友達

継父の存在が思春期の加速化に関連する家族のストレスの一因になっているとする推察も興味深いとビョークランドは考えています。この解釈から示唆されるのは、家族の生態学的要因に対応して女子がたどる代替的な発達の道筋は、適応的な繁殖戦略、つまり、子育てより相手の獲得に投資することと直接関連するものではなく、もっと単純に血縁関係にない男性の存在に反応したものかもしれないということだと言うのです。娘が早く思春期に達するのは、ヒトより親の支えを必要としない哺乳類の繁殖適応度を一層高めるメカニズムへの先祖返り的な反応かもしれないと言います。ヒトのように血縁関係のない男性が父親となり、継子に何らかの投資をする場合、加速化した思春期によって、家族のストレスが高まり、娘は家庭外の経験を求めたり、仲間と性的関係をもったりする一因となります。

しかし、良好な父と娘相互作川があれば発達は遅くなるという結果から、実態はもっと複雑であり、おそらく、もともとのベルスキーらの主張の方が的確だろうと言います。女子が思春期の時期に関わる長期的な環境条件にどのように反応し、それに関連した精神性的行動を起こすのかといった複雑な相互作用をさらに検討するためには、さらに調査が必要だと言います。しかし、これらの効果が最終的にどんなものであるかに関係なく、女子は、女子ほどではないが男子も 、そういった要因に敏感であり、結果として別の発達の道筋をたどり、繁殖戦略に違いが生じることが今ある資料から明らかだそうです。

歩行期の子どもの仲間関係もこの時期に始まります。同種個体間の親密性は血縁関係に代わりえるものとして、持続する協力的相互作用の機会をもたらします。歩行期の子どもを対象にした研究では、知らない者と比較すると親しい者同士の間の社会的行動がより複雑で好意的であり、この点を支持しています。友達の定義を肯定的な感情を伴う相補的な相互作用を繰り返し行う人々とすると、歩行期の子どもにもたしかに「友達関係」が見られます。同様の基準がヒト以外の霊長類の友達関係についても見出されているそうです。

子どもの友達関係は、決定的に仲間関係です。子どもの友達関係は通常、「友達」としてお互いに指名し合った子ども同士と定義されます。友達は互いに、行動的にも態度的にも似ている傾向があります。たとえば、2人とも活発な子ども同士の方が、ひとりが活発でひとりがおとなしい子どもより友達同士である可能性が高いと言われています。ヒト以外の霊長類では、友達関係は緊密な親和的絆と定義されます。子どもの場合と同じようにヒト以外の霊長類でも、友達を友達ではないものとは異なった扱いをするそうです。たとえば、「友達」と他のチンパンジーのけんかの仲裁をしたり、チンパンジーの乳児が自分の母親の「友達」と選択的に付き合ったりする例があるそうです。

友達同士は友達ではない者と比較して、量的にも質的にも行動が異なります。量的には、友達同士は相互作用をすることが多いと言われています。葛藤も多いですが、解決に至ることが多いようです。実際、ピアジェは、仲間との相互作用を通して、葛藤を解決する技が磨かれていくと主張しました。この点に関してネルソンとアボウドは、3,4年生の子どもを対象として、友達あるいは友達ではない顔見知りの相手と対人的な問題を議論した結果によって、社会的知識がどう変化したかを評価しました。