焼津

 日曜日、園内研修のついでに、全国有数の遠洋漁業の基地として知られる焼津港に寄ってみました。この漁港は、遠洋漁業の中でも、カツオの水揚げ高は、押しもおされぬ日本一です。日本全国のカツオの水揚げ量は約31万トンで、その中でなんと13万4865トンもの冷凍カツオが焼津港に水揚げされているそうです。特に冷凍カツオランキングは堂々の全国一位だそうで、なんでも焼津のカツオ漁は、徳川時代にはすでに相当の規模を誇っていたらしく、27隻のカツオ漁船に幕府から船艦札が与えられていたといいます。カツオの水産加工業も昔から盛んで、今なお、カツオを無駄なく全部食べる(利用する)習慣は、受け継がれているそうです。
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この日は、日曜日なので魚市場は休みでしたが、港に停泊している船の多くは、先端に二本、竿が伸びています。それは、カツオといえば、遠洋一本釣りが有名です。この竿で釣るのでしょうか?カツオと言えば初夏の味「初ガツオ」がおいしいという人や、カツオは秋の「戻りカツオ(トロカツオ)」に限るという人もいます。焼津のカツオの多くは「初ガツオ」であることが多く、今の時期が旬です。そこで、どこかでカツオを食べてみよということになり、店を探したのですが、なかなか見つからず、やっと漁港の近くのすし屋を見つけました。カツオといえば、「刺身」や「たたき」だけでなく、焼津鰹節、なまり節、塩辛、へそ(心臓)、はらも、角煮等として食されています。

店に入ってカツオをどのように食べようかと迷っていたら、お店の人が、「今このようなイベントをしていますが、予約制ですが、もし今日、いいカツオがあったらそれが出せますが、聞いてみましょうか?」と言っていただいたので、カウンターの板前さんに聞いてもらったところ、用意できるということで、それを頂くことになりました。それは、刺身で、少し味付けをした大根おろしとともにショウガ醤油につけて食べます。非常においしかったです。
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ほかに焼津で見学したのは、「焼津小泉八雲記念館」でした。小泉八雲といえば、かつて訪れたことがあるのは松江と熊本の居住地跡でした。しかし、小泉八雲は水泳が得意だったために、夏休みを海で過ごそうと、家族を連れてよい海岸を探していたのです。それは、彼の生い立ちに関係があるようです。彼は、ギリシャのレフカダ島(ギリシャ本土に接して西側のイオニア海に浮かぶ美しい島)で生まれました。そして、2歳の時、母と、父の実家のあるアイルランドのダブリンへ移ります。この二つの地で、彼は一生の趣味となる水泳に親しんだのです。
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そこで、彼は家族と夏過ごす地を探したのです。まず八雲一行は舞阪の海を訪れたのですが、海が遠浅で海水浴には適しているが水泳には適さないと気に入りませんでした。その後、海の見える駅で降り、順番に見て行こうということになり、降りた最初の駅が焼津だったのです。焼津の深くて荒い海が気に入った八雲は、海岸通りの魚商人・山口乙吉の家の2階を借り、以後、亡くなるまでほとんどの夏を焼津で過ごしました。

 海で過ごす八雲の姿を子どもたちに水泳を教えた後、「美しい景色に囲まれたこの海で、八雲はプカプカ浮かびながら、煙草をふかしたそうですが、とても気持ちよかったでしょうね」と見ていた人が話しています。この姿から、私は父親の姿を映していました。私は小さかったころ、よく父親に海に連れて行ってもらいました。父は私たち子どもと砂浜で遊んだあと、私たちが休憩している間、沖の方まで、姿が見えなくなるほど遠くまでひとりで泳いでいきました。そして、私たちに、「水泳は、速く泳ぐことなど何の意味もない。長く泳ぐことができることだ。」と言って、「抜き手」や「のし泳ぎ」を教えてくれました。戦争で、海に投げ出されて、何日も海の上で過ごした経験があったからでしょう。ですから、私は今でもクロールは苦手です。