継父の投資

さまざまな文化において、継親の継子への投資が実子への投資よりも少ないという説を支持する実証的な証拠が得られているそうです。アンダーソンたちによるアメリカ合衆国での研究では、継子が家族から大学教育のために実際に受けている金銭的支援が、実父母がいる子どもよりも大幅に少なことが報告されています。また、南アフリカのコサ族の高校生を対象とした関連研究でも同様の結果が得られており、父親が実子にかける金額は、継子にかける金額よりも有意に多かったそうです。

1988年の全米教育縦断調査のデータを用いた別の研究では、全米の中学2年生の母集団から抽出された人々について、上記と同様の結果が見出されていると言います。継家族では、子どもの教育費としての貯蓄額が少なく、子どものために貯蓄を始めた時期が遅く、子どもの将来の教育費への予測金額も少なかったそうです。しかし、実父母の子どもへの投資量よりは大幅に少ないものの、継子も継家族からかなり多くの資源の配分を受けていました。

また、アンダーソンたちの研究における観察では、継父が継子と過ごす時間が、実子と過ごす時間よりも有意に少ないことが示されているそうです。アメリカ合衆国のデータでは、父親が継子と過ごす時間は、実子と過ごす時間よりも、1週間当たり約3時間少ないことが示されており、南アフリ力のデータでは、継父が実子と行う相互作用が、継子との相互作用よりも1年当たり約84回多く、継子との相互作用が一週間当たり約1.62回少ないことが示されたそうです。

また、南アフリカの父親は、宿題や英語を話す練習を手伝う傾向が、継子よりも実子に対して高かったそうです。同様に、アメリカ合衆国および南アフリカのデータを用いた最近の研究では、養母や継母は、実母よりも食費の支出額が少ないことを示す証拠が得られていると言います。

マーロウによるハッツァ族の観察研究では、継子が継父から受ける世話が、実子よりも大幅に少ないことが示されているそうです。マーロウは、父親は継子よりも実子について、そばで過ごす時間、コミュニケーション、抱く、食べさせる、なだめる、きれいにするなどの養育行動が多いことを見出したそうです。実子と継子とで、扱いに最も顕著な差が見られたのは、父親が子どもと遊ぶ時間だったそうです。ハッツァ族の継父が継子と遊ぶ場面は、一例も観察されなかったそうです。面接では、多くのハツツア族の人が、継父は継子と実子を同じように世話をし、同じように思っていると報告していることを考えると、こうした結果は特に興味深いとビョークランドは言います。またおもしろいことに、直接的な質問をした場合には、約半数の継父が継子に対する感情が実子に対するものよりも弱いことを認めたのだそうです。ハッツァ族の人々が考える、あるべき理想の姿と現実の姿とに落差があるのは明らかだと言います。マーロウは、このずれを欺まんの一種と解釈しており、それが「継父は良い父親であるべき」というイデオロギーの促進につながっていると考えているようです。カリプの血縁者を中心とした田舎のコミュニティに関する複数の研究でも、同様の結果が得られているそうです。文化を超えて結果の類似度は非常に高く、「継子への投資は実子より少ない」ことが示されているそうです。