ドイツ報告2014-3

 ドイツに来て、まずいろいろと気になるところを聞いてみました。幼保一体化については、幼稚園、保育園だけでなく、学童クラブも含めて一体化を進めているようです。キンダークリッペ(0~3歳児)、キンダーガーデン(3~6歳児)、ハウス・フェア・キンダー(0~6歳児)、ハウス・フェア・キンダー(6~11歳児)、ホルト(3~11歳児)というような様々な形態の施設があります。
2014.6.24am-3
 このようにさまざまな施設がある中、バイエルン州では昨年8月に1歳以上児において、もし入園希望があれば、すべての子どもを入園させなければならないという法律が制定されたことについて、その後どうなっているかを聞いてみました。確かに、それに合わせて次々と開園しているそうです。そんな時に、日本では現在場所が何しろ足りません。ビルの一室、狭い敷地の中、ガードの下、開園するために様々な場所を探しています。ドイツでは、どうかと聞いてみると、30年先まで建物の計画が立てられているそうです。建設予定の建物の場合、その1階を保育施設にする計画を合わせてしているそうです。今、なくてどうするという話はなく、きちんと先の見通しを立てて街づくりをしているようです。

 しかし、ここで問題が起きています。それは、日本と同様、「保育者不足」です。毎年お世話になっているベルガーさんの勤務している園の近くに、昨年3園建設されたそうですが、保育者不足のために実際に開園できたのは、1園のみだったそうです。何しろ保育者のなり手がないようです。ミュンヘン市で400人を超える保育者不足だそうです。以前は、どの園にもフリーと呼ばれる人たちがいましたが、今は、そのような立場の人たちはいないそうです。そこまで深刻なため、様々な手を打っています。

保育者不足の理由の一つには、処遇があるのは、どの国でも同じだと思いますが、そのなかで、給料の低さがあると言います。学校の先生のほぼ6割だそうで、それでいて引かれる税金は4割くらいだそうです。それでいて、保育者不足のために、現在の保育者は非常に激務だそうです。激務のためやめてしまい、さらに激務になるといった悪循環だそうです。

その対策として、まず、再雇用です。資格があるのにもかかわらず家庭に入ってしまう人に、再就職しないかという手紙を出しているそうです。次に、「ミニ・ジョブ」といって、67歳で退職した人に450ユーロ払って、短時間来てもらう制度を作ったそうです。もちろん、彼女らの税金は免除だそうです。次の対策として、外国人の保育者を増やす試みです。本国で保育者の資格を持った彼女らは、さらに1年間ドイツ語をみっちり勉強します。その後1年経ったときに、こんどは現場で1年間実習をします。そして、保育者になります。

このあたりは、ずいぶんと日本と事情は同じようですが、離職率に関しては日独では違います。ドイツでは、離職はほとんどないそうです。それは、まず、この道に専門職として就職するために、他には潰しがきかないそうです。あと、ブログでも紹介しましたが、保育者養成校は5年制で、そのうち2年間は実習ですので、そこで、保育者に向いているのか、保育者としてやっていけるのか判断するため、就職してからやめる人はほとんどいないそうです。ただ、在学中の実習で自分はやっていけないと思ってやめてしまう子が6割るくらいはいるそうです。

こんな事情もあって、全入させることができないため、家庭で育児をする場合には月100ユーロ支給するそうです。(今年の8月から150ユーロに値上がりするようです。)ただ、これも、家庭で支給金をどのように使うかは心配だという話が出ているそうです。

ドイツ報告2014-3” への10件のコメント

  1. バイエルン州でも日本と似たようなことが起きているんですね。ただ、30年先を見据えているとか、その場しのぎの対応でないところなんかは違うようですが。そして保育者不足の問題です。足りないからといって、資格の要件を下げて人数を増やすといったことではないんですね。こんなところも違いを感じます。また、保育者が辞めてしまうことのないよう、事前に適性を知るための実習期間が長く設けられている点は学ぶべきところだと思います。学校でそのような対応がとりにくいとか、そんなことに関わらず、現場が積極的に取り組んでいくべきことなんでしょうね。

