ドイツ報告2014-6

 ドイツに来ると、書類に関係しての違いにびっくりします。日本では、保育者が作成する書類の多さに、どの園でも大変になっていますし、その多さが、保育者へのなり手のなさの原因の一つになっていることがあります。それは、子どもは好きなんだけれども、書類が多いので、契約保育者、派遣保育者を選ぶのをよく聞くからです。それは、文章が苦手な人はもちろん、多くの書類は、時間外や休憩時間に作成しなければならないからです。また、そのように苦労して書いても、その後多くは活用されないどころか、読み返されない書類が多いことに、なんだかむなしさを感じることが多いからです。

 まず、ドイツでは、保護者へのおたより帳はありません。送迎の時に、保護者へその日あったことなどを伝えることもありません。投稿園時に、特に子どものチェックもしません。保護者は、勝手に?つれてきて、勝手に?連れて帰ります。なんとなく、職員と目配せをする程度です。それは、保護者もスタッフであるとか、園の職員の良きパートナーであるという関係である気がします。サービスの提供者と利用者という関係ではないのです。ですから、当園時にゆっくりとコーヒーを飲んでいくこともありますし、子どもたちと遊んでいくこともありますし、私たちのような見学者がいると、一緒に接待をしてくれる保護者もいます。

 それに代わるものとして、一つはポートフォリオと呼ばれる子どもの成長記録です。もう一つが、週案と同時に掲示されているその日の活動報告です。週案の形は園によって違いますが、日本のように、書類として残すような週案はどこにもありません。これは、私の園でも見直しているところですが、3歳以上児の保護者に今週、何曜日にはどのような活動予定であるかを掲示するのです。ドイツでは、それを子ども用と、保護者用と分けて掲示している園がありました。しかも、ドイツでは活動によって、年齢別で行ったり、異年齢で行ったりと内容によって集団を変えるので、どの活動を、どの年齢で行うかを同時に掲載するのです。
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 この園では、下の方に絵で表されているのが子ども向け週案で、右上の方にあるのが保護者用週案です。しかし、週案といっても、みんな一斉にそれをするのではなく、私の園でいうと、その日には、そのゾーンが開いているというような意味なので、同じ日に何種類もの活動があるのです。これらの週案の中で日本にはない活動が、いくつかあります。
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月曜日の活動の中で、背中に手を当てている絵です。これは、マッサージ活動です。その活動は、電飾があり、ゆったりと落ち着く部屋の中で、寝ころびながらお互いに背中をこすったり、突起があるゴムボールを背中に転がしたりします。2014iyasiこの活動は、日本の学校でも取り上げられている「体ほぐし」と趣旨は同じような気がしますが、一つは、「リラックスする」という効果がありますが、もう一つは、お互いに体を触りあうということがあります。2014karadahogosi最近はあまり言われませんが、子どもどうし体を触れ合うと、脳の前頭葉が活発になると言われています。少子化になると、子どもどうし体を触りあう遊びや、じゃれ合うという機会が少なくなってしまっています。

あと、とんがり帽子のような絵があります。ドイツでは、もうすぐ卒園(7月)です。卒園の時には、このとんがり帽子みたいな入れ物に、たくさんのプレゼントを詰めてもらいます。その入れ物を作る活動です。作りかけのものが、部屋に置いてありました。
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ドイツ報告2014-6” への10件のコメント

  1. サービスの提供者と利用者という関係ではないとありました。日本では提供者と利用者という関係性が当たり前のようになっているのかもしれません。サービス産業でも過剰な程にお客様重視じゃないのかなと感じることもあります。かといって友達同士という関係でもありませんね。また、保育園側が絶対的というのも違いますね。良きパートナーとありました。保育園側と保護者が良きパートナーになるためにはどんなことが必要になるのか具体的には分からないのですが、お互いを批判し合ったり、どちらが優位ではない良き関係性を丁寧に築いていかなければならないなと感じました。活動予定もいいですね。週やその日の活動や予定が分かりやすく掲示してあると保護者も園の活動に参加している感覚にもなるのかもしれません。活動予定の掲示は見直したり、試してみたりしたいと思います。マッサージ活動というものもあるのですね。誰かに自分の身体の一部を触られるというのはやはりドキドキします。それは不快という感情ではないなんとも不思議な感覚です。自分の中に入ってくる他者というのを実体験の感覚として感じるというのは他者の考えを受け入れるということにもつながっていったりするのでしょうか。

