シンガポール報告8

シンガポールでの講演は、導入する保育について、実際に現場に生かされる、また生かそうとするための工夫がされていました。研修などでは、話しの内容にはうなづくことが多くても、実際に保育の中にどう取り入れればよいのかがわかりにくいことが多い気がします。ですから、研修に多く参加しても、それが実際には反映していきません。そして、「結局、今まで通りでいいのね」とか「いいのはわかるけれど、うちではね」とか、「それは理想論なのよね」などとつぶやいて変わっていきません。今回の話し合いでは、真ん中に置いたボードでは、話し合った内容を書き込んでいきませんが、最後のページには、では、明日からどうしていくのか、何を試してみたいのか、などを具体的に書き込んでいきます。今回、試しにしていってみたいことの中で多かったのは、異年齢でのふれあいでした。シンガポールでは、まだ年齢別保育を行っています。それは私の園の実践の中で、異年齢児が関わる姿を見てのことでした。私はそれを受けて、後で、小さい子の面倒を見てあげるとか、小さい子がやってほしいことをやってもらうためには、自分が小さい頃に上の子にやってもらった経験がなければ、他人にやろうとはしません。自分がやってもらい、それがうれしかったとか、助かった経験を積み重ねることで、自然と小さい子の手伝いができるようになるので、焦って、小さい子の面倒を見させるようなことは避けた方がいいという助言をしました。

もう一つ、具体的な行動に移すためのグッズがありました。それは、参加者に小さいノートを受付で配布します。そのノートは、話し合いの中で、自分は何をやってみたいと思ったのか、どこから始めようと思うかを書いていくノートです。しかし、日本でもこのノートのアイデアを取り入れ、配っても、終わってから白紙の人が多い気がします。結局、何も書かない人が多い気がします。しかし、ここシンガポールでは、皆いっぱい書き込んでいました。そして、実際にそれを行うための課題を、話し合いの中で取り上げたり、日本からの参加者に聞いたりしていました。

あと、この保育を実践するために、そのモティベーションを、また、取り入れようとする保育のステータスを上げるためにいろいろと工夫をしていました。まず、会場の雰囲気作りです。コーナーに実際の保育室を再現し、取り組みの実践例、その趣旨などの展示もその一つです。ほかに、見守る保育についてのさまざまなグッズが用意されていました。まず、最終日の保護者講演にスタッフ皆が着るおそろいの、ロゴの入ったTシャツです。そして、首に下げるセミナー名が印刷されたオリジナルのネックストラップ。また、ノートに書きこむための、やはりロゴ入りのボールペンです。色は、この法人のシンボルカラーのオレンジです。そして、やはり最終日の保護者講演の時に資料を持って帰るためのトートバッグで、色は青と黄色と2種類用意されていました。

また、今回様々な資料、案内板、すべてのロゴの入ったフレームを使います。講演でも、私たちは、パワーポイントを用意したのですが、その内容をすべて、先方の作ったロゴ入りのフレームに入れなおして、当日は使いました。それらは、すべてこの日のために用意されたもので、すぐにかかった費用を心配してしまいました。しかし、力の入れ方に、返そうと私も話をしましたし、会場の参加者も熱心に話し合っていました。

シンガポール報告8” への11件のコメント

  1. 知っていてもやらないのでは知らないのと同じ、と子どもに言い聞かせる場面を目にしたことがあります。言い聞かせる、叱る、怒る、どれも自分に一番必要な言葉を人は他人に向けると聞いたことがあります。保育者こそ発展途上の中にある、という自覚をそのままに体現されるシンガポールの方々を、とても輝かしく思います。明日からどんなことを取り組むのか、昨日の自身との比較の中で向上できる道を見守る保育、藤森メソッドは用意して待っていてくれているようで、日本の保育もまたその道の上にあるという自覚から、明日の自身の行動を考えてみたいと思いました。

  2. Mimamoru-approach導入の仕方が半端ではありません。「すぐにかかった費用を心配してしまいました。」とありましたが、費用をかけるほど学ぶ価値があるアプローチ、メソッドだと主催者が判断したのだということがしっかりとわかります。そして、ただグッズを揃えるだけではなく、その一つ一つにMimamoruの考え方や実施の仕方を習得させる方向に参加者一人ひとりを仕向ける仕掛けがあることも実感できます。「では、明日からどうしていくのか、何を試してみたいのか」この視点はとても大切ですね。参加しただけ、聴きっぱなし、で終わらせない。My First Skoolさんの戦略を看取できます。シンガポールにMimamoruの花が咲いた、そんな感じさえ受けました。学びを支えるグッズや保育室setting、そして何よりも学び会う人々の相互作用。まさに人的物的空間的環境を通してMimamoru-approachの研修が実施されたことがよくわかりました。

  3. 数年前にドイツ保育環境視察ツアーに同行させていただいたときにも、せっかく見て学んだのに「うちではね…」というように日本に帰って反映されないケースがあると聞きました。良いなと思ったら「まずはやってみること」「とりあえず真似てみること」の大切さをシンガポールの方々から改めて学ばせてもらった気がしています。また、日本ではノートに何も書かない人が多い気がするというのは、私も感じていますし、自分自身にも身に覚えがあります。それはやはり意欲の問題であり、行ってみて良かったというのももちろんあるのでしょうが、あくまで自発的なものでなければ身が入らない印象です。そういった意味でも研修に一体感をもたらす取り組みはとても良いなと思いますし、参考になります。「みんなで学ぶ」姿勢がより学びを深めているように感じました。

