働き手の変化

私の園は、新宿区で民営化を受けて丸8年を過ぎました。開園の時に新卒で採用をした職員も、次第に結婚し、子どもができました。そこで、開園のころから少しずつ働き方を見直してきました。今年度は、そんな職員のために、勤務体制、また、チーム保育のあり方を見直し、自分の子どもために休みやすく配慮した人事をします。最近、多くの園で契約社員が多くなりつつある中、私の園では契約社員は派遣社員は一人もいません。一人ずつ、それぞれの家庭を大切にし、自分で選んだ生き方を応援するような体制をとっています。

それは、スタバ日本法人も同じような状況になってきました。設立が1995年なので、入社したときに独身だった社員も結婚し、家庭を持つようになりまし。子どもや親の世話といった家族の事情を抱える社員の生活設計と、画一的なキャリア形成の人事制度にズレが広がりかけていました。そこで、それまでの制度を見直し、正社員に「全国転勤OK」「勤務地限定」という2つのキャリアパスをつくりました。そして、この2つは個人の事情に合わせて途中で変更できます。契約社員は勤務地限定の正社員に変わり、それまでの正社員は進路を選べるようにしました。その結果、どうなったのでしょうか。

すると、店舗で働く約1500人の正社員のうち、4割が勤務地限定の道を選んだそうです。荻野氏は「会社や仕事に愛着を持ってくれた社員を失えば、会社も損する。そんな事態を防ぐための先手を打てた」とみています。今の時代は、単身赴任や、祖父母の介護などのために転勤をためらう人が増えてきているのです。

今や4割にもなった非正規職員の処遇や働き方を見直すだけでなく、正規、非正規を問わず、働き手の仕事や生活への考え方を見誤れば、経営の土台を揺るがしかねません。現在、いろいろな職種でこのような状況に置かれているのです。そこで、各企業では、それぞれ何らかの手を打っています。

たとえば、ゼンショーホールディングスは傘下の牛丼チェーン「すき家」を全国7地域に分社しています。その目的は、「住み慣れた場所で働きたい」という社員や就職希望者たちの声に耳を傾け、地域の実情に合うように会社の骨格をつくり直すことだといいます。以前のブログでも紹介しましたが、「ユニクロ」のファーストリテイリングもパートらの正社員化に動き出しています。ドイツでも、2級の保育者に講習を受けさせ、その間に450ユーロジョブという制度で収入をある程度確保し、給料のかなり高い1級の保育者への移行を保障し、処遇改善を図り、保育者不足を解消しようとする試みを行っています。

働き手の会社への期待は世代や雇用情勢によって変わります。固定観念にとらわれず、働き手の変化のサインを見逃さないことが大事になってきたといいます。その変化についていかずに、ただ、処遇が悪いとか、給料が低いからだと言っているだけでは、人手不足は解消していきません。

ドラッカーは、「プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか」の中で、人を使い捨てする会社の行く末」について警鐘を鳴らしています。この本は、ドラッカーを初めて読む人のために、これまでの著作10点、論文1点からエッセンスを抜き出し、ドラッカー自身が加筆・削除・修正したものです。この中で、ドラッカーは、社会において業績をあげ、何かに貢献し、成長するにはどう考え、行動すべきかを考えています。