親の出来ること

ミシェルは、よく学校などでの講演をすることがあるそうですが、その最後には、必ず「自制はあらかじめ完全に組み込まれていることなど、断じてない。」と強調して締めくくると、必ず「子どものために何をしてやれるでしょうか?」という質問をされるそうです。そんなときには、十分に時間があれば彼は、「子どもがおなかにいるあいだと、生まれてからの数年間は、ストレスレベルを低くしておくことが、とくに重要だ。」と説明するそうです。幼いうちに子どもを長期にわたって極端なストレスにさらすと、恐ろしい害をその子に与えかねないことはよく知られていることです。

それに比べると、あまり知られていないようですが、1歳になるまで、たとえば、暴力はふるわれなくても、両親がたえず争っているというような一見すると軽度のストレス要因に慢性的にさらされて暮している子どもたちは、眠っているあいだに怒声が聞こえただけで、脳内でのストレス反応が拡大する場合があるそうです。赤ん坊のストレスレベルを低く保つための第一歩は、子どもが生まれると親のストレスが高まる場合が多いことを自覚して、親が自分自身のストレスを減らすことであるとミシェルは助言します。

衝動や誘惑、拒絶される経験に対するホットシステムの反応を「冷却」してコントロールするときと同じ戦略が、夜中に数時間おきに泣いてむずかる赤ん坊の面倒を見るときにも使えると言います。そんな赤ん坊に対して疲れ切っているときにはなおさらだとミシェルは言います。

保育者は、子どもが生後1年未満の頃から、気をそらす戦略を使って子どもの心を苦悩の感情から遠ざけ、気晴らしになる刺激や活動の方に向けてやることができると言うのです。そのうちに、子どもは自分で注意をコントロールし、自分の気をそらして苦悩を和らげることを学んでいくと言います。これは、実行機能を発達させる基本的な一ステップなのだそうです。

親は、この変化の導き手として力を貸すことができると言うのです。自宅で仕事をする作家の「ブルース」は、多くの時間を割いて4歳の息子の面倒を見ていたそうです。あるとき、息子はお気に入りのテレビ番組を待っていたのですが、見たいと思ったときに始まらないので、癇癪を起こしたそうです。ブルースは、マシュマロ実験の研究について耳にしたことがあり、子どもは自分の気をそらせば、ご馳走を待てるとも聞いていたので、わが子で試してみることにしたそうです。

そこで、息子をなだめ、もっと楽に待てる方法がいろいろとあることを教えたのです。自分で気をそらして、ほかに面白いことを頭の中でやったり、実際にやったりするだけでいい、そのうち番組が始まるからと諭したのです。すると息子は、お気に入りのおもちゃを手にして、テレビのそばから離れ、番組が始まるまで楽しそうに遊んだそうです。ブルースは、息子がこの経験で気をそらす戦略を学習したらしいのを見て、あまりのたやすさに驚き、また喜んだそうです。息子は、その後も自分で気をそらして、ほかの状況でも先延ばしに前より楽に対処し続けたそうです。

親の出来ること” への13件のコメント

  1. 3歳未満児の「気をそらす」行為を学ぶ機会が最近いくつかありました。そしてこられの共通点は「ホットスポット」に陥らずに済み、平静の遊びに戻っていったことです。1歳になるかならないかの子が「気をそらす」行為に出ます。本当に驚きました。保育室の先生たちはよくよくこうした子どもの行為を観察しているのだろうなと思った次第です。これでもか、これでもか、と乳幼児に迫る大人を見るたびに、子どものストレスを増大させている、その大人もストレスを増大させてしまっている、トホホ。何という悪循環!それにしても母子だけの関係はやはり、子どもの地平を狭めてしまうことに繋がりかねないと思うのです。というよりも、むしろ共にホットシステムを強化させざるを得ない、そういった事態を迎えることにもなりそうです。「保育者は、子どもが生後1年未満の頃から、気をそらす戦略を使って子どもの心を苦悩の感情から遠ざけ、気晴らしになる刺激や活動の方に向けてやることができる」という指摘は重要ですね。このことを保育者全員は学ぶべきだろうと思いました。

  2. ストレスに慢性的にさらされている子は眠っている間に怒号が聞こえただけでストレス反応が拡大するというのは驚きました。それだけ過敏になってしまっているということなのですね。また「子どもが生まれると親のストレスが高まる場合が多いことを自覚して、親が自分自身のストレスを減らすことであるとミシェルは助言します」とありましたが、赤ちゃんのストレスを減らすために親自身のストレスを減らすというのは、保育者にもつながっていくことですね。頑張りすぎて無理をするのではなく、力を抜きながら、無理をせずに、しかし重要なところはしっかり抑えるという保育の仕方、育児の仕方を知ることも大切なことなのかもしれません。また、気をそらす戦略を子どもに使うことで、子ども自身がその方法を学んでいくとありました。日々の保育の中でも先生方がホットになった子どもたちの気を巧みにそらしている姿を見ることがあります。そんな関わりから子どもたちが実際にその方法を学んでいくというのは素晴らしい力だなと感じました。

