私の園で、大きなガマガエルを捕まえてきて子どもたちが飼っていたことがありました。その時のエサは、爬虫類ショップで購入した生きたコオロギです。カエルを飼っているときの醍醐味は、捕虫の瞬間を見るときです。じっと動かないカエルの目の前にコオロギを置くと、しばらく微動だにしないカエルが、ある瞬間、すばやく舌を出し、コオロギを捕まえて口の中に入れます。その素早さと、その虫の捕らえ方を見ることができた子どもたちは、大興奮です。それを見た興奮は、その行動だけでなく、めったに見ることができないものを見ることができたということもあり、それが見たくてじっと飼育水槽を眺めている子もいます。夕涼み会の日、それを広く子どもたちにライブで見せようと、カメラを釣りつけ、その映像をパソコンを経由してプロジェクターから大きなスクリーンに映るようにしました。その意図が成功して、見事当日にカエルが捕虫する姿を、大きな画面で実況中継することができました。それを見ていた、テレビ局に勤務している園児のおじいさんが、テレビの科学番組よりもいい出来だったと褒めてくれました。
いま、いろいろなツールがそろっています。インターネットにアクセスして大画面のディスプレイに映すことによって、科学指導を広げていくためにとても役に立ちます。それは、もちろん、今回、園で行ったように、本物のカエルが本当にえさを捕る姿を放映することができれば一番いいのですが、それが身近なカエルであれば可能でも砂漠に生息する生き物の場合は不可能です。しかし、遠い砂漠で野生の生き物の生活をしている姿を、ネットを介してみることができます。しかも、その生き物の口の中、下から、様々な視点から観察することは可能ですし、子育てなどの生活をいつでも見ることは可能になります。
また、小学生になれば、パソコンを使ってデータを記録し、図にすることもできるようになります。パソコンに多少慣れている子どもなら簡単な文字も打てるようになります。しかし、だからといって、あまりパソコンに入っている画像を多用するのは避けた方がいいと言われています。それは、これらの画像は型にはまっていることが多いようですし、子どもが自分で描画して説明しようとする気を失くしてしまうことが多いからです。現代の子どもたちは、上手にパソコンを使いこなすことがでいます。ですから、子どもたちは、コンピューターで文章を作成し、自分で観察したことを図にして書き入れることができるようになります。そこで、私の園では、まず、観察したことを簡単な絵と、場所と、その特徴を紙に書き込んでもらった、自分たちで作った図鑑が展示されています。
レッジオ・エミリア市の園では、アトリエスタという美術担当職員が、世の中の様々なことを絵で描き表わすよう子どもたちに体系的に働きかけているそうです。そうすると、子どもたちはとてもうまく描き表わせるようになるようです。
私は、科学活動ではありませんが、小学校の1年生を担任していた時、1学期の間は本の読み聞かせをした後の感想を絵で描き表わせていました。それは、想像力をつけることと、文字を使うことへの意欲を高めるためにしていました。園の子は、紙芝居やテレビで話は絵とともに見ているために、どうしてもイメージを持ってしまいます。自分で感じたこと、自分で直接見たことを絵で描き表わしていたのは、科学の基礎だったのかもしれません。