職場環境

最近、他の職場同様、園でも精神的に病んでしまう職員が多くみられます。離職率の高さを生んでいる原因に、職場における人間関係によるストレスが大きく影響しています。「人が宝」と思うのであれば、職員のメンタルヘルスにもっと関心を払う必要があると尾崎氏は指摘します。その具体的な対策として第4のポイントとして、そのストレス要因をいかに低減するかを職場全体で考える必要があります。最近は、「職場環境改善会議」と称し、職場ストレスを低減する方法論の研究も進められているそうです。それは、「生産性の向上」という観点ではなく、「ストレス低減」という観点から改善活動を行うことが必要であると言います。ですから環境といってもハードである環境や仕事の進め方だけでなく、人間関係や権限委譲、働きやすさなどの目に見えないソフト面にも目を向ける必要があるようです。

第5番目として、メンタルヘルスに問題があるとして休職者に対して、復職を期に改めて本人の「強み、弱み」を振り返る機会をつくることが必要だと言います。ドラッカーは、「強みを生かす」ことを繰り返し述べています。そして、『経営者の条件』という本の中で、「知識労働の時代においては、強みをもとに人事を行うことは、知識労働者本人、人事を行うもの、組織そのもの、社会にとって欠くべからざることである」と述べています。

一見、管理職から見れば、「確かに人を大切にすることが重要であるのは間違いないが、そんなことをしていたら生産性が上がらない」と思いがちですが、実際は違い、かえって、ヒトを大切にすることによって、会社の業績とメンタルヘルスの両方が向上した例があるそうです。例えば、オリンパスソフトウェアテクノロジーでは、社員個々を把握するための「コミュニケーションシート」やスキルアップのための「スキルシート」と「社員教育」を充実させました。そして、管理職と社員の距離を縮める制度改革やイベントを実施し、メンタルヘルスの専門部隊を社内に設置してメンタルヘルス不調を個人ではなく会社の問題として解決する姿勢を積極的に示し続けたそうです。

その結果、メンタルヘルス不調による休職者、退職者が減少しただけではなく、自己都合退職率0%、開発生産性32%向上を達成したといいます。人を中心に据えた経営が、メンタルヘルスにかかわる問題だけでなく、生産性や離職率にも影響したということです。園でいうと、職員はいろいろと困難にぶち当たることがあります。たしかに、そんな時に突き放して、それを乗り越えさせることで立ち直らせることが行われてきました。しかし、それは物がなく、貧しい時代の話で、今の若者たちは共感してあげることが必要です。誰かが自分のことをわかってくれる人がいるという確信ががんばる気持ちにさせます。

やはり、ヒトは社会を構成し、その中で協力をして生き延びてきた生き物なのです。ですから、孤立には非常に弱い生き物です。他人から無視され、相手にされない、切り捨てられると感じることは、仕事へのモチベーションが下がります。それに対して、気に掛ける、理解する、共感する、励ます、共に行動する、こんな関係が職場に必要です。

人手不足は、ただ、給料を含めた処遇の低さや、少子化による人口減に原因を求めるのではなく、職員の気持ちの変化に気づき、「人は使い捨て」と思う気持ちから、心から、「人は宝」であるという思いを強く持つことが必要な気がします。