シンガポール報告7

講演会では、会場には様々な工夫がされていました。まず、紹介したように会場の一角には、取り組みの例としての保育室がブースとして紹介されています。そこには、展示のほか、様々なグッツも並んでいます。

環境からの展示としては、まず、「人」については、日本ではまず保育者を挙げますが、この展示では、まず「食事の時間」を上げています。そして、そこでは、食事の時間は、子どもたちが自助、自立、社会的スキルを育てる活動であるとしています。当番活動を通して、自助、自立という「人は支えあって生きていくこと」を実感することができ、集団保育の役割として、この人という環境は、家庭では用意するのは困難なものです。もう一つの人という環境を、クラスルームにおけるコミュニティとしています。この取り上げ方は、私からすると「見守る保育」で目指すことがよく理解できていると思いました。この2点を人という環境から取り組み始めたことは、代表の言う、「この園は、見守る保育の理解がまだそれほどできていない」ということはないような気がします。

次に「物」の環境の捉え方です。その一つは、「発達を意図した手作りおもちゃ」です。それぞれの年齢における意図を持った遊具を手作りで作るというのには感心しました。当日、そのいくつかが展示されていました。私も手作りおもちゃを見ることがありますが、きちんとその意図を意識して、それをきちんと表現しているのは感心しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう一つのものとして「パズルとボードゲーム」を挙げています。この選び方もさすがですね。私の提案は、家庭とは違う子ども集団のある役割を主に環境を用意することを提案していますが、その一つにボードゲームがあります。これについては、かつてブログでも取り上げましたが、かつてのボードゲームのように、二者で戦うというよりも、数人で助けあう、かかわりあうことを学ぶボードゲームが大切です。このような遊具を用意しておく必要があります。

そしてもう一つの環境である「空間」です。それもただ場所とか、出来事とかいうだけで、どのような場所が必要であるかはあまり論じません。この展示では、まず、「絵本ゾーンとリラックスゾーン」としています。この度、実践園で見せてもらったゾーンの一つがこの場所です。これは、&とはなっていますが、それはそれぞれが別の場所ということではなく、二つの機能を持った場所という意味でもあります。これは、ドイツでもそうですが、本を読むということは学習という意味もありますが、リラックスするという効果もあります。そのための場所は、床にクッションを敷いたり、天蓋をつるしたり、部屋の隅に作ったりと工夫します。その一つのグッズの提案として、癒しのために座るクッションとして、タイヤの中にクッションを入れたものなどが並べてありました。見学した園では、そのような設定がされていました。

もう一つは、Engagementと創造ゾーンとあります。最初、Engagementゾーンの意味が分かりませんでした。ここでお互いに婚約するわけではないのにと思ったのですが、どうも私の園のピーステーブルのことで、この場所でお互いにここで出会って、分かり合うというような意味のようです。本質をよく理解しているようです。ですから、相手と自分の感情がよくわかるように感情パネルがあったり、握って心を鎮めるためのものとして、風船の中に小麦粉、コネ、豆、砂などを入れて、その表面に顔の絵が描いてあり、そのような気持ちの時にはこれを握るといいというかのように表現されています。

シンガポール報告7” への11件のコメント

  1. どれも驚いてしまうものばかりなのですが、特に「人」についての考え方に驚きました。子ども同士の繋がり、子ども社会を環境における「人」と考える。子どもを子どもと考えるが故に「人」を保育者と想像してしまうのかもわかりません。子ども観、子どもを見つめる視点がとても高度で、何とも温かみのある先端を進まれているような気がします。
    最後まで読み切ると、シンガポールの文化水準、教養の高さを感じ、驚くも何も学ばせていただく立場、今更ながら土俵が異なっていたことに気付きました。先生の保育がその高みでシンガポールの教育と共鳴したのであり、それを実践しようとする保育者は向上という姿勢でもって報いることで、初めて対等の土俵に上がれるものなのかもわかりません。

  2. 世界標準。今回のブログで紹介された藤森メソッドのシンガポールヴァージョン。人的環境をmeal timeにおいて保障する取り組み。私は咄嗟にCompanyという英単語を想起しました。パンを一緒に食べる人同士。人的環境と食事はこうして私の中では接続したのです。物的環境については「発達を意図した手作りおもちゃ」。そして「パズルとボードゲーム」。藤森メッソドの意図性をしっかりと汲み取っています。空間的環境。私はシンガポールの人々がspaceを重要環境の一つに捉えていることに敬意を表します。なぜなら、日本の保育関係者は、指針や要領がそうしているからでしょうが、「空間」と素直に表現せず、「場」としているからです。私の感覚によると、空間spaceにはbig banの膨張ダイナミズムがあり、それは子どもの成長発達と呼応しているのですが、場placeには静的かつ平面印象が先行します。シンガポールの人々が空間的環境の重要さを藤森先生の提案通り受け入れていることに感動すら覚えるのです。そして「Engagement Zone」。RelationshipではなくEngagement。これはわが意を得たり、です。人と人の関わりであり、この関わりによって社会は成り立つ。このことを表す英単語Engagementです。かつてEngaged Buddhistとして活動していた頃を思い出しました。感無量です。

  3. についての考えかたは、そういった捉え方をすることによってその人がいる、集団を通して、自助、自立をできるといった人という環境を通した育ちを改めて考えるところです。また、様々な取り組みには、意図がある、意図した環境を用意することによって、子どもそれぞれがどんな発達過程におり、その成長に必要な環境がどんなものなのかを理解することができるといったような関連したサイクルのようなものを感じました。そして、”「発達を意図した手作りおもちゃ」”という現場での子どもの姿から感じたものを考えることができる立場にいることを実感した内容でした。常、日頃の心構えとしてもっておかなければならないことだと感じました。

