情報伝達タイプ

大人が関心を表明した場合と比べると、無関心を表明した大人の場合では、実験を繰り返すうちに乳幼児は指さしをすることが減っていったということなどの結果から、どのようなことが分かったのでしょう。それは、大人と感情を共有したいという感情表出タイプの陳述的指さしにおける乳幼児の動機が、はっきりと浮かび上がってくると言います。それは、大人に単に対象物に注意を向けるだけでなく、それに対する自分の感情を共有して欲しい、という動機だというのです。

現場で子ども同士の関わりの中での指さし行動を観察する際には、指さし行為は、社会的コミュニケーションであるということですので、指を指し示された側の反応も観察して欲しいと思います。その反応によって、指さしを続けるか、やめてしまうかという違いとして現れるようです。また、保育の場面で指さしをしている子に対して、保育者はどのような反応をすべきかということも考えていかなければならないようです。

次に、情報伝達タイプの陳述的指さしが生じるのは、乳幼児が大人にとって必要な情報、あるいは欲しい情報をもたらすことによって、冷静に大人を助けようと意図している場合です。この動機は、実際に大部分の陳述文を使う際の動機にかなり近いと考えてもいいようです。この動機を持つためには、乳幼児はまず他者が何かを知っている、あるいは知っていない、という状態になり得ることが理解できなければならないのです。次に、他者にとって必要な、あるいは望ましい情報をもたらすことによって、その他者を助けようという利他的動機を持っていなければならないのです。

しかし、このような動機を12ヶ月の乳幼児が持って指さしを行なっているのでしょうか?そこで、リスコウスキらは、乳幼児をさまざまな状況において検証してみたようです。大人が何かを間違った場所に置いてしまったり、見失ったりして、それを探しているのを乳幼児に観察させます。こういった状況で、乳幼児は大人が探している物を指さすという検証ですが、それについては、以前のブログで紹介しました。必要としないものも同じように棚にしまった状態で、探している使っていたホッチキスのあり場所を指さしたというものです。

このような状況の時に、乳幼児は、自分のためにそのものを欲しがっている兆候、たとえば、鼻声を出したり、手を伸ばすなど、それについての自分の感情を大人と共有しようとする兆候は示さなかったのです。これらの結果から、乳幼児は陳述的に指さしをする際に、何かに対して興奮を感じて、それを大人と共有しようとするのとは違う目的で指さすことがあるということが分かったのです。大人にとって必要な情報、あるいは大人が欲しい情報をもたらすことによってその大人を助けたいだけなのだと考えているようです。これらの二つの動機ははっきりと別であると考えられると言うのです。

では、もう一つの動機である「命令」についてはどうでしょうか?それは、非常に単純なもので、他者を、物事を生じさせる因果的主体であるとみる理解に基づいているのだと主張している研究者がいるそうです。この考え方の根底には、自閉症の子どもが命令的指さしをするのですが、類人猿が人間とやり取りをするのと同じように、陳述的指さしはしないということがわかっているからです。