特に男児で、主張や社会的優位性の確立と維持へと次第に組み込まれていきますが、それというのも、優位性には敵対的戦略と協力的戦略を用いることが必要なためであると言われています。

さらに、 R & Tに特徴的な上位と下位の役割をどちらも経験することは、おそらく社会的コンピテンスと関連していると言います。たとえば、ヒト以外の霊長類の証拠から、リスザルの子どもは上位(相手を押さえ込む)や下位(相手に押さえ込まれる)の役割を経験する遊びの戦いを行う機会を奪われると、後にそれぞれ弱いものいじめをしたり、「臆病者」になったりすることが示されているようです。この研究は、ある意味では、いじめ問題のヒントになるかもしれません。よく、異年齢を経験したり、異年齢集団ではいじめが起きにくいと言うのも、このことが理由の一つかもしれません。異年齢では、強いものと弱いものが固定化せず、どちらの立場も経験することができるからです。3歳の時には、どんな強い子でも5歳の子に押さえ込まれ、5歳になると、どんな弱い子でも3歳を抑え込む経験をすることができるのです。

このようなことから、男児のR & Tには、骨格や筋肉の発達を促すといった即時的利益があると考えられますが、攻撃行動や戦い、社会的な竸争について男児に何かを教える働きもあるようだと考えられるのです。さらに、戦いごっこに特徴的な役割交代を行うことにより、男児は上位の役割と下位の役割を経験することができるのです。それはあらゆる競争的な相互作用において役立ちますが、とりわけ優位性や最終的に配偶者を選ぶことをめぐって他のオスと対決する上で役立つと考えられているようです。

これらのR & Tの利益は、男児は女児よりもR & Tを行うことが多いという事実と一貰しています。特に男児が優位性を確立し維持するのに用いる行動形式はR & Tに見られる形式に類似しており、狩猟採集社会におけるオス間競争(原始的な武力衝突)に関連した活動に酷似していると言います。さらにもっと大局的に考えると、R & Tに関連する狩りや戦いの利益はすべて、進化適応の環境におけるオスの役割をも反映していると考えられます。

他に、ままごとにも性差が見られます。男児と女児は6歳頃まで同程度に乳児に興味を示します。しかしそれ以後、女児は平均して男児より赤ん坊に対して応答的になり.このことはままごとの発生率にも表れているそうです。この傾向は伝統的な狩猟採集社会でもアメリカのコホートを通じても、文化を通して報告されており、現代の西洋文化に特有の価値に限定されるものではないことが示唆されているそうです。ままごとでは、母親、父親、赤ん坊などの、複雑で相互的な家族関係が構築されることが多いようです。ピッチャーとシュルツによると、「幼い頃からすでに女児はこれらの役割の詳細と繊細さにかなり精通している」と言います。対照的に男児のファンタジー遊びは、力や優位性、攻撃性が中心になりやすく、R&Tの一環として行われることが多いと言われています。つまり、男児と女児のファンタジーを遊びの特微は、後に成人して果たす、あるいは.進化適応の環境においてたしかに果たされてきた役割、たとえば、オス間竸争、子育てに先行するものと見なすことができるとビョークランドは言うのです。

敵対と協力” への8件のコメント

  1. 「異年齢では、強いものと弱いものが固定化せず、どちらの立場も経験することができる」新年度が始まり、5歳児クラスの子どもたちが一気にお兄さんらしく、お姉さんらしくなったような印象を受けましたが、一番大きかった子たちが就学し、異年齢クラスの筆頭に立った実感がそうさせたのかもわかりません。発達の近い子同士が自然と近付き、遊びを展開させている日常を思い出し、なるほどそれは異年齢保育であるからこその日常なのだということに改めて気付かされる思いがしました。

  2. いじめの原因について〝異年齢では、強いものと弱いものが固定化せず、どちらの立場も経験することができる〟とあり、異年齢で過ごしていることが一つカギとなるのかもしれないという見解がありました。
    そのように考えていくと、昔の家族の中にきょうだいがたくさんいた頃は、いじめ問題は起きていたのでしょうか。ジャイアンのような子はいたでしょうが、現代のいじめのような問題は起きていないのだと思います。
    異年齢で過ごすというのは、初めて触れた時には目からウロコでした。遊び相手を自らが選べる環境があるのとないのとでは、そのような後々の人間のメンタル面に影響を与えていくということになるんですね。