  4. 人という環境を通して「人は支えあって生きていくこと」を実感することができるような構成をベースに考えていることはとても大切なことであり、果たして自分はしっかりとそう考えて保育に、子どもたちに向き合えているかと思い返すことが出来ています。物においても「発達を意図した手作りおもちゃ」とあり、素晴らしいなと感じました。「意図」こそ大切にしていくべきですね。自分たちが保育室に置いているおもちゃがどのような意図を持って置いているかを改めて考えていかなければと思わせてもらえます。空間においてもその意図するところ、その意味を「この場所でお互いにここで出会って、分かり合うというような意味」とあることから感じることができます。「人」「物」「空間」の環境の意図や意味をもう一度再確認しながら環境を改めて考えていきたいと思えました。

  5. どれもこれも驚き、参考にさせていただくものばかりです。特に「人」を食事の時間から捉えるというのはなかなか楽しいものですね。先日、GTくまもとの勉強会に参加させていただいた時のテーマが「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」を「食」から考えるというテーマでしたが、その中でセミバイキングには自立、自助、共生、貢献など人間にとって必要なものが詰まっているような、全ての基本となっているような…。改めて考え、話し合ってみるとそのような感じがしていました。今回のブログの内容もそのように全てがつながっている、枠を超えたものを感じました。

  6. 保育の環境である人、物、空間を見守る保育という考えをしっかり理解して用意されていたのですね。人という環境となるとついつい保育者がそれにあたると考えてしまいそうになりますが、すでにシンガポールは子ども同士の関係性もそれに含まれてるということまで理解されているのですね。本当に、藤森先生の保育の考え方をまずはしっかり理解しているということを感じます。二つの機能がある絵本ゾーンもいいですね。絵本を読みながら、リラックスするできるような空間になっているというのはいいですね。このようにまずは空間を整えることを実践されているということがすごいなと思います。そうやって環境を作ることで、必ず子どもは変わってくると思うので、そのことを実感できるとどんどん改革を進めることができるのかなと思います。悩むより、行動!ということを教えられたようでもあります。

  7. 環境として、まず食事の時間が挙げられるというのは面白いですね。「食事の時間は、子どもたちが自助、自立、社会的スキルを育てる活動」とのことですが、日常的な生活の中にこそ、それぞれの学びがあるというのはよくわかる気がします。設定活動という考えが、日本ではありますが、こうした日常的生活の中で、足りない学びや、伸ばしてあげたい能力を見つけ、それを設定活動の中に取り入れていくという感覚を忘れてはいけませんね。手作りおもちゃやタイヤのクッションにも、独特なセンスに驚きを感じましたが、こうした感覚も大人で止めてしまうのではなくしっかりと1つ環境として用意していきたいものですね。

  8. 「食事の時間」から「人」という環境をポスター展示は参考になりますね。改めて自分たちが実践している「セミバイキング」を見直してみると、お当番活動を通して子ども達は自分のレベル応じた配膳を行っています。年長さんは量を調節できる少し難しいものを配膳し、年少は量ではなく個数で配膳できる果物やお茶を配膳します。ここでも異年齢の関わりというか、年上の姿を見ることで憧れ、方法を学びます。そして給食をもらう子どもも量を伝える必要があるので、かならずコミュニケーションを取ります。セミバイキング一つだけでも子ども達はただ食事をするだけでなく、社会性を学んでいますね。

  9. 環境からの展示としては、「人」「物」「空間」があり、わかりやすく藤森先生が解説することでより、シンガポールという国の人の熱意と理解度が理解できたように思います。そして、印象に残るのが Engagementゾーンであります。訳すと婚約ゾーンとなるのでしょうか。本質を理解しているからこそのネーミングのような気がします。「 この場所でお互いにここで出会って、分かり合う」確かにピーステーブルとはそういう意味なのかもしれません。独自のアイディアが組み込まれることでより面白い発展ができるのが見守る保育の魅力の1つなのかなとも感じさせてくれます。

  10. シンガポールでの実践例紹介がされていましたが、本当に良く理解した上で実践していることが伝わってきます。
    私も、まだまだ見守る保育を勉強中ですが、普段新宿せいが子ども園にいさせていただき、それが当たり前のようになってしまいがちです。見学に来られた方たちからの質問で、はっとすることも少なくありません。シンガポール報告を読んでいると、私も見守る保育のそもそもの部分である土台を勉強し、そこから新宿せいが子ども園の環境があることを改めて感じるきっかけとなりました。

  11. 非常に環境に意図がこもっている作りになっていることに驚きます。それも中心となる部分を抑えていることで、遊び心や工夫も随所にみられます。初めはどういったところをアドバイスすればいいのかというように考えていたのですが、かえって私のほうがシンガポールの園一つ一つから学ぶことが多く、そこにある意図性をしっかりと説明される園長先生の話を聞くたびにその取り組みかたを学び取ることが多くありました。また、研修の中での議論においても、非常に見識と学びとるということに対して、積極的である姿勢は自分自身を見つめなおす機会にもなります。一部からコツコツと変えていくためには長いスパンでの見通しと本質の理解、原理原則が理解できていないとできないことであり、それはなかなか難しいことでもあるように思います。

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