社会人としての先輩

 最近は、ニートといって、働こうとしない若者が増えていると言われている一方で、東北大震災の時などを見ると、ボランティアで一生懸命働く姿を見ることができます。ですから、若者もまんざらではないという人が多くいます。しかし、この二通りの若者の姿は、共通していると人材コンサルタントの常見陽平氏は指摘します。

 「社会貢献活動に関心を持つ若者が増えているのも、結果が分かりやすいから。企業活動も十分、社会に貢献しているが、見えにくい」からではないかと言います。例えば、保育者という仕事は、私からすると、非常に社会貢献をしている仕事だと思うのですが、最近は、なり手が減ってきています。そんな時、大人は若者に何を伝えればいいのでしょうか?常見氏は、「頑張れというだけでは無責任。もっときめ細かく接することが必要だ。学生は大企業の本当のすごさを知らない。具体的に現場を見る機会を設けてはどうか。大組織を率いる社長のオーラを感じたり、社員の机の上に本が載っているのを見て『社会人って勉強しているんだ』と知ったり。普通に働くことの姿を社会がきちんと伝えていない」と助言します。

 社会の先輩は、決して年功序列としての意味ではなく、若者に真摯に仕事に向かっている姿を見せることは、仕事に就こうとするためには必要なことのようです。そして、若者の機嫌を取ろうとするよりも、きちんと仕事の意味を伝えるべきです。常見氏は、若者の気持ちを聞いています。「インターンシップを体験した若者に聞くと、一番感謝しているのがしかられた体験だ。若者は成長したいと思っている。名刺の出し方や電話の受け答えを具体的に学ぶ。ただし上意下達の軍隊式、体育会式はダメ。感情的ではなく、具体的に、丁寧に説明する会社の評価が高い」

 よく、「最近の若者はダメだ!」とか、「今の若者は…」ということを聞くことがありますが、どうも刷り込みが多いようです。もしかしたら、若者をダメにしているのは、大人かもしれません。もっと、堂々と先輩の姿を見せ、話をし、きちんと教えていく必要があるようです。常見氏による若者像は、私たちが思っている姿とは違う若者像を教えてくれます。

 「就活の最中に親が飲みに連れていってくれた体験をうれしそうに語る学生もいた。仕事の体験談を聞き、働くことの現実を知ることができたからだ。世の中も会社も普通の人で動いていると分かる」こんな姿からは、仕事に就いている先輩としての父親像を見ることができます。こんな姿は、歌の世界か、理想のように思えていますが、実は、若者は求めているのです。

また、新人教育の場面でもこんなことを報告しています。「トヨタ自動車などの大企業は現場で対話を通じ人材を育成する。新人ととことん話し趣味や価値観を知り、組織の目標とすりあわせていく。上司は自分の部署に配属された新人について、いい所をどう伸ばし同期のトップに立たせるか、考えてみてはどうか」

 これらの提案は、保育園・幼稚園でも新人教育の参考になります。最近、園での課題として新人教育のことを聞かれることが多いからです。その答えの一つのヒントを、常見氏はこう言っています。「職場でも論壇でも、世代間で大事なのは対立ではなく対話。大人が対立をあおってどうするんですか」

社会人としての先輩” への9件のコメント

  1. 先日、コンフリクトマネージメントの講習に参加してきました。このコンフリクト(葛藤、紛争、対立、等々)を克服していく上でかなり有効な手段が「対話ダイアローグ」だそうです。先輩とか後輩、年長とか年少とかではなく、それぞれの体験経験をベースとした、フラットな対話ダイアローグが自分を高めかつ相手も共に成長できるようにするのでしょう。「感情的ではなく、具体的に、丁寧に説明する」という姿勢はとても大切です。対話ダイアローグはとてもいい練習場になりますね。ダメだしで人は育たない、そんな気がします。その人が持つ能力を認める、ことが必要でしょう。認められると、その能力に磨きをかけようとすると思います。若者たちは認めて育てたいと思います。

  2. 甘い考えと思う人もいるかもしれませんが、私も最近の若者ですので、そんな若者を代表して思うところは、「ダメだ!」と言われれば落ち込みますし、自分の話は聞いてほしいですし、丁寧に説明を受ける方が理解しやすいということです。と言っても私は立ち直りも早い方だと思います。ですが、この気持ちはよく分かります。そんなことを言っても求めるばかりではよくないので、若者の側も意識をもって生活、仕事をすることも大切ですね。私は今までの人生の中であまり後輩という存在がいた経験がありません。後輩、新人という存在はきっと自分にもいい刺激を与えてくれるのだと思います。実習生がたまに来るとそんなことを感じたりもします。「職場でも論壇でも、世代間で大事なのは対立ではなく対話。大人が対立をあおってどうするんですか」とありました。これは大切にしたい言葉です。対立をあおるような形になった時に、いい方向に進む、気持ちのいい動きが生まれるということをほとんど経験したことがありません。ちょっと落ち着いて、対話で物事を進めていく、自分にしっかり言い聞かせたいと思いました。