  3. 一歳未満の赤ちゃんでは、軽度なストレスでも慢性的にストレスを親から受けていると〝眠っているあいだに怒声が聞こえただけで、脳内でのストレス反応が拡大する場合がある〟とありました。
    それだけ敏感に反応してしまうようになってしまうんですね。二人の子どもをもつ親として、肝に銘じておかなければなりませんね。
    子どもをそんな風にしてしまわないために〝親の出来ること〟は〝自分自身のストレスを減らすこと〟というのには大いに納得です。
    何かの災害の時にも『子どもを助ける前に、まず自分の安全の確保を優先しなければ、助けられるものも助けられなくなる』ということを聞きました。自分を犠牲にするよりもまず、自分のことを考えてあげるということも、必要なことであるように思いました。

  4. 寝ている状態であっても、両親が怒鳴りあっていることに対して何らかのストレスを感じているということには驚きました。では、別の声が届かない部屋でやるべきだというわけではなく、根本からの修正が必要であるというこで「親が自分自身のストレスを減らすこと」という、育児の大切な部分でもあり、「実行機能を発達させる基本的な一ステップ」でもあるのですね。また、TV番組を待てずに癇癪を起こした子どもにも、自制のコツを少し伝えただけで、子どもはその経験をきっかけに、自分でその後も様々な場面で試していくという、まさに自主的に自制心を高めるようになるところがすごいですね。癇癪を起こした子どもを見ても、冷静に対応するという姿勢が重要であるとも感じました。

  5. 親から得た刺激からストレス要因が子どものストレスレベルを上げ悪循環になることは、子どもを育てる以上、わきまえておかなければならないことだと思います。゛親は、この変化の導き手として力を貸すことができる゛とあり、子どもが自身のなかで順序だてていたものが突如できないとなったときに、自制的部分に手を貸すことでうまく、その場面を乗りきることができ、その経験を次にそのような場面にであったときに気をそらしたりする方法で対処するようになる、子どもの特性を理解していかなければならない、そうすることをいかに冷静に子どもが自制する機会へと導くことが保育でいう専門的な関わりでもあると考えられました。

  6. 1歳になるまで、眠っているあいだに怒声が聞こえただけで、脳内でのストレス反応が拡大する場合があるのですね。子を持つ前に知ることができて良かったです。また、保育者が「気をそらす戦略を使って子どもの心を苦悩の感情から遠ざけ、気晴らしになる刺激や活動の方に向けてやることができる」こと、親は「この変化の導き手として力を貸すことができる」とありました。これは保育園と家庭との連携の1つですね。「こんな姿があったからこうしてみた」等の発信を保育園、家庭の両方がしっかりお互いに伝えていく必要性と、保育園側からの発信は、保育園が担っている育児支援にもつながることを感じました。また、ブルースは息子に「もっと楽に待てる方法がいろいろとあることを教えた」とありました。この方法も有効ですが、やはり家庭内では親というモデルの存在も重要だと思いました。子どもたちにそういった行動を促すのであれば、まず促し手の自分から見直し、行動でも示していくことも重要だと感じました。

  7.  〝もっと楽に待てる方法がいろいろとあることを教えたのです。自分で気をそらして、ほかに面白いことを頭の中でやったり、実際にやったりするだけでいい、そのうち番組が始まるからと諭したのです。〟気を逸らす戦略を子ども達に伝える、その方法をとても難しく考えていたのですが、このように伝えることでいいということを知り、とても気持ちが軽くなるような思いがしました。クラスのあの子もこの子も言ったらわかってくれそうだなと思う子が何十人もいます。早速今日そのような場面に出会えたら、伝えてあげたいと思います。
     〝赤ん坊のストレスレベルを低く保つための第一歩は、子どもが生まれると親のストレスが高まる場合が多いことを自覚して、親が自分自身のストレスを減らすことである〟〝衝動や誘惑、拒絶される経験に対するホットシステムの反応を「冷却」してコントロールするときと同じ戦略が、夜中に数時間おきに泣いてむずかる赤ん坊の面倒を見るときにも使える〟まるで自分のことを言っていただいているようで、とても心に響きました。戦略を使って、毎日を彩っていきたいと思います。

