シンガポール報告12

いよいよ講演最終日です。この日は、午前中に3,4,5歳児を持った保護者向けに3時間、午後は0,1,2歳児を持った保護者向けに3時間講演です。まず、保護者が3時間も聞いているだろうかということが心配でした。日本では、保護者講演の場合は、1時間から多くて2時間講演のことが多く、3時間もやったことがありません。しかも、子ども連れで来て、その間子どもたちは待っているのだろうかという不安もありました。

会場は、1日目と同じ会場で、丸テーブルに座ります。テーブルの真ん中には、風船のディスプレーが置かれてあります。今回の講演会は、オープンではなく、事前申込者に限ったものでした。それは、セキュリティの関係で、入り口では、きちんとチェックしていました。その脇では、「見守る保育」の本の販売をしていました。その並べ方は、以前紹介した紙皿とスプーンの芸術的な並べ方と同じでした。

また、会場のロビーでは、協賛として、乳酸菌飲料がチケットと交換で配られていました。現地では、1本4Sドル(約324円)もします。隅では、待っている子どもたちのために、制作コーナーと、マジシャンによるマジックショーを行うそうです。私は中にいたので、どのように行っていたのかわかりませんが、講演中3時間子どもたちが会場内に入ってくることはありませんでした。

今回、会全体を仕切っている代表はアイリーンさんという非常に頭のいい女性ですが、彼女は会全体を見て臨機応変に進めていきます。今回の話す内容ですが、私は保護者講演の時には、とても気を使います。それは、たとえば、英語教育を早い段階からあまりやらない方がいいと思ってそのことを話したら、その園では早くから英語教育に熱心に教えている園であったらまずいからです。ですから、よく知っている園でしたらいいのですが、そうでない場合には、事前にどのような保育を行っているのか、たとえば異年齢保育なのかなどを聞いておきます。ですから、あまり特殊な、また、私の園での実践は話さないようにします。特に、動画や写真はあまり使いません。保護者はそれがいいと思って、園に要求したり、自分の子どもが通っている園と比較したりしてしまうことがあるからです。そんなわけで、用意した内容は、今後どのような社会になっていくのか、高校、大学入試がどのような問題になっていくのか、そのためにどのような力が子どもに求められているのか、そのために家庭では、子どもにどのように接したらよいかなどを話す予定にしていました。

しかし、アイリーンさんから、事前にメールで、あの時の動画を見せてください、あの話をしてくださいなど送ってきました。それだけならいいのですが、話している最中でも、バンバンと流す動画を要求してきます。そして、どの時間までにまとめるようにとか、タイムスケジュールも指示が飛んできます。私も、すぐに切り替えるわけにはいかず、何とか話の流れをそちらの方に持っていったり、全体の話が通じるように変えていきます。アイリーンさんからすれば、それまでの三日間の話の内容、流した動画、紹介した写真をすべて覚えていて、それを指示してくるのです。私ももともとは、聞き手の顔や態度によって、話す内容を変えていきますし、午前、午後と同じ話でもいいと言われても、自分自身がつまらないので、つい違う話を入れてしまっていましたから、今回のように指示されてもそれほど困らないのですが、通訳は大変だったでしょう。

通訳についても、最初は皆さんにイヤホーンをつけてもらい、同時通訳の予定でしたが、今回一緒に行ったメンバーの中で二人英語が堪能なので、彼らに訳してもらうことになったのです。私は、結果的に良かったと思います。私が話して、区切ってそのあと通訳をしてという間が、聞き手にとって、頭に入れるのに、また整理するのによかった気がしました。