各国の食

 僧が食事をしてはならないと定められた時は、正午から翌朝の日の出前までの間でした。僧侶は正式には1日1食で、午後の食事は禁止されていたのです。これを食事をとってはいけない時間という事で「非時」といいます。私は、仏教のことはよく知らないのですが、このような「非時」という意味にもかかわらず、もう一つの意味に、「僧の午後の食事。規定にかなう正午以前にとる食事の斎(とき)に対していう。」とあります。ですから、食べてはいけないときに食べるものという事で、「非時食」ともいい、略して「非食」(ひじき)といい、昼食の意味にも使われるようになったと言います。何で、食べてはいけないときに、食べてもいいのでしょうか?

 また、神道にはこのようなことがあります。私の子どものころには、家には仏壇と神棚がありました。父親は、朝起きたら神棚の水と榊の水を替えていました。そして、そこにはコメが供えられていました。そして、次に仏壇にご飯を備えました。これらは、日常の食事に神や仏を意識していて、ともに食べるという共食を意味していると言われています。

 また、園でも行われている行事食というものがありますが、それは、家庭でも行事の際には日常とは異なった料理がつくられ、異なった様式によって食べられます。たとえば日本で正月にほぼ全国的に食べられるもち米は、おそらく古代に常食だったと考えられ、神祭りの際に神(祖神)への供物として用いられたものが定着したものだそうです。それを人も頂くわけで、行事食には神(あるいはそれにかわる絶対者)との共食(神人共食)の意識が濃いといわれています。

 このように、各国では食は文化ですので、昼食のあり方、1日に何食食べるかも国によって事情が違うようです。特に、食事時刻や回数はめまぐるしく変わってきたようです。中国の農家では2食が普通とされ、インドでは正午以前と日没後の2食が主で、早朝と夕方、乳の入った茶を飲みます。アラビアでもほぼ2食が普通です。ヨーロッパでは、古代ギリシアで1日3食、ローマ人も3食だったそうです。しかし、どういうわけか、ローマ時代になると朝食は消えてしまいます。中世には、昼の正餐と夕食の1日2食が理想の形とされます。中世には、「1日に1度の食事は天使の生活、2度の食事は人間の生活、3度、4度、それ以上は動物の生活で、人間の生活ではない」ということわざがあるそうです。

 それが、1日3度になったのは、日本と事情は異なり、面白いですね。ヨーロッパの仲間入りをしたのは、朝食です。朝食をbreak fastというのは、fastという断食をbreak(中断)させるという事で、夕食から次の日の昼食までの断食を中断する食事という意味です。フランス語の朝食も同じ意味だそうです。日本の非食と同じような意味かもしれませんが、それを指す食事が、日本では中食を指すのに対して、ヨーロッパでは朝食を指す言葉ですね。

 また、1日の食事には軽重があります。日本では、一般に夕食は多く、ゆっくりとだんらんを伴って食べられますが、たとえばスペインなどのように、昼食を多く、時間をかけて食べる国もあります。それは、ヨーロッパでは、断食明けの昼食には時間をかけ、質量ともに1日のうちでは最も充実させる習慣がありますが、日本では間食として新しく仲間入りした昼食が、3食の中で最も質素です。

 では、その昼食としての給食には、どのような歴史があるのでしょうか?