機能的発達

発達認知神経科学者のジョンソン博士は、脳の機能的発達についての三つの考え方を提示しています。一つ目が、成熟説で、脳の各領域の構造的発達が、そのまま機能的な発達につながるというものです。つまり、脳の機能局在は発達早期からなされており、遺伝子の発現によってそれぞれの脳領域が、それぞれのタイミングで発達し、機能していくという考えです。各脳領域が独立して発達するものと見なし、脳領域間の関連はあまり考えないようです。この考えに従うと、発達早期にある脳領域を損傷した場合に、その領域に関わる機能が永遠に失われることになります。しかし、実際には発達早期であれば、脳が再組織化され、機能が保たれることもあることがわかっています。成熟が重要な役割を担っているのは間違いないのですが、これだけでは説明は難しそうだと森口は言うのです。

二つ目は、スキル学習説と呼ばれるものです。ある問題に熟達化することによって、脳の機能局在がなされるという考えだそうです。成熟説と異なり、脳の可塑性を前提としているそうです。他者の顔認識は日常的に重要な問題です。この顔認識は、側頭葉の内部にある紡錘状回を中心としたネットワークが処理しているそうです。スキル学習説によると、顔認識は、人間の顔に繰り返し接する経験のたまものと考えます。興味深いことに、大人にある人工物に頻繁に接する経験を与え、その認識を熟達化させ、その人工物を提示された際の脳活動をfMRIで計測したところ、紡錘状回が活動することが明らかになったそうです。経験を経ることで、顔認識と同じ脳領域が活動するようになったのです。スキル学習説は、乳幼児でも大人でも、発達のどのタイミングにおいて学習しても、同じような機能局在になるということを仮定しているのです。しかし、乳幼児と大人の可塑性は同じではなく、この仮説だけでも十分に機能局在の発達過程を説明できないと森口は言うのです。

三つ目は、やや複雑な相互作用特化説というものだそうです。この考えの前提として、ある特定の脳領域は、単独で活動するのではなく、他の脳領域とともにネットワークとして活動するという点があります。相互作用説によると、大脳皮質内のいくつかの脳領域においては、脳領域同士が相互作用し、競合することで、機能がある領域に特化していくというのです。つまり、発達早期は、脳は比較的機能が特化しておらず、ある領域はいかなる情報に対しても活動していたのが、発達とともに特化していき、特定の情報に対してのみ活動するようになるというのです。そして、そのような特化は、その脳領域が他のどの脳領域とつながりを持っているかによって決定されるというものだそうです。

たとえば、AとBという脳領域が最初は色と運動の二つの視覚情報に対して活動していたとします。ところが、AとBの領域はそれぞれ別の脳領域との異なったネットワークを持っており、年齢とともに、Aが色、Bが運動について活動するようになります。これが特化の過程です。そして、この特化の過程で、脳の局在化が起こるというのです。ある脳領域が特定の情報に対して特化するということは、ある脳領域に編成は起こりますが、脳の特化が終わった後に損傷すると、脳の再編視は起こらないというのです。この理論は、臨界期や敏感期などを考える上で、重要な理論だと森口は言うのです。

ちょっと難しい気がしますが、乳幼児における脳機能の発達に環境が何か影響するのかが気になります。

機能的発達” への12件のコメント

  1.  「成熟説」「スキル学習説」「やや複雑な相互作用特化説」内容を何度か読み返す内に少しづつ理解が生まれ、脳が開かれるような感覚を覚えます。脳のことを学んでいるからでしょうか、脳が喜んでいるのかもわかりませんね。
     ジョンソン博士の「脳の機能的発達についての三つの考え方」を読むにつけ、職人を思い浮かばせます。そのことに熟達した人の脳の働きというのでしょうか、それを要約し、解説すると「三つの考え方」ということになるのだろうと想像しました。語彙が少なくて恥ずかしいのですが、職人の極みと言うのでしょうか、人間国宝という名誉を授けられた方々、きっと研ぎ澄まされた脳をおもちのことと推察します。

