優位性

人同士の関係をもっと抽象的なレベルで考察すると、優位性という構成概念によって、社会的構造つまり社会的集団が分離せずに一緒にいる過程を説明できると言います。優位な立場の者は、限られた資源、たとえば、食料、配偶者、就学前の子どもの場合ならおもちゃなどを入手できることが多いので、いろいろな手をつかって、優先的な地位を手に入れてそれを維持しようとします。このように多くの点で、優位性は社会的発達を説明するのに理想的な測度なのです。なぜなら優位性は個人の行動が、どのように、より一般的な集団構造や凝集力と関連しているかを説明するからだと言われています。優位性は特定の個人の相互作用様式や、その相互作用が資源の入手に与える影響を反映する変数です。しかし、優位性が、ある集団のすべてのメンバーではなく、特定の個人間の相互作用を反映しているのだということは知っておかなければなりません。なぜなら、特にその集団が大きい場合、集団のすべてのメンバー同士が相互作用するわけではないからなのです。この個体淘汰は、群淘汰ではない考え方からすると、個体は最もよく相互作用をする相手との相対的な地位を知ることしかできないはずです。この考え方からは、集団全体における地位には意味がないと言うのです。

子どもの優位な地位は、ヒト以外の動物に用いられる方法で測定することができるそうです。それは、個体の二者あるいは三者関係を観察することによって優位性の階層を決める方法です。このマトリックスでは、相互作用は勝ち負けという観点から得点化されるそうです。優位性の階層は、竸争的な相互作用の過去にもとづいて形成され、よく勝つものが階層の頂点に、よく負けるものが底辺を占めるのです。階層とは、ある集団のすべての個体の直線的な推移関係という点から記述されることが多いそうです。つまり、「AはBより優位であり、 BはCより優位である。したがってAはCよりも優位である」ということが記述されます。このような優位性の階層によって、集団内の対立が減り、乏しい資源を分配し、分業に集中するようになってきました。

優位な立場にある、あるいは、第1位の個体やその血縁者は、食料や配偶者などの資源を優先的に手に入れることができます。個体は攻撃的な相互作用戦略と協力的な相互作用戦略を組み合わせて使用することによって、優位性を確立し、維持します。戦略の選択は、集団の生態にも、関連するコストや利益にも影響を受けるのです。さらに、優位な立場にある個体の子どもは、たとえ戦いや社会的スキルに欠けていても、父親や母親のおかげで高い地位を得ることができますから、血縁地位も関連があるだろうということは容易に推測できます。

優位な個体のレバートリーに協力行動が含まれていることから、より伝統的な優位性の概念からは外れていることになります。先に述べたように、優位性は敵対的な対決という観点から、またある場合には、注目構造によって定義されるのが通例でした。しかし、力だけで、個体群が分離しないで一緒にいることの説明がつくわけではありません。たとえば、研究者が時折観察しているように、なぜ強くて優位な立場にある個体が、公然と打ち負かした個体をなだめたり、慰めたりするのだろうか?という疑問です。