人間関係

 最近、保育園における離職率が高いようです。その理由に職場環境があるのですが、その主な理由が、「職場における人間関係」と「保護者対応」だそうです。それに対して、都会では保育者の派遣による就業が増えてきています。ここに、最近の保育園における事情が見えてくる気がします。

 保育関係者は、最近の保育者不足に対して「職員の処遇改善」を訴えます。確かに、保育者の給与は、一般労働者の中ではかなり低いのは確かです。また、その中でも私立への就職希望が少ないのは、公立に比べて給与が低いだけでなく、福利厚生、持続的な勤務への補償、定年時、その後の保障の低さにも関係があります。基本給だけでなく、そのほかの保障においても、公私の格差をなくしていくことは必要です。

 しかし、最近の保育士不足は、それが原因というよりは他にある気がしています。その一つは、最近の若者事情にあるようです。離職の主な理由の二つは、どちらも「人間関係」に対する困難さです。例えば、職場における人間関係ですが、私はどうも大学生活環境から職場環境への切り替えがうまくいかに若者が多い気がします。大学生まで、自分の身の回りにいる友達、一緒にだべったり、食事に行ったり、旅行に行ったりする仲間は基本的に気が合う人を選びます。そして、年齢が同じか近い人同士の場合が多く、そこでは楽しい会話が多いでしょう。好きな歌、好きな芸能人、好きな映画、好きなスウィーツ、会話の内容も、それほど相手を否定するようなことはありません。

 テレビで、渋谷の歩道橋の上でたばこを吸っている高校生の女の子に「たばこを吸ってはいけない!」と注意したら、「えっ?タバコなんて、みんな吸ってるよ!」と答えていました。彼女らは、高校生からたばこを吸っている人同士で仲間を作っているのかもしれません。無意識のうちに、気が合うどうしで仲間を作り、いつもその仲間と行動をしていたら、世の中の人の多くはそういう人だと思ってしまうかもしれません。

 しかし、職場における仲間は、初めて自分がきめた、自分の価値観から決めた集団ではないのです。それは、趣味が違うだけでなく、考え方も、年齢もそれぞれ違う集団です。しかも、その人たちと一緒に仕事をするとなると、彼らを無視するわけにもいかないのです。その中で人間関係を構築していくことに、今の若い人は抵抗があるようです。かつては、いやでも一緒に行動しなければならないことがありました。

 私は、あまり人付き合いのいい方ではありませんでした。かなり人見知りで、無口の方でした。(今は、多くの人はそれを信じてくれませんが)ですから、保育関係者以外の人たちとの付き合いはそれほど多くありませんでした。私の住んでいる地域は、旧市街化地域で、市内でも1、2を争うほど古い町会組織がありました。町内に鎮守様があり、町民はみな氏子になります。そして、組があり、交代制の組長がその組の住民の朝会費を集めたり、組に葬式があると、分担を決めたり、葬式を仕切ります。そして月1回、町会議に出席をします。ある年、私が組長の役割が回ってきました。すると、町会長と、顧問をしている女性が訪ねてきました。そして、その女性がこう私に言いました。「あなたは、たぶん自ら町会に参加するようなタイプではないですよね。しかし、どうせ組長として月1回会議に出なければならないのであれば、いっそ、副町会長になりませんか?その経験は、きっとあなたにはプラスになりますよ。」ということで、30歳代後半で、突然、広報部長、副町会長になったのです。この経験は、びっくりすることだらけでした。