第何子?

一夫多妻の家庭では、母親の行動が、同父同母きょうだい間の結束を促進していると考えられていますが、父親からすれば、子どもは全員、自身の遺伝子の半分を保有しているので、自身との関連度は同じです。母親が誰であれ、自分の子ども全員が協力し合うことで、父親の包括適応度は高まります。しかし、一夫多妻の家庭で母親がもつ視点はこれとは違うようです。社会および宗教的価値観に反するものではありますが、母親の包括適応度は、自分の子ども同士の結束、一夫多妻の家庭では同母きょうだい間の結束を促進することによって、最も高まると言うのです。

きょうだいと比較して、自分にどれだけの投資を親がしてくれるかということに、子どもが敏感であるとすれば、家庭内の出生順位はその子どもの行動に重大な影響を及ぼしているはずです。このことは、上述の新しいきようだいが生まれたときの第一子の反応を検討した研究結果でも触れています。出生順位が性格の発達に与える影響については、心理学でも長く研究が続けられてきたそうですが、得られたデータは相反するものが非常に多いそうです。家族内の出生順位がその人の発達を形づくる上で顕著な要因であることは確かなようだと言うのです。しかし研究では、たとえば、長子、末子あるいは中間の子であることが、発達に普遍的な影響を、それは個人に特有の影響ではなく、どの程度与えているか、ということが争点とされてきました。

科学史学者であるフランク・サロウェイは、出生順位が性格の発達に与える影響を進化的視点から解釈し、自然淘汰によって子どもは家族内の相対的地位と関連のある資源関連要因に敏感となったと主張しているそうです。特に、子どもたちは家族内のニッチを得るために互いに競争をし、それが子どもの性格形成につながると言います。サロウェイの説では、長子は親の注目や資源を伝統的な社会的ルートから獲得するため、誠実性が高いのですが、経験への開放性が低い傾向があるとされているそうです。

その一方で、長子は自身の高い地位を年下のきょうだいからの脅威から守らなければならないため、同調性は低くなると言うのです。後に生まれる弟妹は反対に、成功や親の注意を得るための別のルートを探し、地位の高い兄姉から頻繁に受ける圧力に抵抗しなければならないと言います。その結果、弟妹は共感性が高く、個人主義的傾向が強く、また、サロウェイのことばを引けは「反逆者」である傾向が高いと言うのです。こんな分析を聞くと、自分のきょうだい関係を見直してみてしまいます。また、自分はきょうだいの中で何番目かを意識してしまいます。そして、確かにと思い当たることも多くあります。でも、それだけでもないという気もしてきます。

そんなこともあって、サロウェイは、出生順位は重要な要因ではあるものの、相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない、と指摘しています。出生順位の他には、親子間の葛藤の大きさ、きょうだい数、性別、年齢、親を亡くした年齢、社会階級や気質が、相互作用しながら性格に影響を与えているということは、予測されることです。

第何子?” への10件のコメント

  1. フランク・サロウェイ氏の「出生順位が性格の発達に与える影響」、とても面白い主張ですね。「でも、それだけでもないという気もしてきます。」思わずクスッと同感の微笑の湧いてくる思いがしましたが、そのようにしてヒトの性格なり、性質なりが形作られているとすれば、その子、その人を知る上で出征順位を知ることは意義がありますね。動物占いを読んでいる時のようなワクワクした気持ちになるのですが、そのようなことをきっかけにしてヒトを理解できる、こういった研究はヒトの思いやりを深める力をもっていますね。

  2. 「第何子?」と尋ねられれば「4人の子の中で第一子」と私は答えます。「母親の包括適応度は、自分の子ども同士の結束」と書いてありましたが、わが母はそれどころではなく、家のために一所懸命に働いていました。おかげで、私自身「きょうだいの結束」を意識することなく、極めてやりたいように育ち今に至りました。「長子は親の注目や資源を伝統的な社会的ルートから獲得するため、誠実性が高いのですが、経験への開放性が低い傾向がある」へぇ~そーなんだ。「確かにと思い当たることも多くあります。でも、それだけでもないという気もしてきます。」と同じ反応を私もしてしまいます。とはいえ、出生順位に関しては、私も自分自身のこれまでの経験則からある一定の「刷り込み」を持っていることも事実です。まぁ、それは三人きょうだいの真ん中の方についての「刷り込み」です。私の連れ合いが真ん中ですね。弟妹に関するサロウェイのことば「反逆者」というのには驚きました。統計的に有意な結論から出てきたのでしょうね。