  4. 〝力の入れ方に、返そうと私も話をしました〟とあり、藤森先生と講演の主催の方々、参加者がお互いに協力する、相互作用により盛り上がっていったのが分かります。それにしても、工夫の仕方が絶妙で参加者が困ってしまう、疑問に思うだろうところに自らが答えにたどり着けるような設定や協力することで、答えにたどり着けるようになっていたりする感じがとても新鮮で、それでいて的を得ていて、シンガポールの文化が高い水準にあることが分かります。

  5. 実際にこの保育の形が必要であることはわかっていても、それを”理想”というある種の現実ではないもののようにかかげている考え方がなかなか抜けないというのが、現代では特に、キーワードになっているように思えます。保育はなんのためにあるのかと考えることがやめない限り、行き着く先はこの保育だと思いますが、そのことからも、考えることをやめないシンガポールでの保育へ対するスタンスに自身ももっと向上心をもち、保育に向き合っていかないといけないと感じます。

  6. まずどこから始めるか、自分が何ができるかということがこの小さなノートが渡されることで、見守る保育を始めるための、第一歩が踏み出せる気がします。こうした所も、環境が人を育てるというように、取り組みやすい環境を大人にも提供しているということなのでしょうね。今回の写真を見て、私も見守る保育の数々のグッズが私も欲しくなりましたが、ふいにトートバックに書いてある「MIMAMORU WATCH&WAIT」というのをみて英語に訳すと「待つという意味があらわされるのだな」と、少し気づかされるものがありました。

  7. 環境セミナーでも参加者の先生から「早く帰って実践してみたくなりました」という話を聞きますが、その度に私も嬉しく思います。また、まだ見守る保育を実践していない人が見学に来られて感想を聞くと、「ここだからできるのよね・・・」とボソッと言っているのを聞きます。そういう人たちが、今回のシンガポールの実践を聞くとどう思うのか聞きたいです。また同じような感想を言うのでしょうか・・・。
    それにしても、見守る保育への力の入れようがすごいですね!シャツ、ペン、バックなど全てにロゴを入れて・・・それだけ真剣に取り組もうとしている姿勢が伝わりますし、保護者もこれだけ施設側が用意したら信用できるかもしれませんね。

  8. 「明日からどうしていくのか、何を試してみたいのか、などを具体的に書き込んでいきます」とありました。研修を受けた後に大切になってくるのがこの部分なのかもしれませんね。研修中の話を理解し、いい話だったと思うことも大切ですが、それだけで終わってしまうと、では現場で実践としてどのように動いていくかということになかなか繋がっていきませんね。そのことをあらかじめ考える機会があれば、どのように実践していけばいいのか考えることができそうですね。また、それをほかの皆さんと共有できるというのもさらに力強いというか、より、様々なアイデアが生まれてきそうですね。また、いろいろなグッズを用意するという雰囲気作りもいいですね。このような雰囲気を作り上げることで、より見守る保育を実践するという気分が高まるようにも思いました。

  9. やはり、熱量の違いを感じますね。日本では確かに「理想論ね」とか「うちでは」と終わってしまうところがあるのかもしれません。ただこのシンガポールのように具体的に「コーナーに実際の保育室を再現し、取り組みの実践例、その趣旨などの展示もその一つです。」とあるようにこうした取り組みがあることでより参考になり取り組みやすくなるのかなと感じます。やはり百間は一見にしかず?でしたかね。そういったことが会場で感じられる工夫というのはさすがだなと感じます。さまざまな取り組みに対する工夫がシンガポールの職員に伝わっていることがわかります。

  10. 毎回、報告を読むと、シンガポールの力の入れ方に驚かされてしまいます。文章中に「明日からどうしていくのか、何を試してみたいのか、などを具体的に書き込んでいきます」とありましたが、研修に参加するだけでなく学んだことをどう実践していくかが大切なのだと思いました。また、「自分がやってもらい、それがうれしかったとか、助かった経験を積み重ねることで、自然と小さい子の手伝いができるようになる」という文章からは、異年齢児保育をやる上での保育者の関わり方を再確認できた気がします。
    最近、貢献と犠牲の違いの話を聞いたのですが、それもまた、異年齢児保育につながるところがあるような気がします。簡単に言うと、人にやってもらって嬉しかったから自分もほかの人にやってあげるのが「貢献」であり、見返りを求めて他者に尽くすことが「犠牲」であるということでしたが、同じようなところを感じました。

  11. 「話し合いの中で、自分は何をやってみたいと思ったのか、どこから始めようと思うのかを書いていく」とありました。日本でももっとこういったことを意識した研修をもっと増やすべきですね。「研修を聞く」ことや「参加する」ことが目的になってしまい。その研修後「どういったことを現場に活かし実践するか」というように評論的に研修を受けてしまいがちで次の実践のことまで意識はされていないように思います。こう見ていくといかに日本がポジティブな発展を進める文化ではなく、「他と比べること」や「過去と比べる」「現状と比べる」といったベクトルが強く、「変わる力」が意識的に弱いかということがわかります。もっと前向きによくなる方向への変化を楽しむような枠組みや意識を持つことは大切なことですね。

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