ドイツの課題

「親元暮らしという戦略――アコーディオン・ファミリーの時代」の作者キャサリン・S。ニューマンは、現在、ジョンズ・ホプキンス大学教授であり、専攻は社会学、社会階層論です。この本の内容は、目次をみるだけでも察しがつきます。「第一章“大人になる”とはどういうこと? 第二章 広がるアコーディオン・ファミリー 第三章“大人”の実家暮らし 第四章 私は大丈夫、問題はあなた―アコーディオン・ファミリーをどうとらえるか 第五章 “巣”が空にならない時――親のジレンマ 第六章 パラダイスにだって悩みはある 第七章 出生率の低下と“移民の脅威” 終章 アコーディオン・ファミリーと政治――泥沼化か、それとも転換か」

保育者の離職率の高さ、保育者の人手不足には様々な問題がありますが、子どもの自立も問題のひとつです。私の本の2冊目が、今月中国で発行されました。タイトルは、「0,1,2歳児の保育」です。一人っ子政策における子どもたちが社会に出るにあたって、いろいろな課題が見えてきました。その一つが、1冊目の「見守る保育」ということで、親子の距離感に対しての施設保育の役割についてです。2冊目が、乳児から子どもの自立、社会の形成者としての資質を備えていくことを課題にしています。これらの問題は、日本、中国にかぎらず少子国家では大きなテーマです。

今日から、ドイツ研修が始まりました。ドイツでも保育者不足です。昨年、ドイツを訪れた時に、保育者が足りないので、保育者数に合わせて入園できる子どもの数を減らしているという話を聞きました。今年は、もう少し突っ込んで聞いてみたいと思っています。また、なり手がないだけでなく、離職率はどうなのでしょうか?

もう一つ、ドイツ訪問の意図として、私はあと、大きくふたつ持っています。ひとつは、2年前にミュンヘンでは0~3歳児を預かるキンダークリッペを管轄する生活局と、3~6歳児を預かるキンダーガーデンを管轄する学校局が一元化され、スポーツビルド局になって、その後どうなっているか。また、ビルドという言葉を、一昨年までは「陶冶」と訳していたのを、昨年から「教育」と訳すようになったことから、エデュケーションとの区別はどのようにしているかです。

もうひとつは、昨年8月に、ミュンヘンは「乳幼児施設への入園希望がある場合は、すべての子どもを入園させなければならない」という法律ができたと聞いたのですが、どうなっているかです。ドイツでも0~3歳児までの待機児は非常に多いと聞きます。その時に、どのような施設整備を進めているのでしょうか?また、入園申し込みが多いことに対して、保育所整備だけでなく、子育て支援センターのような施設を多く作り、在宅育児へ手厚くして、入園希望者を減らしていると聞いたことがあります。それは、入園希望者が、保護者の就労など保育に欠けることが要件にないからです。

日本とドイツは、国民性や気質において日本と近いものを感じます。ですから、少子化の原因の一つに、乳児期は、親の元で育てられるのがいいと思っている年配者が多いことも挙げられています。そのために乳児施設の整備が遅れてきました。また、そのためかわかりませんが、小、中学校ではいまだに半日制です。そこで、放課後児童クラブの整備も課題です。今回の研修では、この放課後児童クラブ施設を二か所見る予定になっています。

これらの課題について報告できるかわかりませんが、明日からの見学先について、考えたことを報告したいと思っています。

ドイツの課題” への10件のコメント

  1. 今年もドイツ研修の時期になったのですね。藤森先生のドイツからの報告が楽しみで仕方がありません。実際に現地に行くことはできませんが、このブログを通して、ドイツ研修が疑似体験できるのでとてもありがたいです。毎日の更新を楽しみに、学びにもしていきたいと思います。ドイツでも保育士不足という現状があるということですが、離職率も気になりますね。保育の質が高いということは職員同士のチームワークもいいのかなと勝手に思い込んでいますが、そのような人間関係と離職率に関係があったりするのでしょうか。ミュンヘンの入園希望があった場合、全ての子どもの入園させなければならないという法律もすごいですね。そんなことが可能なのでしょうか。そんな中で保育士不足があるということですが、どのように保育を行なっているのでしょうか。気になります。具体的な保育の方法や環境についてどのような報告がされるのか楽しみです。お体にお気をつけください。

  2. ドイツ研修が始まりました。どんな研修が展開されるのか、本当に楽しみです。日本から報告を心よりお待ちしています。
    恥ずかしながら自分が全くと言っていい程知らない国、知るべき国についてこれから様々な情報に触れることができるかと思うとわくわくしてきます。いつか僕も実際に肌でドイツの空気や環境に触れてみたいです。
    ドイツの国民性や気質。日本とどこか似た雰囲気を備えた国が同じような問題に直面していることは、日本にとってはとても有難いことです。保育に対してどのようなアプローチでもって問題と対峙し、解決へと導いていくのか。日本からも、ドイツに誇れるような、見本となるような姿勢でアプローチを考え、発信をしていきたいです。

  3. ドイツも保育者不足というのは聞いたことがありましたが、保育者の人数に合わせて、入園できる子供の数を減らしているのは知りませんでした。
    そんな状況に置いても、日本のように配置人数の比率を変えないのは、幼児教育に力を入れなければいけないということが、国の方針としてあるのですね。
    先生のつっこみのドイツの「保育士の離職率」「すべての子どもを入園させなければいけないという法律」などは、本当に気になることばかりです。
    国は違えど、国民性や気質において日本と近いドイツ。いろいろなことを参考に、これからの日本の保育に活かしていければと思います。
    毎日の報告を楽しみにしております。

