韓国報告23

 いよいよ、韓国視察の最後の園訪問です。三日目の午前中に訪れました。今まで5園見てきました。1日目の午前中、公立ソガンオリニジップ(ソガン子どもの家)、午後は、スンミョン(淑明)女子大学内オリニジップでした。二日目の午前中は、ハンソル教育希望財団が運営受託している企業所内オリニジップの国会内第1オリニジップ、そして、午後からは、プルニー財団が受託している企業所内オリニジップを2園、延世(ヨンセ)大学内のオリニジップと現代海上保険株式会社内オリニジップでした。

 最初のブログで紹介しましたが、韓国の幼児教育の施設は、基本的には日本と類似していて、幼稚園とオリニジップの二つに大別されています。オリニジップとは、ハングルで「子どもの家」を意味し、0歳から小学校就学前までの子どもが対象であり、日本の保育所にあたります。これまで見学した5園は、このオリニジップです。それに対して、満3歳から小学校就学までの子どもが対象の幼稚園があります。最後の訪問先は、この幼稚園でした。rikajosi

 日本では、1876年、日本で最初に設立された幼稚園として東京女子師範学校附属幼稚園が開園しました。韓国では、今回訪問した韓国ソウルにあるイファ(梨花)女子大学付属の幼稚園が、1914年に韓国最初に開園した幼稚園だそうです。梨花女子大学校は、1945年に設置された私立大学ですが、女子大学としては世界最大規模だと言われています。その園の園長先生は、来年からオメップ(世界幼児教育・保育機構)の会長を務める予定だそうです。

3歳児はひとクラス20名が2クラス、全日制の4歳と5歳が混合クラスと半日制クラスが2クラス、総勢144名が在園しているそうです。この園は、私立ですが、教育費43万ウォンのうち政府からその半額の22万ウォンの補助があり、残りの半額を親が負担しているそうです。ちなみに、韓国では、すべての年齢において保育料無料化を進めているために、普通の区立や公立はほとんど親の負担はないのですが、私立幼稚園の場合は、独自に保育料を徴収しているようで、高い私立幼稚園は80万ウォンかかる場合もあるそうです。

 この幼稚園は名門ということもあって、全国からの応募があり、競争率は約10倍で、日本でも国公立の幼稚園では入試の一部で抽選が採用されていますが、この園でも地域や親の職業に関わらず、抽選で入園児を決めているそうです。それでも、ここの在園児の中で、全日制のクラスでは大学関係者も多く含まれており、全体的に高学歴な保護者が多いことが特徴的です。この園の45歳児に全日制と半日制があるのは、時代の要請に合わせて延長クラスが導入されたということで、日本で言う預かり保育のようなもののようです。保育時間は、半日制の3歳児は912時、4歳児は913時、5歳児は914時で、全日制の45歳児は、917時だそうです。

保育内容としては、国が定めた教育カリキュラムであるヌリ課程に沿って保育することを基本とし、他に梨花独自に定めたカリキュラムによって保育されているそうです。園長先生の話では、子どもたちは、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心だそうです。そのために、室内には、他園同様、コーナーが充実しており、同時に4歳と5歳はテーマを決めたプロジェクトに取組み、現在、交通に関するテーマと、環境と消費をテーマとして保育しているということでした。

韓国報告23” への16件のコメント

  1.  〝名門〟という言葉はとてもインパクトがありますね。抽選が必要な程に需要の高い園というとやはり何かに特化した取り組みをしているのではと一瞬思うところで、それは即ち認知主義的な、教え込むスタイルのものなのだろうなという勝手な想像が今まであれば沸くところなのですが、これまでのブログを通して韓国の保育への取り組みを学んだことが大きく、〝子どもたちは、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心〟ということが自然と納得できるように感じられました。
     そして、〝同時に4歳と5歳はテーマを決めたプロジェクトに取組み〟という部分。〝交通に関するテーマと、環境と消費をテーマとして保育している〟とのことで、どういう取り組み方をするのだろうということと、そのテーマは誰がどのような意図で決定するのか、とても興味深く思いました。

  2. 区立や公立ではほとんど親の負担がないのに、私立の幼稚園では保育料を徴収しているのですね。そして、最後の幼稚園も教育費の半分を親が負担しているとありました。で、ありながら全国から応募があり競争率も10倍という高さにも驚きました。名門幼稚園で、教育費を親が負担し、と聞くとついつい何か目玉になるような取り組みを行なっているというような派手さがあるのかなと想像してしまいますが、保育内容が国が定めたヌリ過程であることや、子どもたちが、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動行なっていること、コーナーが充実していることなどから、そういった幼稚園ではないということを感じます。倍率がそれほど高いということから、本来の幼児教育とは何かということを保護者も理解しているということでもあるのでしょうか。

