ドイツ報告2014-22

 日本にも冒険広場があり、そこでは子どもたちが伸び伸びとダイナミックに遊んでいます。それは、もちろん大切なことですが、ドイツでの冒険広場と大きな違いを見てしまいます。それは、子どもの「自治」をどれだけ保障しているかという点です。子どもの自由は保障されています。しかし、その自由というのは、子どもが思う存分、好きなことをやる保障があるということが多く、その責任を子ども自ら取るという観点は薄い気がします。ですから、日本では、もし冒険広場でも子どもたちが怪我をしても、それは当然のことであり、その怪我から学んでいくという考え方をすることが多いような気がします。それは、それとしてとても大切なことですし、多くの人たちが、子どもにけがをさせることを恐れている時代から見ると、こういったことを主張していく必要性を感じます。

しかし、ドイツでの冒険広場は、怪我をしないように自己コントロールをする力をつけようとします。これは、すべての園でも、運動遊びは、筋力や体力をつけることが目的ではなく、体のバランスをとる力をつけることが大きな目的だと話しています。それが、「自治」という考え方です。その違いは、特に日本では、子どもは人間としてまだ一人前ではなく未完成な生物であり、大人がきちんと教育しなければならない対象であると捉えられているからかもしれません。しかし、子どもはひとつの人格そして自らの意思と考えを持ち、固有の権利を有しています。むしろ大人になっていく段階で多くの大人たちが失っていく好奇心や空想力、集中力をふんだんに持っている人間なのです。

1948 (昭和23)年に『保育要領(試案)』が刊行されました。この要領は結果的には日の目を見ませんでしたが、その六に「幼児の保育内容―楽しい幼児の経験―」が書かれてあります。その4には「自由遊び」が書かれてあり、そのリードには、こう書かれてあります。

「子供たちの自発的な意志にもとづいて、自由にいろいろの遊具や、おもちゃを使って生き生きと選ばれる遊びが自由遊びである。そこでは活ぱつな遊びのうちに自然にいろいろの経験が積まれ、話し合いによって観察も深められ、くふうや創造が営まれる。また自分の意志によって好きな遊びを選択し、自分で責任をもって行動することを学ぶ。子供どうしの自由な結合からは、友愛と協力が生まれる。」

ここには、子どもの自発的な意志の尊重は、まさに子どもはもともと自ら成長しようとする力を持っていることを信じ、それを、環境から保障してあげるのが保育者であるということを言っています。そして、自分の意志で選択することによって「責任」を学ぶことができるとしています。

「子どもの権利条約」が批准された今、このような考え方はきちんと国際法によって示されたのです。そこでは、あらためて、子どもが人間として本来持っている能力と子どもの権利を明らかにし、それを阻害してきた要因を十分に精査し、新たな社会的システムを構築していく必要があると提案されているのです。
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このシステムを学ぶ場の一つが、ドイツにおける冒険広場なのです。そこでは、大人が単に用意した環境の中で子どもたちが遊ぶということではなく、子どもたち自ら環境をつくっていきます。道具を借り、場所を借り、協力して町をつくるところから始まるのです。
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