  2. 30年先を考えた計画というのはすごいですね。乳幼児期の重要性を理解して動いているということを感じます。しかし、そんな中で深刻な保育士不足があるのですね。お金が全てではありませんが、やはり生活をしていく上で生活費というのは重要になってきますね。保育の職に就きたいのに、賃金の面で断念している人も中にはいるのでしょうか。また、男性の保育士の数も少し気になりました。実習期間が長いことで、仕事の本質を知ることにもなるもかもしれません。多くの職業でもそうなのかもしれませんが、学生が終わると特に実習期間もないまま直ぐに現場で働き始めます。その時になってやっとその職業の本当の内容を知ることなり、こんなはずじゃなかったと思う人も多いのかもしれません。それでも職場の環境次第で、その部分はカバーできることもあるのかもしれませんね。

  3. 日本とは違って、養成校での期間が長いことで、その時間をかけてまでこの仕事に就きたいと思う強い願いがあることで、離職率が低いという現状があると同時に、その期間が、自分自身としっかり向き合える時間になるということで、在学中に6割がその道をあきらめてしまうといった実情もあるのですね。日本では、とりあえず就職してみて、向いてないようだったらやめるといった選択方法を選びがちな傾向を感じます。日本が、派遣社員を頼る現状がそことつながってくるのですね。そう考えると、就職する前に、自ら向き不向きをしっかりと見つめることができる仕組みは、現場の人たちにとっても、不必要な混乱を招く原因が減っていいのかもしれません。また、全入が難しいということで、「家庭で育児をする場合には月100ユーロ支給」という制度があることは、子どもにどう影響していくのでしょうか。今はそうすることしかできない状況であるということでしょうか。やはり、再雇用や処遇の改善に伴った、大きな変革が必要になってくるのですね。

  4. 「30年先まで建物の計画が立てられている」、思わず、えぇっ!と声を発してしまいました。このあたりの計画性には脱帽です。日本では、待機児が沢山出ました、だれか物件を持ってきた法人には「認可」「認証」を与えます、という極めて無責任な施策です。我が国だって、1歳児以上を全入にすると決めたら建物をこれかどれだけ作らなければならないかわかるはずです。そして人口動態は別な省庁が出しているのですから、そのデータをもとにして対応すればいいのです。しかし、そういうことができず、全て後手後手に回る我が国の事情もあります。「保育者不足」。これは、保育者養成の学校に進む若者が少ない、ということでしょうか。おそらく、ドイツの若者たちは、その職業に就くとどれくらいの給料がもらえて生活できるかわかるでしょうから、給与の低い保育者には最初からならないのでしょう。しかし、処遇が低くても、やりがいのある仕事であるとわかった人は養成校から現場に入り、それこそ「他には潰しがきかない」専門職ですから、当然、離職ということにはならないのでしょう。こうしたドイツの保育者事情を知るにつけ、我が国のそれは、・・・。次のドイツ報告を楽しみにしています。

  5. ドイツの保育園には書類関係のものはほとんどないと聞いたことがあります。「子どもがいないのに園に残る必要があるのですか」という言葉も耳にしたことがあり、残業らしい残業もないようなイメージがありました。ドイツにおける激務というのは、どこから生じるものなのでしょうか。
    そして処遇の面。給与の低さはどうしても、保育者不足を助長してしまいます。
    教育や保育に夢をもち、実現する夢の為にそこで働く人には処遇はそこまで大きな比重を占めるものではないと思います。ですが、今この瞬間、悪く言えば目先のことだけを考えた時には、給与面の低さは大きなハンデとなりうるようにも思います。
    どの大きな企業にも負けないくらい、むしろ、時代や社会に対してとても重要な意義をもち、貢献できる仕事であると思います。給与面が充実することは、国によって激務の質は違えど、人によってはその仕事の辛さに耐えうる緩和材以上の役割を果たすものであると思います。世界全体で、教育や保育に従事する者の処遇を考えてほしいと思います。

  6. 保育者不足は「世界的な問題」となっていたのですね。
    資格があるのにもかかわらず家庭に入ってしまう人に再就職を促す「ミニジョブ」。日本におけるパートさんのようなものかなとも思ったのですが、手紙を出すことができるというのは、ある程度国単位で保育士の住所などがわかっていないとできないことで、政策の段階でそこまで考えられていたのではと思ったのと、各職業が専門職としてあるそのバックアップの強みを感じました。