  2. 発達認知神経科学者のジョンソン博士による、脳の機能的発達についての三つの考え方がありました。この三つの説明を読んでいくと、単純に難しさを感じてしい、理解が追いついていない感を否めませんが、今までの内容から「相互作用」の重要さを学んだので、三つ目の「相互作用特化説」が最も近い考え方になるのかなと感じました。その中で「脳の特化が終わった後に損傷すると、脳の再編視は起こらない」とあったことが印象的で、脳の特化する時期が重要性を帯びる気がしました。そして、その脳の特化する時期が重要だとしたら、勝手にその時期は乳幼児期なのかなと推測しています。よって、乳幼児期に過ごす環境がとてと重要な意味を持つように思えました。

  3. 人間の脳を人間は3割程度しか使っていない、また、解明されているのもその程度であるというのを聞いたことがあります。
    今回のブログの内容からいけば、脳を使っていないのではなく、使わなくていいように発達したということになるのでしょうか。
    3番目の〝相互作用特化説〟を読んでいて、まだ脳内が局在化されていない時の脳内はどのような構造になっているのか興味が湧きます。この局在化されていないことが赤ちゃんの神秘的な力、例えば「ダークセンス」のようなものの源のような気がしました。

  4. 脳の機能的発達について3つの考え方とありました。何だか難しいことは分からないのですが、どの説も脳が発達する上で行われているようなそんな気がしました。どれか一つが正しいということではなく、どれも発達していく上で当てはまることなのかなとも思えてきます。その中でも相互作用特化説の「ある特定の脳領域は、単独で活動するのではなく、他の脳領域とともにネットワークとして活動するという点があります」や「ある領域はいかなる情報に対しても活動していたのが、発達とともに特化していき、特定の情報に対してのみ活動するようになるというのです」というのが印象的でした。何だか脳の発達は子どもそのものを見ているようにも感じますね。子ども同士の関係があるから発達していくこと、自発的な活動から、自分の持って生まれた得意を見つけていくそんな姿と重なりました。

  5. 脳の機能的発達についての三つの考え方について、難しさを感じましたが、様々な説のなかにどのように脳が発達していくのかを乳幼児期にどのような関係があり、どのような発達として見られるのかを考えることにつながっていると考えられました。相互作用説にある゛活動発達早期は、脳は比較的機能が特化しておらず、ある領域はいかなる情報に対しても活動していたのが、発達とともに特化していき、特定の情報に対してのみ活動するようになる゛とあったことは、シナプスの密度が増していくなかで、シナプス同士が関わりあっていく、そこでのけずり込みによって必要な情報を残していくことが生得的にあることとして脳が発達とともに特化することにつながっていると考えられました。これが臨界期や敏感期を考える上で重要な理論とあるのは、この脳の発達がこうした乳幼児期にみられる脳の発達の最大限の時期にあたること、つまり、それぞれの脳の発達には、互いのネットワークのなかでの領域的なつながりが重要なのか、と考えられました。

  6. 脳を司る3つの機能的発達を考えていると、脳が進化していっているイメージを持ちます。もともとある素材を最大限に活用して環境に働きかけ、そこから学習し、これらの相互作用によってさらに進化していくといったように、「思考」というものが脳にとって重要でることがわかりますし、それを子ども自身が行っていると考えると、そのように「思考」している時間を大切にしてあげたいなぁとも思いました。そのためには、考える隙を与えるとかまさに「見守る」スタンスが重要であることが再確認できました。

