魅力的

これらの結果について可能な解釈の一つは、魅力的ではない顔よりも、乳児の注意を惹きつける物理的刺激の特徴を多く有するものだそうです。たとえば、対称性は身体的、及び精神的健康の徴候であり、成人では顔の対称性が魅力判断のいちばん大きな要因であると思われています。もうひとつ考えられるのは、乳児は生まれたときからヒトの顔に関するスキーマを持っており、そのスキーマに魅力的でない顔よりも魅力的な顔がよく合致するという解釈です。スキーマという言葉はわかりにくいですが、人間が色々な体験や知識から、それらをまとめ一般化したり、体系化したものです。魅力的な顔への選好性には、単純に対称性だけが関与しているわけではないことが示されていますが、その証拠として、新生児は正立位置出て維持された魅力的な顔には、魅力的ではない顔よりも選好性を示したそうです。すなわち、長く注視したのです。しかし、同じ顔を逆さまで呈示すると選好性を示さないことがわかっているそうです。

この結果から、乳児がヒトの顔に関するスキーマあるいはプロトタイプを生得的に持っているとすれば、顔の方向に関する情報もその中に含まれていることが示唆されていることになります。

魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映していることが示されているそうです。たとえば、眼間の距離の平均、鼻の高さの平均です。これは、進化的視点からも妥当と言えるそうです。顔に注意を向けることが、生後初期の社会的関係の形成のために、そして生存への援助を得るために重要であるならば、平均的な特徴に注意を向けるバイアスを持つことが、すなわち、平均的特徴を組み合わせると、魅力的な、つまり平均以上の顔となるとしても最善の策になるのです。近年の研究で、ヒトの顔だけでなく、犬、鳥や腕時計についても、魅力性と平均性の関連が認められているそうです。これは、平均的な顔に対する選好性は、顔に限定的な領域固有のメカニズムではなく、平均性に関する一般的なメカニズムによって形成される部分もあるという可能性を示唆していることになります。

ラングロワたちの研究から示唆されるのは、ヒトは生後2ヶ月までにヒトの顔の特徴の個人差に影響を受けるということです。また、生後まもなくから乳児は顔に関する知識を持っており、その発現には経験がほとんど必要ないことが、この研究からわかります。しかし、このような知識は潜在的なものであり、自己認識を伴うものではないと言います。ビョークランドは、こうした知見は、いまにして思えば驚くに値しないと言っています。自分と同種のメンバーの顔ほど、ヒトの乳児にとって重要な視覚的刺激はないだろうからだと言うのです。

乳児は、生後数週間目から既に、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に選好性を示すことが、研究によりわかっているそうです。ジョンソンたちは1ヶ月児を対象として、頭の形をした様々な刺激を、乳児の視線を横切るように動かして呈示したそうです。そして、乳児が、目または頭を動かしてその刺激を追う程度を測定したそうです。その結果、生後数分~5週間の乳児で、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に対し、目及び頭の動きが有意に多いことがわかったそうです。このデータから、乳児は「顔らしさ」に関するある程度の知識を生まれた時点で持っており、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に視覚的選好性を示すことが見出されているそうです。

魅力的” への12件のコメント

  1. 顔に注意を向けることが、生後初期の社会的関係の形成のために、そして生存のために重要であるから平均的な特徴の顔に注意を向けるようになっているというのは納得でした。平均的な特徴を組み合わせた顔は魅力的な顔である可能性が高いからこそ、乳児は魅力的な顔を選好することになるのですね。とても腑に落ちました。『乳児は「顔らしさ」に関するある程度の知識を生まれた時点で持っており、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に視覚的選好性を示すことが見出されているそうです』ともありました。そして、生後数分からというのにも驚きました。乳児が生きていくためには自分以外の人に養育される必要がありますね。だからこそ、人の顔に反応するようになっているのですね。そう考えると、やはり、当たり前ではありますが、人は人の中で育てられるように生まれてきているんだなと思います。テクノロジーが進化していくのはますますなことだとは思うのですが、この基本的なことはやっぱり忘れたくはないですね。

  2.  人をパソコンになぞらえるなら、感情がOS、知識や技能がアプリ、顔面がモニターといったところでしょうか。赤ちゃんがモニターである顔面に注目するのはそこから感情を読み取ることができるからではないでしょうか。ヒトの顔に関するスキーマはさしずめ顔認証システムといったところでしょうか。まずは顔を認証し、母親や近親者とそれ以外を判別し、それ以外の場合はその良し悪しを判別し、その上で顔から相手の感情を読み取るというフローがプリインストールされている…憶測が過ぎますかね。

  3. 「スキーマ」という言葉を初めて知りましたが、「人間が色々な体験や知識から、それらをまとめ一般化したり、体系化したもの」という意味なのですね。これを生得的に持っている可能性があるというのはすごいことですね。また、魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映していることが示されているとあり、「平均的特徴を組み合わせると、魅力的な、つまり平均以上の顔となる」という考え方も面白いなと思いました。平均というライン、線引きは個人差があるので難しいようにも感じますが、自分の思う平均を目指せば自ずと魅力的となると考え方は、自分の含めてですが、みんな無意識に実践しているものなのかもしれないなと感じました。こういった無意識や本能的な部分に人類の生存戦略として必要不可欠であったものが隠れているイメージが今までの内容からあるような気がしてきます。