    外国人保育士についても、日本ではまだまだ話もあまり聞いたことがありませんが、こういったことで、幼いうちから外国の文化に触れられることができれば、世界に誇れる日本人が多く生まれてくるのではと感じてしまいます。

  7. ドイツでもかなり深刻な保育者不足が目立っているのですね。400人を越える保育者不足となるとかなりの根深さを感じますね。やはり、給料の問題があがるのですね。ドイツがそこまで幼児教育に対して重要性をあげているのにも関わらず少ない給料というのは少し驚きです。どこの国もそうなってしまうのは寂しいことです。ただ、30年先のことまで考えていることからしっかりと計画を立て、より良い方向に考えていることがわかります。日本の養成校との違いですが、本当に自分が保育者になれるかという、自分と向き合う期間として2年間設けられるという仕組みは日本も見習うべきであるように思います。なかなか難しいシステムでもあるように思いますが、本当になりたいと思える人がなれるのであればそれは最善ですね。全入できないために、家庭にユーロを払うシステムですがやむおえない感じはします。家庭がとう使うのか…確かにそんな心配は出て来るでしょうね。なにが最善なのか考えさせられます。

  8. ドイツでも保育者不足の問題が起きているというのは、とても驚きました。そして、その理由に関して仕事が激務と処遇という2つは日本でも保育者のなり手が少ない理由と似ている気がします。ただ日本の場合は人間関係が一番の要因かもしれませんね。それに対する対応は日本とは違いますね。おそらく日本では派遣を雇うかと思いますが、ドイツでは退職した人や家庭にいる有資格者を再雇用、そして外国の保育者を雇う。日本でも同じような事をしていますが、教育関係、特に保育園ではまだまだその流れはきていないですね。個人的に外国の保育者を雇うのは、なかなか面白いし、子どもにとっても良い経験になると思います。藤森先生の話の中で多様な人との関わり中で子どもは色々な事を学ぶと言われたように、人種の壁を越えてより多くの事を学んで欲しいと思います。

  9. ドイツでも日本と同じ保育者不足という現状には驚きました。しかし離職率はドイツの方が低いことから成り手が少ない印象を持ちました。そこにはやはり保育者養成校が5年制でそのうち2年間が実習というカリキュラムによって自分の向き、不向きと向き合わせてくれる、自分を知るきっかけを作ってくれることにあるように思えました。未来の保育における人材を自ら考え、自ら導き出し、選択する機会を与え、保育士不足の現状にも関わらず、量よりも質を重視しているドイツは素敵ですね。今年私は保育士試験2回目のチャレンジを1ヶ月後に控えています。保育士資格は国家資格であることから難易度は納得なのですが、最短で専門学校や短期大学を2年間学んで卒業することで得られる資格ということについて矛盾を感じています。ドイツのように保育士資格に重きを置いて実習を2年間取り組んだりして自分が向いているのかを知る手助けをしてあげたり等が必要ですね。しかし日本がドイツを真似て、保育士養成校を5年制にして2年間の実習を行えば、離職率こそ低下するものの成り手は今のドイツの現状を下回る気がしてなりません… そのためにも日本もバイエルン州同様にしっかりとした基盤のプログラムをもとに質のスタンダード化を図っていかなければなりませんね。

  10. 保育の一元化や保育者不足、保育者の処遇など、それらの動きは日本と極めて似ていますね。だからこそ、ドイツの改善策はとても参考になります。30年後の都市計画を視野に入れて、保育園を作っていく過程はぜひ日本でも取り組んでいってほしいと思います。なかなか、先を見通すということは難しいですが、ビルの一室や高架下など、付け焼き刃の保育環境ではなく、やはり子どもたちの生活や環境に配慮した作りを目指してほしいと思います。まだまだ、日本は保育の「環境」ということにそれほど配慮されていないということを常々感じてしまいます。
    また、保育者の再雇用も大切なことですね。ドイツの場合、保育士が専門職としてあり、つぶしがきかないのであれば、なおさら見直さなければいけなかったのでしょうね。日本でも「潜在保育士」と言われる人がたくさんいるそうです。保育者不足の改善策はドイツでも日本でも一つのネックになってますね。

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