  7. 脳の機能的発達についての三つの考え方が書いてありますが・・・なかなか難しいのが本音です。ただ三つ目の考え方のあとに藤森先生の「乳幼児における脳機能の発達に環境が何か影響する」という言葉にピンときました。それは早期教育です。乳幼児の頃に英語、体育、数字など小学校で学ぶような事をさせた時に確かに子どもは出来るす、覚えるのも早いと思います。しかし脳の中でそういった知識が特化され、領域が編成されたとしても脳の特化が終わった後に損傷すると、脳の再編視は起こらないと書いてあります。損傷と言われてまだ漠然としていますが、乳幼児期には様々な経験をし、一つの事を集中的に学び特化した情報を取り入れるのでなく、後の発達につながりが持てるようにすることが大切なのかなと思いました。

  8. 脳の機能的発達についての三つの考え方というのはなかなか難しい印象は受けましたが、脳の機能というのがいかに複雑で研究するのが難しいことがわかります。どれも正しいのではとも思ってしまうくらいです。脳は自然と活動し反応していることもわかります。日々の子どもたちの生活の中でどれほどの刺激があり活発に脳が動いているのでしょうか。スキル学習説のよつな脳の動きは日々しているのかもしれません。日々の環境でどれだけ脳に働きかけられるかというのも大切なことがわかります。

  9. 成熟説とスキル学習説、相互作用特化説、この三つを見ていると、遺伝子の影響が大きいのか、環境の影響が大きいのか、それともその両方が作用するのかという議論に近いように感じます。これまでの理論の内容を見ていても、3つめの相互作用特化説というのが今の研究の中で一番近い考えのようにも思います。「ある領域はいかなる情報に対しても活動していたのが、発達とともに特化していき、特定の情報に対してのみ活動するようになる。」脳の発達とともに情報の処理をする場所が分化されていき、その部分は特化していく、そして、その特化していった部分が連携、リンクしてより複雑な問題を解決する力になっていくといえるのでしょうか。そして、特化のためには自発的な活動が必要と以前のブログにもありました。脳機能から考えていくとより、自発的活動の必要性を感じますね。

  10. 難しいですが、良い学びができますね。もっとも、では本当に理解できたかどうかテストしましょう、となると途端に「良い学び」という思いが別なものに変化していきそうですが・・・。「発達認知神経科学者のジョンソン博士は、脳の機能的発達についての三つの考え方」、「①成熟説で、脳の各領域の構造的発達が、そのまま機能的な発達につながるというもの。損傷したら?という問題が残る。②スキル学習説と呼ばれるものです。ある問題に熟達化することによって、脳の機能局在がなされるという考え。乳幼児と大人の可塑性は同じではなく、この仮説だけでも十分に機能局在の発達過程を説明できない、と森口先生。③相互作用特化説。この考えの前提として、ある特定の脳領域は、単独で活動するのではなく、他の脳領域とともにネットワークとして活動する。脳領域同士が相互作用し、競合することで、機能がある領域に特化していく」③が有力な説でしょうか。

  11. 脳の機能的発達について3つの考えがあるんですね。正直どれも難しく、理解とは程遠い状態ですが、こういったことを知れるのはとても楽しいです。その中でも相互作用特化説というのは、ある特定の脳領域は、単独で活動するのではなく、他の脳領域とともにネットワークとして活動するとあります。これを読んだときに、脳もチーム保育をしているんだなと思いました。個々を担当するのではなく、みんなで活動してそれを補いあっているような印象を持ちました。その中でだんだんキャラのような自分の立ち位置がわかってくるような感じでしょうか。それが特化ということでしょうか。まだまだ、わからないことだらけですが、少しずつ分かっていけたらと思います。

  12. 脳の発達についての研究はやはり、難しい印象を受けます。今回の研究で3つ目の相互作用特化説が特に印象的でした。そしてこの仮定が正しいのかはわかりませんが、読んでいると子どもの吸収力のすごさにつながるのではないのかなと感じました。脳が発達するにつれ、特化され局在化が起こることで固定概念や新しいアイデアを生み出すことが難しくなっていくことにつながるのかもしれません。正しいかはわかりませんが、私なりにそんなことを考えながら読ませて頂きました。

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