  4. まず、「対称性は身体的、及び精神的健康の徴候であり、成人では顔の対称性が魅力判断のいちばん大きな要因」とあるように、私たちが相手をえらぶときに自然と魅力的であると感じる対象として、健康であることを条件に加えられている「徴候」を感じ取っていたということなのですね。顔の対称性は、「かっこいい」「かわいい」というだけでなく「身体的、及び精神的健康の徴候」さを表面化したものであるというのは面白いなぁと思いました。それが、赤ちゃんまでも本能的に識別しているとなると、人類の生存戦力がどれほど緻密で奥深いということが伝わってきたりもします。

  5. 〝魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映していることが示されている〟とあり、生後初期から社会形成のための行動をとっているということなんですね。やはり、人間は人間の集団の中で生きていくための行動を、生まれたばかりから行っているということになります。そして、後に子孫を残す場合でも、平均的な顔立ちの相手を選ぶことで、より魅力的な顔立ちの子孫を残していこうとするということなんでしょうか。
    また、顔らしいものに乳児は選好性があるんですね。これも、人間に育てられたいという本能的なものを感じます。
    人間は人間を好み、たくさんの人間の中で生きていくことを好むということが示されているのではないかと感じました。

  6. 「魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映していることが示されているそうです。」とあります。実際、ドキュメンタリー番組で美人の顔は女性の顔の平均値ということで、何十人かの女性の顔を重ねてできた顔がどう見えるかという実験があり、その顔が魅力的で美人であるという結果が出ていたのを思い出しました。平均ということはバランスの取れた顔ということにもなるのでしょうか。人はそういった顔に惹かれるようですね。それにしても、乳児は生まれたときから顔に関する知識を持っているというのは驚きです。以前にも、乳児は様々な生物の顔を認識し、弁別しているとありましたが、人の細かい顔の違いも分かっているのですね。

  7.  「乳児は「顔らしさ」に関するある程度の知識を生まれた時点で持っており、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に視覚的選好性を示すことが見出されているそうです。」とても興味深いです。先日視覚について書かれていますが、まさか胎内で自分の顔が鏡のように見えるわけではないでしょうし、どうして顔を認識できるのか、これはある意味では神秘ですね。神ごとの話で片付けるのは研究を元も子もないようなものにしてしまうのかもわからないのですが、人間が研究できる領域というのは、まだまだ際限がないようです。生きる道を与えてもらっているような感覚になります。

  8. 乳児は顔らしさに視覚的選好性を示すことは、乳児が産まれながらにして持っており゛生後まもなくから乳児は顔に関する知識を持っており、その発現には経験がほとんど必要ない゛という点で、顔へ対する認識は、より生存を助けるものである、母親に似た人でありながら、゛魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映していること゛であることが関係しているのですね。似た人を選好しながら、魅力的な人を選ぶということでは、他の人種を選ぶよりも母国の人を選好するといったことが考えられ、それは、産まれながら備わっている力であると改めて思います。

  9. 「魅力的な顔への選好性には、単純に対称性だけが関与しているわけではな」く様々な要因が隠されていたのですね。また最後にあるように「乳児は、生後数週間目から既に、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に選好性を示す」というのは生き延びるためには必要なことだということがわかります。驚きなのが生まれて数時間から5週間の乳児を対象に行っていることから本当に生まれてすぐの子が「顔」という認識があることです。いかに乳児が顔を見て色々と判断しているということがわかり。空気を読むというのも大人の顔を見てしてくれているのでしょうね。

  10. 私たちは人の顔を当たり前のように理解していますが、新生児はいつ頃から理解しているのか?気になります。人見知りをする頃は既に魅力的というか、自分の母親の顔、安心できる存在の顔を理解しているはずですが、例えばオオカミに育てられた少女の話ではありませんが、自分の周りが人間でなかったら、人間の顔を好まないようになるのかと思うと、生後数週間で顔らしい刺激に選好性を示すということは、遺伝子でもともと持っていて、これも生前戦略の一つなのかもしれませんね。

  11. 研究者の執念というものを実感しました。「生後数分~」の乳児についての実験により「顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に対し、目及び頭の動きが有意に多いこと」を明らかにしています。「生後数分~」の乳児に対して調べる。やはり驚きです。臥竜塾ブログでは乳児に関する最近の研究成果がその実験方法と共に紹介されています。実に様々な試みが実施されている。このことについても驚きます。「魅力的な顔」はどんな顔?「ヒトの顔に関するスキーマ」説はおもしろいですね。「魅力的な顔は、顔の目鼻立ちの「平均」を反映している」。平均だとつまらなそうですが、よく考えてみると、平均でなければ果たして魅力を感じるか?そうした疑問が湧いてきます。まぁ、この平均も人種や風土、時代等ヒトびとが生活する環境に大きく影響されるでしょう。平安時代の美人さんの絵を見せられても「これが?」と私は思ってしまいますから。「生後まもなくから乳児は顔に関する知識を持っており」だから相手の顔の真似をできるのか、と合点がいったところです。

  12. 人にとって、人の顔って特別なものなんだなと感じました。
    乳児は、生後数週間目から既に、顔らしくない刺激よりも顔らしい刺激に選好性を示すことが、研究によりわかっているとあり、面白いなと思いました。生後数週間で顔らしい刺激を好んで選択するんですね。驚きです。人の顔をまたわかっているんですね。大学の同級生が顔の情動性について研究していましたが、人は怒った顔に対しより注意が向くという結果でした。乳児も普通の顔と怒った顔では結果が違ってくるのかな、と思いました。
    顔は人にとって重要な視覚刺激なんですね。子供に話かけるときは顔を見てとありますが、子どもに顔を見せるのはそういう意味でもいいのかなとつながりました。

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