ファンタジー遊びの性差

女児の方がファンタジー遊びを好むという性差は、言語課題で女児が男児より優れているという結果と一致しています。ファンタジー遊びにおける性差に関するさらなる考察をビョークランドは行っています。

遊びのテーマは一般的に、利用できる道具に内在するテーマに従うことになります。驚くことではないのですが、子どもが医療に関するテーマを示す道具を使って遊んでいるときには、その遊びはその医療のテーマに従って進んでいきます。いわゆるお医者さんごっこをしているときです。しかし、プロックや廃物の発泡スチロールなど、道具に明示的なテーマがあまりない場合には、遊びのテーマにはもっと多様性があります。さらに、道具にあるステレオタイプ的な性役割は、ふり遊びの精緻さの度合いやレベルに影響を及ぼすことがわかっています。人形など女児が好むおもちゃを使って男児が遊ぶ場合は、男児が好むプロックなどのおもちゃを使って遊ぶ場合よりも精緻ではないそうです。実際、年長の就学前の男児が、女児が好む道具を使って遊ぶときには、年少の男児がそれらで遊ぶときよりも精緻ではありません。私たちは、このあたりをもっと意識して保育の中で観察する必要がありそうです。

このことから、子どものふり行動は、この時期に性役割のステレオタイプに準拠し始めることが示唆されます。つまり、男児は女児が好む道具を使って遊ぶことは避けるべきものと見なすようになります。この議論と一致して、女児が男児の好む道具を使って遊ぶ場合は、女児の好む道具を使った遊びよりも精緻ではありません。

歩行期の男児は女児より、異性の活動や遊び道具を避ける傾向が高いことを実証した研究もあるそうです。たとえば、25ヶ月の女児はステレオタイプ的に男性的な活動、女性的な活動、中性的な活動を同程度に模倣しましたが、男児は対照的に女性的な活動よりも男性的な活動と中性的な活動を模倣することが多かったそうです。さらに男児は2歳の時点で、中性的な道具を使って相互作用する時間が長く、性のステレオタイプについての知識をもち、女性的な活動を避けていました。男性役割に与える社会的価値の大きさもたしかにこの性差の一因となっているでしょうが、これだけ幼い時期に性差が現れることから、男児は女児よりも早くから強く性ステレオタイプ的な行動をとりやすい可能性があることが示唆されます。

3歳を過ぎるまでに、ふり遊びは、仲間と共にかなり精緻に社会的役割遊びを行うスキルを伴うものとなるようです。こうした社会的な役割遊びをスミランスキーは「社会劇的遊び」と名づけていますが、かなり複雑な物語が演じられていることは、よく現場では見ることができます。たとえば、 2人の3歳児が、医者の道具と人形を使って、相互に関連した一連の短い会話のやりとりをつなぎ合わせて遊ぶかもしれないのです。たとえば、こんな子ども同士の会話をビョークランドは紹介しています。ジョアン:うわぁ、赤ちゃんがベトベトだ。スーザン:うわぁ、ベトベト。ジョアン:きれいにしてあげて。スーザン:終わったよ。ジョアン:赤ちゃん病気なの。

このような会話を私たちも聞くことが多くありますね。

ファンタジー遊びの性差” への8件のコメント

  1. 大人が子どもに性差を押し付けることはよくないですね。いわゆる男女の刷り込みを大人が子どもにしてしまう行為です。これは避けるよう保育者の皆さんは意識する必要がありますね。但し、今回のブログにおいて言及されているように「年長の就学前の男児が、女児が好む道具を使って遊ぶときには、年少の男児がそれらで遊ぶときよりも精緻ではありません。私たちは、このあたりをもっと意識して保育の中で観察する必要がありそうです」これは本当にそうですね。男女の性差は子ども自らが行動に現してくる、ということでしょう。「性役割のステレオタイプ」を子どもたちが有していることにも注意を払いたいですね。それは極めて自然な形でそうなる、ということで、そこには強制や第三者による恣意性が介在する余地は基本的に認められません。男の子だから、女の子だから、これは子ども一人ひとりが確認することでしょう。大人のバイアス、これは意識しなおすことが肝要でしょう。

