
以前の配膳

見守る保育での配膳
今日は、「見守る保育」を実践している園を数か所見学しました。まず、各園を見ての感想ですが、昨年5月にシンガポールから代表が見学に来て、その後8月に打ち合わせに来て、帰国して私の園の報告を代表から受けて、そしてその時に「見守る保育」の書籍を購入して帰ってから各園の園長先生がその本を読んだだけで、よくここまで理解し、それを実践に移したなあということを感じました。今年参加したほかのメンバーからも同様の感想を聞きました。
また、現在日本でも、「見守る保育」にどこから取り組んできたかということを悩んだ経験を書籍にまとめようとしています。私の園に見学に来た方の多くは、このような保育がいいと思うのですが、いざ取り組もうと思っても、どこから、どのように取り組んでいったらよいのかで悩む園が多いと聞きます。それを、シンガポールの園では、さっそく取り組んでいるのです。140園近く運営している法人の責任者から聞くと、トップダウンでこのような保育に取り組みなさいということを言おうと思ったようですが、考えをやめて、自主的に取り組むように、各園に任せたようです。すると、各園では園長先生が、自分の園では、どこを見直したらよいのか、また、どこから取り組んでみようかということを考えたそうです。
そのような導入がよかったのでしょう。取り入れた一部から、子どもの姿が変わり、保護者の理解が得られ、徐々に取り組みが広がっていったようです。最初に訪れた園では、子どもたちが意見の衝突があったときに、話し合う場所として設営されている「ピーステーブル」を部屋の中に作るところから始めた園でした。まず、そこで子ども同士がけんかなど対立したときに話し合う場所であることから、よく話し合いの場としていいと言われる対面ではなく、お互いがはす向かいに向き合う形をとっていました。この形は、他の園のピーステーブルでも見ました。そのほかにも色々と工夫され、参考になることも多くありました。
その一つが、ピーステーブルの前に貼っている紙です。私の園では、話し合うルールが参考に書かれてあります。「相手の話を最後までしっかり聞こう」「話を聞くときは、相手の顔を見よう」「自分の気持ちを言葉で言おう」という3点です。これを子どもの字で書かれてあります。シンガポールの見学した園では、前に数種類の顔が書かれてあります。それは、感情が高ぶって自分の気持ちをなかなか言えない場合があるので、自分の気持ちがあらわされている絵を指さして伝えると言います。怒っている顔、悲しい顔、泣いている顔、うれしい顔などです。それは、絵で自分の気持ちを伝えるだけでなく、自分の気持ちを見つめるのにも役に立ちます。
それから、ここに来る場合は、感情が高ぶっていることが多いため、ここにきて、感情を鎮めるためのグッズが置かれてあります。中にゆっくり動くものと水が入っているペットボトル、握ると感触がよいもの、話しがしたいときにチーンとならすもの、
そんなものが置かれてあります。場所だけでなく、いろいろな工夫がしてありました。
次の園では、給食の配膳の見直しから始めたそうです。それまでは、先生が調理室から運ばれてきた給食を、さも、子どもに与えるように配り、子どもたちも言われたとおりに黙って食事をしていたと言います。そうしたときには、年長になっても手で食べたり、行儀が悪かったそうです。それを、当番が、その日の献立のメニューをみんなの前で発表し、子どもの当番さんが量を聞きながら配膳することにしたそうです。まだ、おやつだけだそうですが、次第に給食でも取り組みたいということでした。