  3. ソウル滞在3日間で6か所の就学前施設を見学できましたが、今回で23回目となる「韓国報告」のおかげで、実際行っただけではなかなか理解できなかっただろう部分が良くわかりました。偏見やイメージだけで思い描いていたことと実態がかなり異なっていること、国の将来を本気で考え、乳幼児の保育教育に国家予算を以前より多く投入し、保育環境の質の向上をカリキュラムや評価によって実現させていこうとしていること、そしてオリニジップと幼稚園の一体化を国の乳幼児教育政策推進に関わる学者や有識者たちが目指していること、などがよくわかるようになりました。そして、何よりも、室内環境や園庭環境については先生の説明によってなるほどと了解できた部分が多かったような気がします。今回のブログで紹介されている梨花女子大付属幼稚園は日本のお茶の水女子大学付属幼稚園をモデルとして運営されてきたということを伺いました。今回梨花女子大付属幼稚園を視察できたので今度はお茶の水女子大学付属幼稚園を見学したいものだと思いました。いつかその機会が訪れるような気がします。7月にソウルで開催されたOMEP世界幼児教育機構の世界大会の際の見学先の一つが梨花女子大付属幼稚園でした。その時私は参加できませんでしたから、今回はとてもラッキーでした。

  4. 私立幼稚園の競争率には驚きですね。無償化である公立ではなく、高い保育料を払ってでもその環境に我が子を通わせたいと思うには、どのような環境が必要なのでしょう。今回、「ヌリ課程」だけでなく「梨花独自に定めたカリキュラムによって保育されている」とあり、地域独自の方針が組み合わさっていることが想像できます。それは、子どものたちの「参画」をテーマにしているようなニュアンスを受けましたが、実際のところはどうなのでしょう。しかし、高い保育料を払っている保護者にとっては、きっと先の見通しを持たれた裕福な家庭が、「将来のために」という早期教育を望んでいるでしょうね。そこで、ヌリ課程や独自のカリキュラムが力を発揮して、子どもたちの本当に必要な力を育ませる教育が注目を浴びて行くのですね。

  5. 韓国報告23

    今回の園の最初の印象は、やはり「名門」ということで、保護者のうけの良い何か特別な活動をしているのか…と思っていましたが、そうではなく〝ヌリ課程に沿って保育することを基本〟とあり、さらに〝子どもたちは、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心だ〟ということで、その質の高さを感じますね。そして、この園の競争率が高いということで保護者の方々、大人たちにも幼児教育についての考えがしっかりとあるように感じました。
    それは、日本でももっと取り組まなければならないことのように思いました。

  6. 日本と韓国では最初の幼稚園設立年で40年近くも差があることに驚きました。保育所ではどちらが先でどれほどの差があるのか気になったので調べてみようと思います。保育料無料化が進む中で私立幼稚園の教育費は変わらず高く設定されているのですね。それでも入園にあたって抽選等を行うあたり、他園と比べて秀でているもの、惹きつけるものがあることがわかります。その1つに「ヌリ課程に沿って保育することを基本とし、他に梨花独自に定めたカリキュラムによって保育されている」ことがあると思いました。ヌリ過程が韓国全土で浸透してきている中で、それに沿いながらも独自性を出さなければ秀でているもの、惹きつけるものは生まれませんね。そう考えると、ヌリ過程やミュンヘンの「バイエルン」は他園との違いを生み出すためという視点を与え、各園の独自性を引き出している効果もあるように感じました。日本にはこの一貫性が薄いように思えるので、独自性という観点では韓国に劣ってしまっているのかなと思えてしまいます。地域性等を交えた独自性の必要性を改めて感じた内容でした。

  7. 歴史ある園ということもあり、競争率は約10倍と人気のある園なのですね。また、保育料無料化で区立や公立は、負担がないのに対して、半額を保護者に支払ってもらっているというのは、様々な経営面があるのかもしれませんが、その額を支払ってもその園に預けたい魅力があるのでしょうね。また、ヌリ課程にプラスして梨花独自に定めたカリキュラムをもとに保育されているとあり、子どもの発達過程に必要性の保育内容をより、地域や国の伝統的な背景を踏まえてそれを独自性として取り入れられているのでしょうね。゛基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心゛とあるなかで゛4歳と5歳はテーマを決めたプロジェクトに取組み゛とある点から以前の内容にあった保育教師がプロジェクトの内容を月案として決めてるとあったことからどのような保育の形なのか気になりました。

  8. 幼稚園と聞くと教育的な所が強い印象を受けますが、今までの韓国報告を読む限り、韓国のスタイルというのは違っていますね。幼稚園ですが、「 基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心だそうです。」とあるように主体性を大事にしていることがよくわかります。またこのような幼稚園に入るためには「 競争率は約10倍」という高い壁があるのですね。この幼稚園が良いと思うということは国民がこの幼稚園の保育を理解しているということ、教え込むのではなく環境や主体性が大切であるということを理解しているということでしょうか。そう考えると韓国の一般的な理解の質の高さが伺えます。名門である他にしっかりとその保育で良い育ちの子どもたちがそこから巣立って行っているという実績があるからなのでしょうね。