  2. 「子どものふり行動は、この時期に性役割のステレオタイプに準拠し始めることが示唆されます。」現在盛り上がっている遊び、そこになぜいつものメンバーが関わり遊びを展開させているのか、日常が紐解かれるような思いがします。普段疑問にも思わなかったことが何とも奥深く研究され、こうして文章化されたものを読めることはとても有難いことです。同時に子どもを見る視野が広がるような気がしてきます。研究結果を前提に環境を設定したり、そこで生まれた遊び等の姿について職員間、保護者と話題を共有したり、良いサイクルが巡る日々というのは掛け替えのないものですね。

  3. 今回の題名を見た瞬間に「女の子の方が」と思いましたが、その通りで安心しました。ですが、男の子がファンタジー遊びをしていることなど性差が基本的に見られるものについて、こちらの刷り込みや偏見の目はいらないものになりますね。〝ふり遊びは、仲間と共にかなり精緻に社会的役割遊びを行うスキルを伴うもの〟とあり、そこに男女差はないはずであるからです。
    ですが、〝男児は女児が好む道具を使って遊ぶことは避ける〟など今までは気づかなかったことも書かれてあったので、これからその部分など注目してみていけます。また新たな気づきが生まれそうです。

  4. 年齢に比例するのではなく、その遊びがどうであるものなのかを具体的としてとらえれなければ、ファンタジー遊びのなかには、精緻がないことがないことを考えることは、重要なことだと感じました。性差による好む遊びによって遊び方に精緻がないことを思うと、園のこどもたちの姿からも当てはまるものがある気がします。分けるわけではありませんが、こういった性差によるものがあることへもっと理解を深めていきたいです。

  5. ファンタジー遊びにおける性差も興味深いですし、「道具にあるステレオタイプ的な性役割は、ふり遊びの精緻さの度合いやレベルに影響を及ぼすこと」もとても興味深いです。内容の通りの子どもたちの遊ぶ姿が思い返されます。新しい知見や研究で示されたことがしっかりと子どもたちの姿として思い返される経験ができていたことに今更ながら感謝の気持ちでいっぱいです。経験が当てはまることでより理解が深まります。そして、最後にある「社会劇的遊び」の子ども同士の会話と同じような内容の会話を今まで何回も聞いてきました。聞き流してしまっていたことを後悔せざるを得ませんが、こうやって思い出せるだけでも良い経験だったと感じています。今後はこの性差を意識した上で、子どもたち同士の関わりを観察しつつ、理解を深めていきたいと思えました。

  6. 「歩行期の男児は女児より、異性の活動や遊び道具を避ける傾向が高いことを実証した研究もあるそうです。」という研究もあるのですね。その時期からの遊びの道具ですでに性差が生まれ、子どもたちは遊びを選択しているということですね。そう考えるとやはり環境設定というのが大きな意味を成してきますね。刷り込みのない環境設定の大切さと接し方など考えさせられます。

  7. 刷り込みがあるわけではありませんが、ままごと遊びのようなファンタジー遊びは女子が好んで遊ぶ印象があります。しかし10カ条には「男女による刷り込みを持たない」と書かれてあるように、子ども自身が自分で好きな遊びを取り組めるような環境を用意する事が大切です。でも、面白いのは性差による遊びは25ヶ月には性差が表れるということです。この時期から保育者は男女としての遊びにおける性差を理解し、環境を用意し、関わる必要があると思いました。

  8. 「子どものふり行動は、この時期に性役割のステレオタイプに準拠し始めることが示唆されます。つまり、男児は女児が好む道具を使って遊ぶことは避けるべきものと見なすようになります」とありました。男女の発達としてそのような傾向になっていくというのはおもしろいですね。環境による影響ばかりを考えていましたが、そもそもそのような性質を持っているというのはなるほどなと考えさせられました。また「さらに男児は2歳の時点で、中性的な道具を使って相互作用する時間が長く、性のステレオタイプについての知識をもち、女性的な活動を避けていました」とあり、2歳くらいでそのような姿を見せるようになると言われているのですね。確かに、1歳児クラスぐらいの子になると男の子なら、乗り物、女の子なら人形をよく持っているようなイメージがあります。選択肢としてそれらどちらを環境として用意しておくことも大切ですが、そのような傾向があるということを知っておくのもまたおもしろいですね。

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