  3. 敵対関係の先に獲得された優位性、そのステイタスを基盤にした協力関係の確立、ホモサピエンスとして半世紀以上生きてきた私にはこのことがよくわかります。そして、もの心着いてよりこのかた、個人主義と平等などなど個人の位置取りに関わる、様々な情報を得てきました。「勝ち組」「負け組」、それ以前は「ナンバーワン」、そしてやがて世界の潮流の中で「ナンバーワンになれなくてもいい、・・・オンリーワン」的情緒的思考が蔓延する社会で生きてきました。「弱肉強食」を「焼肉定食」と揶揄していたころは極めて平和でした。今や、世界のあちこちで「弱肉強食」ゲーム再会の兆しが・・・。「異年齢では、強いものと弱いものが固定化せず、どちらの立場も経験することができるからです。」とあります。ホモサピエンスの歴史はまさにこの通りでしょう。「異年齢」≒発達差異≒民度相違≒文明度合≒・・・。「いじめ」の発生は均質、画一を求めて来てた、似非平等主義の結果かもしれません。それぞれ違いがあることを私たちは共通理解しなければならない、と思うのです。違いが許される社会は平和な社会であることを私たちは歴史から学ぶことができます。

  4. リスザルの実験から見られる上位、下位の役割を経験する遊びの戦いを行う機会があることにより、将来的にいじめたり、臆病になることを避けることができることから、人のいじめの問題についてのヒントになるということがありました。これが異年齢のなかでは、最初は押さえ込まれてた経験から押さえ込むような経験をするようになる、こういった経験をすることにより、立場のなかでの振る舞いがわかるように思います。それがR & Tという遊びの形から、経験ができるのは興味深く感じます。祖先の時代には、こうした遊びが日常的にあったことからそのなかでの即時的利益があったり、遅延的利益として、助け合ったり、協力するような考えの一つの根本になるように考えることができます。異年齢のなかで、立場を互いに知る、知らせる、また教えるような振る舞いをすることで、優劣のようなものを互いにつたえあっているものを子どもたちから感じたのは、そうすることが”進化適応の環境においてたしかに果たされてきた役割”という観点から見れば、必要な社会的要素なんだと思います。

  5. 「ヒト以外の霊長類の証拠から、リスザルの子どもは上位(相手を押さえ込む)や下位(相手に押さえ込まれる)の役割を経験する遊びの戦いを行う機会を奪われると、後にそれぞれ弱いものいじめをしたり、『臆病者』になったりすることが示されているようです」とあったことが印象的でした。さらにいじめ問題のヒントともあったように、異年齢でいじめが起きにくい事実の裏付けにもなるように感じました。そして、最後にファンタジー遊びにおける性差の特徴としてのまとめが「後に成人して果たす、あるいは、進化適応の環境においてたしかに果たされてきた役割、たとえば、オス間竸争、子育てに先行するものと見なすことができる」とあり、自分の中ですっきりした気持ちになりました。これらのように全てはつながっている、連鎖していると考えると感慨深いものを感じています。

  6. 異年齢の中での経験というのは、本当に子どもにとって重要な事だと理解できます。とくにイジメの原因という視点からすると、異年齢の経験によって起きにくくなるというのは重要な考え方だと思います。逆の見方からすると異年齢の方が年上が年下をいじめるのではないか?という疑問があるかと思います。しかし子ども達を見ていると、そんなことはなく、ブログにも書いてあるように女児の特徴として乳児に興味を持つと書いてあるように、年下に対してはお世話をしてあげる姿をよく見ます。そして時には注意をしたり・・・。そうした年下の経験、年上の経験、両方をすることで、それぞれの気持ちを理解することで、自分より低い者に対しての接し方を学び、結果的にイジメが起きにくくなるのでしょう。

  7. 「この研究は、ある意味では、いじめ問題のヒントになるかもしれません。」とあり、この研究のありかたを知ることで、より異年齢のありかたというのも幅が広がる思いです。やはり、人間は様々な「経験」が大事だということがよりわかります。やってみなければわからないことは世の中には多くあります。やって、やってもらう関係というのは両方の経験をするこたとでより他者理解そして、人の気持ちに気づくことができるのですね。そんな異年齢の必然的な環境のすごさを改めて感じます。

  8. 「異年齢では、強いものと弱いものが固定化せず、どちらの立場も経験することができるからです。3歳の時には、どんな強い子でも5歳の子に押さえ込まれ、5歳になると、どんな弱い子でも3歳を抑え込む経験をすることができるのです」とありました。異年齢で生活することがいかにいいかということを改めて感じるような結果ですね。確かに、同年齢ではそれぞれの立場を経験するというよりも、立場が固定されてしまいますね。このことを経験してないと弱いものをいじめてしまうようになるということが分かっているということは多くの人に知ってほしいことでもあります。また、男女のファンタジー遊びの特徴が、後の人生においての役割の違いに起因するというのも興味深いです。子どもというのは本当に意味のあることを行なっているのですね。

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