  2. マッサージ活動、面白いですね。確かに、昔よく見られた、おしくらまんじゅうやむっくりくまさん等のような“触れ合い遊び”は、最近子どもたちの中で見られなくなりました。それは、子どもたち自身がそれを好まなくなってきたのか、それとも、大人が伝承しなくなったのかは分かりませんが、それが少子化の影響を受けてのことであれば、意図的にそういった機会を作っていかなければいけませんね。“ベビーマッサージ”という言葉も、昔からあったのでしょうか。昔からそういった親子の触れ合いはあったものの、現代では薄れてきてしまい、その伝承と影響を残していかなければいけないといった活動でもあるのでしょうか。以前、突き詰めていくと、伝統的育児から学ぶことが多いと仰っていたように、昔やっていたことを言葉や姿を変えて行っていることが多いという理解とつながります。また、書類についても、日本では早期的に見直していく必要がありそうですね。苦労しても、それが実際の保育と関連していかない現実は何か間違っていると、そういった声を現場から発信していかなければいけないのですね。“子どものため”という趣旨が、どこかずれているという感覚を持ちながらも、その形態を変えずにきているのが日本の現実なのでしょうか。

  3. 保育の内容に自信がない場合、内容とは基本的に関係なくとも、記録という形で残すと、その実際はともかく、何か専門的にしっかりとやっている、と思っている施設長や主任及びベテラン保育士と呼ばれている人々は多いですね。そのことを「学者」と呼ばれる現場をよく知らない大学や専門学校の先生たちが後押しをします。特に学者の先生たちは記録を推奨します。エピソード記述しかり、ラーニングストーリーしかり。これはまだいい方かもしれません。保育計画あるいは保育指導計画という書類のひな型が保育雑誌に掲載されています。あれは果たしてどういう意味で掲載しているのか不思議になります。正直に、書類を強要されている先生方、これを写して活用してください、なら親切心満載でいいですが・・・。まぁ、それもおかしい。ミュンヘンの現場の先生と我が国の認可保育園の先生で書類についてディベートをしてもらいたいと思いました。週案の表示等は私たちの園にも共通していますが、ボードを作って、子どもたちにわかる用と保護者の皆様に説明する用、これらは頂戴して園でも作っていきたいですね。

  4. ドイツの保育者と保護者の関係については、私が想像していたものより遙かに進んだ関係であったので驚きました。以前ドイツを訪れた時に感じた違和感の1つが、あまりにも素っ気ない感じで迎えに来られた保護者に対応している姿でした。言葉が分からなかったので実際のところはよくわかりませんが、保護者に対してサービスをしているといった感じではなかったのを今でも思い出します。よきパートナーという関係の理解が深まることで、園でコーヒーを飲んで帰ったり、子どもたちと遊んで帰ったりという関係になっていくことを想像すると、私たちの園はまだまだその関係からは遠いことを思い知らされました。これは大きな課題ではありますが、方向は間違いなくそちらを向いているので、ドイツの園と保護者の関係や新宿せいが保育園と保護者の関係を思い描いて進めていきたいと思います。

  5. マッサージ活動、素晴らしいです。発想に驚いてしまいます。ですが、しっかりと脳の前頭葉を活発にさせるなど、活動に大きな意味合いが含まれていることに二重の驚きです。隣りにある喜怒哀楽の表情が描かれた絵はどんな活動なのでしょうか。絵を見るだけでわくわくするような、そんな日常が感じられます。写真には金曜日までの活動が提示されていますが、土曜日は保育がないのでしょうか。休みの日は家族とゆっくり過ごしているようなそんな日常があるようにも思えてしまいます。
    家族を大切にし、広い土地、自然の多い環境の中でのびのびと暮らしているような、ビールを愛し、大らかな国民性でもって人とのつながりを大切にしているような、そんなドイツの家族像が僕の中にありました。都市化が進む中でも、子ども達を温かく見守っていく保育の基本を変えずに、これから先もたくさんの国のモデルとして輝き続けることができるような国であってほしいです。
    生臥龍塾若林先生の活動報告にもありましたが、“文化が違えど、子どもの自主性・自発性を尊重する基盤は全く同じこと、同じ保育を行う「仲間」であること”という部分を遠い日本からでも少なからず感じることができました。