  4. ドイツも保育者不足であることは聞いていましたが、保育者の離職率も気になりますね。給与面でも、決して恵まれているわけではないということもあり、日本に似た境遇であることで、保育の中身だけでなく、それを支える政策等のハード面からも参考にする点が多くあるのですね。「陶冶」を「教育」としたりと、1年でも大きく変わるドイツのスピード感は、いったいどこから生まれてくるのでしょうか。日本に似た面と異なる面、両者はどのようなところに違いがあるのか、国柄だけではない別の何かが存在するとしたら、日本でそれを実現するためには何が必要か、多くの課題があっても今よりも充実した社会を作らなくてはいけないのですね。そして、いつの時代も課題は山積みのような気もします。それは、人が向上心を求める生き物だからでしょうか。“子どもは後ろを振り返らない”、“前に前にと目がいく”と学びました。そのような多くの課題にも意気消沈することなく、確実な前進ができる道筋が分かればと思います。

  5. まずは、安着、おめでとうございます。今後の報告を楽しみにしております。保育士不足問題は、おそらく、これは現在の先進国といわれる国々に共通の課題なのかもしれませんね。私が訪れたことがある先進国でも同様なことを聞いたような記憶があります。OECDが発行している”Starting Strong”でも離職率問題が取り上げられていました。若者の就職先として魅力がなくなってきているのでしょうか。ドイツの施設についてこれまで報告して頂いた内容から私的に判断すると、先生たち、楽しそうに働いていますから、離職率は低いかもしれませんね。はたしてどうでしょうか。ドイツ語にはeducationに相当する語がBildungとErziehungがあり、日本語では前者を「陶冶」、後者を「教育」とすることがあります。どちらのドイツ語単語をもちいているのでしょうか?興味深い点ですね。今回も様々な報告を頂けそうで、ブログをワクワクしながら読ませて頂きます。同行の皆様もご健勝で。

  6. 日本の課題とドイツの課題では似ているところもあり、また当然独自の課題もあるかと思います。それらに対してどう向き合うか、どう取り組むかの姿勢については、ぜひとも同じであってもらいたいと思っています。藤森先生がドイツで確認しようとしておられることが果たしてどうなっているのか。私も気になるところです。その点が確認でき、どのような方向に動いて行っているのかが分かると、日本でも参考になることは多そうです。ドイツ研修の報告はいつもの臥竜塾の内容と少し雰囲気が変わるので毎年楽しく読ませてもらっています。時差などで大変でしょうが、よろしくお願いします。

  7. ドイツ研修が始まっていますね。ドイツと日本が似ていることから参考になる部分が多いのですね。藤森先生のドイツ訪問の意図としての二つはこれからドイツに行かれてどんどん解き明かされていくのでしょうね。その過程を楽しみに見ていきたいと思います。ドイツの離職率、確かに気になるところです。ドイツでさえ、なりてがなくなってきているところは驚きですが、どの国も同じ課題があることがわかります。その対策についていったいどう考えてどう実践をしているのかを知ることで日本がどう対応していくべきが見えてくるように思います。毎年行かれているドイツでも1年2年で大きく変化していることろを見ると常にいい保育いい教育を求めているかがわかります。常に進化しているドイツの変化を楽しみに見ていきたいと思います。

  8. 今回ドイツの放課後児童クラブ施設(学童)を視察させていただいて小中学校が半日制ということに驚きました。そして家庭学習を学童が担っているとのこと。ですが根本的には宿題をやるもやらないも自由であるとのこと。そして陽が出ているうちにしか家庭学習をしないのが基本。このようなドイツの習慣や環境要因が学童で宿題をやる上での見通しになっているように思えました。また、宿題を家庭でやるか学童でやるかでは大きな違いがあると思いました。それは友だちと知識・情報の共有です。家庭で宿題をやって個人のスキルアップも大切ですが、友だちと共にスキルアップを図る方が目先の成績アップよりも将来に必要な協調性であったり性格の強み等が育まれていくように思えました。
    日本でこれをできるかと言われると難しいですね。ですが、根本的な部分である宿題をやるもやらないも子どもたちが自ら選択する点は同じであるし、変えてはならない点であるとも思えました。私たち保育者はこの点に関して子どもたち自身にアプローチするのではなく、環境にアプローチして、子どもたちの自発的な取り組みを促す必要性を感じました。

  9. 今年もいよいよドイツ研修が始まりましたね!今年はどんな報告があるかとても楽しみにしています。
    そして中国版「0、1、2歳の保育」の出版おめでとうございます。確かに一人っ子政策によって出てきた課題を解決するためには、やはり親子との距離間で、それには「見守る保育」がベストと中国も気づいたのですね。中国では保育者向けというよりも家庭向きかもしれません。そんな藤森先生がどんどん海外へ進出している最中のドイツ研修は、より一層学びが多いかもしれませんね。教育が日本よりも進んでいるドイツも、保育者不足、クリッペとガーデンの一元化、そして待機児童対策、日本と同じような課題ですね。それをどのようにして対応していくか、とても気になります。以前、藤森先生が研修について、学んだことを活かさなければ研修でなく、ただの観光になる。と言われたように、私もドイツ報告を受けて研修に行っているつもりで読ませていただきます。

  10. 今年のドイツ研修もまた違った学びがあり、その報告を聞くことにわくわくしています。とはいえ、お恥ずかしながら、これを書いているときはすでに藤森先生方は日本に帰ってきているのですが。
    今回の話でも日本とドイツとの違いや逆に似ているところが出てきました。抱えている保育者不足や二元化、社会の考えや児童クラブなど、ドイツではどのように考えられているかを知ることはとても参考になりますね。文化が変われば考え方も違うのでしょうが、報告の前から「保育者数に合わせて入園できる子どもの数を減らしているという」ところに「オッ」となりました。すでにその時点で日本と違っている考えがありますね。今後どう展開されていくのかが楽しみです。

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