  9. 最後に見学した園は韓国で最初に開園した幼稚園だけあって、名門と呼ばれているのですね。10倍の競争率はかなりの人気ですね。それだけ人気があるというと、やはり韓国のことなので色々な事を教え込み、身につけるかと思いきや、ちゃんと「ヌリ課程」を基本とした教育を実践しているのですね。子どもたちは基本的に自分でやることを決めるという点は「見守る保育」と同じですね。そもそも、同じというか保育の原理原則というのは「子どもの自発性・自主性」と考えると子どもが活動を選択するのは普遍的なことなのかもしれません。何か親の目を引くような特別な活動を実践しているとか、外部講師をたくさん導入し、レベルの高い指導を行っているとか、そんな事ではなく、子ども一人一人の自主性を尊重した保育を実践し、それでも人気があるということは、入園を希望する保護者もインテリが多いのかもしれません。

  10. 韓国に世界最大規模の女子大学があることに驚きました。オメップという言葉は、たまたま最近「日本乳幼児教育学会」に参加した際に初めて聞きました。これまではそんな組織があることも知りませんでしたが、学会のシンポジウムにオメップの現会長さんが参加されていてすごく宣伝をされていました。確か、現会長は香港の方だったと思います。次の会長は韓国の方がされるということなんですね。日本ではあまり知られていないようですが、何故なんでしょうか。
    オリニジップは保育料が無償で、私立幼稚園は高い保育料を保護者が負担しないといけないのに、この幼稚園は10倍の競争率ですごく人気なんですね。基本的にはどこの園もヌリ課程で保育が保障されているのに、これだけ人気なのは何か違いがあるのでしょうか。

  11. 幼稚園を見るということで、どこか「教育→一斉保育」というイメージを想像していたのですが、ここにあっても、そういった姿を見ることはありませんでした。ここでも中心にしている子どもの姿は主体性であり、子どもたちが自分たちで考えることにしており、保育における考えや内容は「質=主体性」であり、自由活動が中心というところからも子どもたちが遊びの中から広げていくことを見通しているということが伺えます。韓国の名門である幼稚園がこのことに触れ考えられている、また、この園長先生が来年オメップの会長をするということで改めて、世界的な流れがどういったところにあるのを感じました。

  12. 韓国で初めて設立された幼稚園、「イファ(梨花)女子大学付属の幼稚園」とありましたが、またまた私の勝手なイメージで一斉指導かなと思ったのですが、「基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心だそうです」とあり、ドイツの参画に似ている印象を持ちました。また、園長先生がオメップ(世界幼児教育・保育機構)の会長を務める予定とあり、韓国の乳幼児教育が世界にもっと近くなるのでしょうか。
    そして、無償でありながらも、保育料を払ってまでこの幼稚園に入れたい保護者がいるということは、他の園とは何か独自のものを取り入れているのでしょうか。

  13. 最後に有名な名門幼稚園を見学されたのですね。日本でもなかなか名門幼稚園の見学は難しかったり、入園に関しても同業者お断りと掲げているところもあったりなどといった中、本当にラッキーですね。というか藤森先生のお力がすごいということですね。しかし、その中身は全日制や半日制だったり3歳児と4,5歳児に分かれていたりと少し複雑さを感じるのは私だけでしょうか。実際にどのような形で保育が行われているのか見たい衝動に駆られていしまいます

  14. 日本においても韓国においても、幼稚園の仕組みがあまり分かってませんが、幼稚園に入る場合、抽選という制度があったんですね。また、学費が発生し、半額を親が負担することなど、幼稚園について知らないことが多すぎました。
    そして、もう1つ驚いたのが、保育園でも使用するヌリ課程を幼稚園でも使っていることです。日本の場合、保育園は保育指針、幼稚園では教育要領というように、違うカリキュラムを使用してると思います。それが、保育園、幼稚園関係なく、同じカリキュラムを使えるというのは、それだけ方針が同じだということだと、言えますね。

  15. 区立や公立ではほとんど親の負担がないのに、私立の幼稚園では保育料を徴収しているとあり、日本の高校に似ていると感じました。公立の幼稚園ではなく、高い保育料を払ってでも、私立の幼稚園に通わせたいと思うほど環境が整っているのですね。「保育内容として、国が定めた教育カリキュラムであるヌリ課程に沿って保育することを基本とし、他に梨花独自に定めたカリキュラムによって保育されているそうです」とありました。そしてその園では、子どもたちが、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心で、室内には、コーナーが充実しており、4歳と5歳はテーマを決めたプロジェクトに取組んでいるということでした。なんとなく、新宿せいが保育園に共通するところがあるように感じました。

  16. 今回紹介されている園は、長い歴史を持つまさに名門といった園だと思います。名門の幼稚園と聞くと、どこかお堅く教育に関する融通があまり効かないように思っていたのですが、子どもたちは、基本的にすべて自分たちでやることを決め、室内と園庭での自由活動が中心だとあり、思い描いていたイメージと大きく異なっていました。入園するには高い競争率があるとありましたが、保護者は古くから続く名門という肩書きではなく、教育の内容に共感し、それに価値を見出していることが、その競争率にも表れているのでしょうね。

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