  3. 家族内の出生順位がその人の発達を形づくる上で顕著な要因であることは確かなものの、「相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない」とありました。出生順位によって、どのような性格になりやすいかは他の要因との兼ね合いもあるので難しい印象を受けました。そして、長子は同調性が低く、弟妹は共感性が高く、個人主義的傾向が強く、また「反逆者」というワードもあり、驚きましたが、これらが何となくではあるものの、当てはまる部分があることに気付きました。しかし、「でも、それだけでもないという気もしてきます。」とあるのと同じように私も感じています。これはあくまで家庭内でのみのことであるように感じて、保育園など幼いころから家族以外の集団での関わり、子ども間の関わりによって大きく変わるように思えました。

  4. 出生順位が人間の人格形成に影響与えているのは確かではあるのですが〝相互作用しながら性格に影響を与えている〟とあり、それだけではなく他の面の影響も受けながら形作られていくということなんですね。
    血液型の性格診断がありますが、わずか4つの中のどれかに当てはまるということは4パターンしか人間にはないのかと思い疑問でした。それらももしかしたら〝相互作用しながら性格に影響を与えている〟の1つであるのかもしれないですね。

  5. 長子は自身の高い地位を年下のきょうだいからの脅威から守らなければならないため、~~その結果、弟妹は共感性が高く、個人主義的傾向が強く、また、サロウェイのことばを引けは「反逆者」である傾向が高いと言うのです。という文章から、たしかに、末っ子は、兄弟が怒られたりするのを見ているから、甘えたり、要領がいいということを思い出します。その分、兄弟が家のなかでの社会的秩序的な部分で、優位な面があることもわかります。しかしながら、”サロウェイは、出生順位は重要な要因ではあるものの、相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない”とあり、様々な気質によって、その出生順位として、つけられるものは覆されるということが考えられるのですね。

  6. 長子の特徴や妹弟の特徴を読んで、なるほど、確かにそういう部分はあるかもしれないなと思いましたが、「出生順位は重要な要因ではあるものの、相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない」とあるように、それが全てではなく、特徴のひとつにすぎないということは意識しておかなければいけませんね。最後の部分にもありましたが、あらゆる条件が相互に作用しているということからも「必ずこうである」ということは言えませんね。そう思うと子どもたちが園の環境として接するものもそれら子どもたちの相互作用のひとつなのだと思うと、重要な点を担っているなという気もしてきます。また、逆に肩の荷がおりるというような気もしてきます。

  7. 出生順位が性格の発達に与える影響というのを見るとやはり、なるほどーと思うところはありますね。そして、「出生順位は重要な要因ではあるものの、相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない」というのもわかります。それに縛られて人を見るというよりはまずはそこを参考に関わってみる程度で人は始まるのですかね。人を知っていく上で「兄弟は?」と聞いてだからしっかりしてるのかーと答え合わせのような感覚はよくあることだと思います。その程度の感覚で人を見るのも面白いですし、より理解が早くなります。「でも、それだけでもないという気もしてきます。」という言葉に共感します。

  8. なるほど、思い当たる節がいくつかあります。自分の兄弟関係、そして息子達の兄弟関係を見てみると似ている気がします。例えば職場の仲間と仕事したときや、プライベートで集まった時を考えると次男が揃うと盛り上がりますが、逆に歯止めが効かなくなる時があります、しかし長男がそこにいるとちゃんと冷静になり、静止してくれます(笑)長男と次男の性格や気質を比べる事がありますが、藤森先生が言われるように、出生順位だけが要因しているとは限らないかもしれませんね。

  9. 自分の兄弟に当てはめてみても、重なる部分があり面白いなと思いました。しかし、「出生順位は重要な要因ではあるものの、相互に関連しながら性格の発達に影響を及ばしている子どもと家族のいくつかの特徴のひとつにすぎない」という文章のように、それだけではないということも感じました。出生順位や兄弟関係に着目した研究がされていることなどこれまで考えたこともなかったので、ブログを通して知れたことがありがたいなと感じます。そして、これらの研究から、保育につながる部分は非常に多いので、保育に繋げて考えられたらなとも感じました。

  10. こういった研究を見ていると確かに自分はこれに当てはまるのかどうなのかを考えてしまいますね。子どもの出生した順番としての環境は共通するでしょうから、そこに近い状況になることは多いと思います。遺伝子を残すといった包括性もそこにはあることと思います。しかし、それ以外の環境においては人は千差万別でしょうから、まったく同じということにはならないでしょうね。つまり、それだけ環境ということもヒトには大きく影響をたえるのだということがここからも見えるように思います。

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