私たちの師

 ダークマターの正体は謎であるにもかかわらず、ダークマターは光り輝く銀河を形作る力を生み、「宇宙の大規模構造」を決める役割を果たしていると考えられています。いわば、「ダークマターがなければ銀河も誕生しなかった?」とさえ言われていますが、私は、人類が持っている「ダークセンスがなければ、人類は生存してこれなかった?」と思っています。

 銀河団には恒星や惑星など、目に見える物質でできたさまざまな天体が含まれていますが、ツビッキーの計算では、そうした目に見える物質の質量をすべて合わせても、銀河団が存続するには足りないそうです。つまり、もしも目に見える物質の分の質量しか存在しないとしたら、それぞれの銀河はとうの昔に宇宙空間に飛び去っているはずだった。ところが、かみのけ座銀河団は何十億年も生き延びている。その意味するところは明らかで、「宇宙には目に見える物質よりもずっと高い密度でダークマターが存在する」とツビッキーは推測しました。その後の研究で、宇宙の初期にダークマターの重力によって太古の始原物質が寄せ集められなければ、銀河が形成されることすらなかったことが示されたのです。

 人類の誕生期に、様々なヒト族が生存します。もし、目に見える力や体系だけであるならば、ネアンデルタール人の方が、ホモサピエンスよりも生存するうえで有利だったはずです。事実、ホモサピエンスは、ネアンデルタール人から様々な技術を学んだのではないかと思われています。

現生人類の祖先はアフリカで進化していきます。その後、65万年前に一気にユーラシア大陸に広がります。最近、アメリカの2人の考古学者が、初期人類がアフリカを出てから広く拡散するまでの道のりを明らかにしたと発表しました。パンくずのように残された石器の跡をたどると、私たちの祖先はいったんアフリカから緑のオアシスだったアラビア半島へと遠回りし、5万年間ほど定住。続いて中東に移動して、そこではじめてネアンデルタール人と遭遇したといいいます。そして、私たちの祖先は、ネアンデルタール人から道具作りの技術を拝借した可能性があると発表したのです。

もちろん、その説に確証はありませんが、そうであれば、ネアンデルタール人は、体格に優れ、体力、運動神経にもすぐれ、道具を作り出す技術にもすぐれていたにもかかわらず、そののち全滅をしてしまい、ホモサピエンスだけがヒト族の中で生き残っていくのです。その時に、私は、これからの時代、2035年問題と言われている人工知能の行きつくところは、ネアンデルター人が持っているものであり、その時に人類がそれら機械よりも上回れるものがあるとしたら、ホモサピエンスが持っていたダークセンスといわれる、科学ではまだ解明できない能力のような気がするのです。(誤解を受けないように確認しますが、ダークセンスという言葉は、全く私が考えた造語で、一般的には使われていません。)

その能力がどんなものであるかを探り、今後人類はその力をつけるとしたら、その師は、「赤ちゃん」や「幼児」なのではないかと思うのです。ですから、科学の今後の課題でも書いたように、私は、「最終的課題は、乳幼児期に存在しているのです。」ということになると思っているのです。