  8. 子どもが寝ているとしても、両親の怒号が聞こえるだけで脳が反応しているというのは頭に入れておかなければいけませんね。まだありませんが気をつけていきたいところです。また「親が自分自身のストレスを減らすこと」というのも子育てに対して重要なことだと感じます。それは保育者にも言えることかもしれないですね。「保育者は、子どもが生後1年未満の頃から、気をそらす戦略を使って子どもの心を苦悩の感情から遠ざけ、気晴らしになる刺激や活動の方に向けてやることができる」とあるように自然と保育者は子どもをなだめ、こういう方法があるよ?と気をそらす方法を伝えているのかもしれないと感じました。またブルースの子どものように気のそらし方を教えることで簡単に自分で気をそらすことができることを保育者がもっと理解しておく必要性を感じます。またイフ・ゼンも幼児クラスになるとしっかりと理解できるはずです。同じように伝えていくことで子どももストレスが軽減されていくのですね。

  9. 夫婦喧嘩は子どもにとって良くないというのは、誰でも分かることだと思います。しかし、眠っているあいだでも怒声が聞こえただけでストレス反応が拡大する場合があるというのは注意しないといけませんね。私も時々、妻と言い合ってしまう時があります。寝ているから大丈夫かな?と思ってしまいますが、やはりダメですね。
    息子が今はまさにイヤイヤ期で、自分の納得がいかない事、気に入らない事があると癇癪を起こし、私たちに訴えてきます。その時は何とか気をそらせるように、好きな電車のおもちゃで誘ってみたり、好きなアニメを提案したり・・・色々と気をそらせるような作戦を毎日、行っています。最近はかしこくなってきなのか、なかなか気をそらせない時があります。おそらく、もう少し成長すると具体的に「待つ」という行為の意味がわかってくると思います。その時に「気をそらす」方法を伝えていきます。

  10. 「子どもがおなかにいるあいだと、生まれてからの数年間は、ストレスレベルを低くしておくことが、とくに重要だ。」と前回のブログの最後にもありましたが、私にそれができているかどうかあまり自信が持てません。というよりも、ここ最近は色々なことが重なって忙しくしていましたので、イライラしている感情が家では特に表に出ていたという自覚もあり、きっと我が子はそれを感じ取っていたにちがいありません。私自信のそのようなストレスが、子どものストレスにも繋がるというように、周りにまで影響を与えてしまうということは自覚し、気をつけておかなければなりませんね。子どもにストレスを感じさせないためにも、まず親である私が自分のストレスと向き合い、それを軽減できるようにしていきたいと思います。

  11. 「子どもがおなかにいるあいだと、生まれてからの数年間は、ストレスレベルを低くしておくことが、とくに重要だ」とありました。この文から伺えるように、保育中に保育者が余裕を持って子どもと関わることの大切さがわかります。そして、その余裕を生み出すために、保育者がうまく連携を取ることが大切ですね。私は1年目で2歳児クラスに入らせていただいていますが、毎日子どもと笑ってばかりです。それは、周りの先生がフォローしてくれるからであり、とてもありがたいです。先輩方の動き方や対応などこれからも学んでいきたいと思っています。
    生後1年未満のこどもが、注意をコントロールし、自分の気をそらして苦悩を和らげることを学んでいくとありました。このことを理解して、子どもたちとの関わり方を学んでいきたいと感じました。

  12. 赤ちゃんだからと言って、周りのことを見ていないわけでもなければ、ストレスを感じていないわけでもないのですね。「暴力をふるわれていなくても、両親がたえず争っていというような一見すると軽度のストレス要因に慢性的にさらされて暮らしている子どもたちは、眠っている間に怒声が聞こえただけで、脳内のストレス反応が拡大する」とあります。直接自分に降りかからず、間接的にでも関わることで子どもたちはストレスを感じてしまうのですね。これは保育者も気を付けていかなければいけません。落ち着かなかったり、イライラしていたりとそれらは子どもにも伝わってしまっているのかもしれません。赤ん坊にとってもストレスレベルが低く保つことも将来のクールシステムに影響があるのですね。自分をコントロールし、「自律」に向けて子どもたちを育てていくための環境づくりは保育者も考えていかなければいけません。そのための距離感や環境づくり、促しかたや待たせ方など、まだまだ実践していくことがありますね。

  13. 子どもにとって親の存在はとても大切なことだと思います。今回はブルース氏の例が出ていましたが、もし彼がマシュマロ実験を知らずに、待つということに何も感じていなかったら、むしろ、そんな自分の子どもに対しストレスを感じていたら等、状況は大きく変わる気がします。文中でも、保育士が、子どもの気をそらし、苦悩から遠ざけるとありましたが、保育士のみならず、周りの皆が子どもに対してどうするべきかということをしっかりと考えていくことが大切ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です