ひとりっこ

 中国では、一人っ子政策の影響から、男女比のバランスが崩れてしまいました。男の子が欲しいということで、妊娠した子が女の子の場合、中絶をする人が増えたためです。そのことに気づいた中国では、すぐ腰を上げます。まず、こんなキャンペーンを展開します。「女の子もいいもんだ」というキャンペーンを熱心に展開したのです。さらに、胎児の性別を親に告げる診療所を厳罰に処するとまで言い出したのです。しかし、このような対策は、すぐに効果が出るものではなく、1世代かそれ以上待たなければなりません。

 それまでのあいだに、中国社会では様々な問題が噴出するかもしれません。そこで、先に書いたように、20161月に「一人っ子政策」が撤廃され、すべての夫婦に二人目の子どもを持つことが認められるようになったのです。様々な問題とは、少子化の進展に伴う労働力不足、国内の投資・消費の縮小などが問題視されてきたのです。今後は「二人っ子政策」のもとで、出産を奨励する方向に舵を切ると言われています。そして今回の中央政府の決定を受け、各地方政府は規定を改定し、結婚・出産の時期を遅らせることにインセンティブを与える「晩婚・晩産休暇」を廃止するとともに、年齢を問わずに法定を上回る「出産休暇」を設けるといった出産優遇措置をとり始めたようです。しかし、ブログでも書いたように、どうも、経済的な理由などから、2人目の子どもを持つことに消極的なカップルは少なくないとみられているようです。

 「中国青年報」などが約3000人の男女を対象に実施した調査結果 (201511月発表)によると、二人目の子どもを持つことについて「考える」と答えた人は約半数の46.2%だったそうです。そして、51.6%が「生活の質は落としたくない」、40.4%が「今の生活のリズムを崩したくない」、32.1%が「職場での出世の可能性を犠牲にしたくない」として、二人の子どもを持つことに慎重な姿勢をみせている。また、86.6%が「社会の福利厚生が整わなければ安心して二人目を産めない」と答えています。やはり、一人っ子を勧め、その中での生活を送ることを経験してしまうと、なかなか元に戻るのは困難なようです。法律で、一人っ子を強制させてしまった結果ですので、今度はふたりっ子を、やはり法律で強制しないとだめかもしれませんね。

 進化というものは、遺伝子を子孫につないでいくことが強い動機を創っていくのですが、今までの地球上の生物の進化を見てみると、必ずしも遺伝子はつないでいません。途中でいくつかの種は滅びてしまっています。ヒト属のなかでも、私たちの先祖であるホモ・サピエンス以外の種はすべて全滅してしまっています。ですから、私たち人類も、いつ全滅してしまうかわかりません。ダンバーも、こう言っています。「種は変化する。生殖が続かずに途絶える血統が出てきたりして、種全体の遺伝子構成が少しずつ、でも確実の、より成功した血統に寄り添っていく。ほとんどの場合、そのプロセスは長い時間をかけて進行していくが、死亡率が極端に高くなる事態に陥ったとき、生殖でその不足を補える血統がひとつもないと、種はあっという間に滅びる。そんな絶滅の罠は常に潜んでいて、人類の600万年の進化のあいだに何十回もそういうことが起こった。ときには環境が共犯者として裏で糸を引いたりする。」