  3. 正直、新人の時は「どうしてもっとわかりやすく説明してくれないのか」「なぜこちらの意見を聞こうとしないのか」などと思っていましたが、私にも後輩ができた時になんとなく理由が分かりました。私には、それを心から
    真摯に受け止める力がなかったのだと思います。先輩保育者は、きっと私ともっと対話をしようと考えていたにも関わらず、私はその時間を避けるように言われたことをただ淡々とこなしているだけであったと思います。先輩保育者からしてみれば、そんな新人とは、趣味や価値観などをとことん話そうなどとは思えなかったと思います。一方だけでなく、両者の歩み寄りが本当の対話を生んでいくのだろうなぁと反省しました。しかし、まだやり直せると信じて、社会の先輩との対話をどんどんしていきたいと思いました。

  4. どうして分かってくれないんだろうと世代間の違いを嘆いていたことも少ないのですが、社会は実に小さなことの積み重ねで動いています。それはもちろん職場においても同じです。その小さなことをどのように動かしているのかを伝えずにいて、大きな流れを理解してもらうことはそもそも無理な話でした。今私たちの職場も大きな転換期を迎えようとしています。そこでどのような行動をとっていくべきか、何に力を入れ、何に時間をかけていくべきか、そんなことを教えてもらったようにも思います。学生に対しての内容でしたが、いろんな受け取り方のできる話でした。

  5. 新人育成の部分で「新人ととことん話し趣味や価値観を知り、組織の目標とすりあわせていく。」とあります。新人の頃は先輩とよくお話しをさせてもらっていました。もちろん現在も多くお話をさせてもらっていますが上記のことに近いような感覚で色々お話をさせてもらうことで目指す保育の目標であったり保育に対する姿勢を多く学んばせてもらいました。やはりそういった対話がなければ得る物は少なかっただろうなと実践を通して感じます。現在は自分にも後輩が少しできるようになりました。そう考えると趣味や価値観をなどを後輩と対話をしお互いを知ることができているかというと不安な所はあります。先輩を見ている限り器の大きさを痛感します。その器に近づけるように日々を過ごし、先輩、後輩と対話をし自分の成長へと繫げていきたいと感じます。

  6. 身近な社会人としての先輩は父親なんですね。確かに私も20歳になり、実家に戻った時に父とお酒を飲んでいましたが、仕事の話し、裏話など聞いていてとても面白かった印象があります。私も就職して7年目になります。立場的には中堅になると思います。後輩も増えてきて、色々な場面で教える時があります。ある時は「自由にやっていいよ」「好きにやってみたら?」と自分では失敗しても、大丈夫というつもりで言っていましたが、最近になって藤森先生の話しを聞いて、言われた側は真逆に捉えていることに気づきました。分からないから聞いているのだから、そこは指示をし、丁寧に伝える必要があります。おういう部分から新人と対話を多くし、お互いの価値観や考え方を知りながら、関係を築いていくのだと思います。常見さんの「大人が対立をあおってどうするんですか」この言葉はまさにその通りですね・・・。

  7. 「結果のわかりやすさ」で仕事を考えたことはありませんでした。まだ仕事に慣れていない若者の目線からすると「自信」を得るという意味では大切なことかもしれません。自分が後輩に接する時、どうしても自分が新人だった頃はどうだっただろうかと考えがちなのですが、そもそもが育ってきた時代や環境が違う中で、余計なことを考えすぎだったのかもしれません。相手が何を求めているのか、しっかりと受入れ、対話を重ねていきたいと思います。

  8. 「対立」ではなく、「対話」まさにその通りですね。どこかで「なぜ、わかってくれないのか」「どうして・・」といったように思ってしまうことが多く、つい対立関係で考えてしまう自分がおり、その都度、自分の未熟さを感じることがとても多くあります。とはいえ、話だけでわかってもらうことも難しく、結局、行動で示すことも大切なことなのかなと思います。また、話し方一つとっても、手早く理解してもらおうと思えば思うほど、たくさん内容を詰め込みすぎたり、急いだりしてしまうことがあります。ある程度、余裕をもって伝えることが丁寧さに繋がるのかもしれません。自分の未熟なところ、対話の大切さ、いろんなことを今回の内容を見て、考えさせられますし、反省するところや見通しができた気がします。

  9. 私自身も最近新人教育が課題の一つです。ブログ内にもあったように「若者に真摯に仕事に向かっている姿を見せることは、仕事に就こうとするためには必要なことのようです。そして、若者の機嫌を取ろうとするよりも、きちんと仕事の意味を伝えるべき」や「堂々と先輩の姿を見せ、話をし、きちんと教えていく」といった重要な部分が抜けていたように思います。「職場は楽しくて子どもはかわいい」だけではなく、しっかり先輩としてそういった部分も教えていかなければなりませんね。

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