    さぁ、これからですね。いつか僕もドイツに行ける日を夢見ながら、日々の保育に新しい気持ちで取り組んでいきたいと思います。

  6. ドイツでの保護者のお迎えの様子を聞いて、なんとなく、ドイツの飲食店に入り店員さんに注文するときを思い出しました。やはり、目配せというか、それで通じてしまう感じがあり、その関係はいろいろなところに活かされているということでしょうか。しかしながら、保護者は「園の職員の良きパートナー」であるというのは本当に保育の形としては整っていますね。
    毎日の活動の中に、マッサージ活動があるのはとても面白いですね。写真の中に、他にも蛇のマークや鳥のようなマークだったりと、どんな活動なのか気になるばかりです。週の活動が、わかりやすくマークになっていること。それは子どもたちにとっては、一日、そして一週間を理解しやすい形になっているのですね。
    そんな気遣いを、日々の保育の中にも取り入れていきたいものです。

  7. ドイツの子どもを見る体制ですごいと思うのは保育者だけで保育するのではなく、保護者も一緒になって保育をしているイメージを受けますね。日本も保護者が関わらないというわけではないですがドイツほどではないように思います。何か飾られている物に対してもたまに保護者が作りましたということもあると聞きます。ミュンヘン、ドイツは国全体で子育てをしているのでしょうね。週案の中にある活動も気になります。マッサージというのはまた面白いですね。確かに子ども同士での触れ合いというのは意図的にあまりすることが少ないように思います。むしろ喧嘩の元になるのではと避けている部分もあったかもしれません。その活動は少し取り入れていきたいと感じますし、実際そういったことをした時に日本の子どもたちはどんな反応を見せるのでしょうか。慣れないことをして少し戸惑うでしょうが、楽しいでしょうね。

  8. いくつかのミュンヘンの園を視察し、この最初の園の週案が1番わかりやすかった印象です。子ども向けと保護者向けに週案を掲示するのは家庭に帰ったときの「明日は〜」と話題にも繋がりそうですね。そして、私が勤めさせていただいている学童に似ている気がしました。学童ではお便り帳は基本的にはあるものの、子どもの降所時間等の連絡のため、子どもの様子はお迎えの際などに伝えます。学童では月案を掲示していますが、子どもたちは既にひらがなが読めるので子ども向けでも保護者向けでもあります。そのため「明日は〜があるから、降所時間を遅らせて欲しい」などのやりとりを家庭に帰ってからしたりすると聞きます。そして実際に降所時間を遅らせていただけたり、むしろそのイベントに使うであろう物をみんなで使えるようにと持ってきてくれたりします。正に保護者は職員にとって良きパートナーですね。これからも保護者、職員間の連携、または子どもを介しての連携を大切にしていきたいと思えました。

  9. 私も今年から我が子を保育園に預ける立場になったので、色々なことに気づきます。よく登園、降園時に子どもの様子を詳しく聞きたい保護者がいると思いますが、保育園を信頼していないのかな?と感じる事があります。毎日、私が息子を登園させるのですが、園に安心して預けられるので、必要な事だけ伝えて出勤します。その為に保護者は安心できる保育園を選ぶ必要があります。写真のように保護者向けに週案を掲示するのはとても良いですね。私の園でも同じような取り組みをしていますが、そうは言っても保育園でどのように過ごしているのか気になりますし、それを元に子どもとの会話も弾むかと思います。見守る保育の定義の一つとして「環境」が一つのキーワードとなっていますが、それは園児だけでなく、保護者に対しても同じような事が言えます。もちろん保育士との会話も大切ですが、保護者に向けて保育園が実践していることを環境から発信するというのは、大切なことです。と言うのも私が保護者になって気づいたのが、園の掲示物など、見る人は見ます。私もその一人です。そこから保育園の理念や大切にしている事が伝わってきます。

  10. 保護者がサービスの提供者と利用者ではなく、園の良き理解者であるということはとても良い関係作りができているんですね。確かに、週案など保護者にわかりやすいように掲示することで、保護者はどういった活動をおこなっているかを見ることができますし、個別の写真のアルバムなど、園でのできごとを見れるようになるので安心でしょうね。こういった活動の一つ一つが関係作りに役立っているのだと思います。日本では確かに内部で見る計画がほとんどですね。だからか、保育園と保護者とが同じ子どもを見ていながらも、どこか家庭と保育園との連携に課題が出ているのかもしれません。

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