食の変化

生鮮食品と調理食品の購入量動向を見ると、生活が見えてきます。キャベツ、白菜などの生鮮野菜は、1990年に比べて1012年では16.7%減少、りんご、みかんなどの生鮮果物は29.8%減少、まぐろ、あじなどの生鮮魚介は34.4%減少、牛肉や豚肉などの生鮮肉は1.3%減少です。それに反して、調理食品のうち調理パンは31.2%増加、サラダは91.7%増加、冷凍調理食品は102.5%増加しています。この中で、生鮮果物が減った理由は、何も惣菜が増えたわけではなく、以前、ブログに書いたのですが、果物の皮をむくのが面倒という若い人が増えたこともあるようです。調理食品でサラダが増えたのも、野菜を切るのが面倒くさいからということもあるかもしれません。総菜や冷凍食品は、調理という面倒くささもありますが、家事の負担を軽くし、共働きなど忙しい家庭を支えているようです。

しかし、どうもそれだけではないようです。厚生労働省が11年11月時点でまとめた国民健康・栄養調査によると、生鮮食品の購入を控えた理由として最も多かったのは「価格が高い」で、全体の30%を占めたそうです。国税庁の統計で民間の平均給与は12年に408万円と90年より17万2千円減り、最多だった97年と比べると59万3千円も減っています。そんな中で、値動きが激しい新鮮な食材を「買いにくい」と感じる人が増えている可能性があると指摘されています。既製品が提供されるという利便性だけでなく、「おいしいこと」「安いこと」が追求されてきましたが、近年では食中毒やBSE等の問題だけに限らず、残留農薬や有毒物質、また賞味期限切れや偽装まで、「安全であること」も惣菜を含めた食品全体に対して求められるようになってきています。カロリーなど栄養成分についても明記してあるものも見られます。

さらに最近、新たな動きが出てきました。それは、近年、顧客の間では値段が少し高くても価値あるものを買いたいという要望が高まってきました。それを受け、東武百貨店池袋店では、その要望にもっとも応えられるものを”国民食”と定義して、地下食品売り場の「隠れた定番グルメ」である「鶏の唐揚げ」「ポテトサラダ」「プリン」「どら焼き」を候補に”擁立”しました。前2者を惣菜部門の、後2者をスイーツ部門の”国民食”候補として、顧客らに投票を求めました。現在、東武百貨店池袋店で2014年1月9~22日の間、食品売場で「東武の勝手に国民食! 総選挙!!」を開催しています。この総選挙によって顧客らにデパ地下にある様々なこだわり定番商品を知ってもらい、顧客のリピート率の向上を図りたいそうです。このように、デパ地下では、ずいぶんと惣菜に力を入れてきているようです。

 また、最近、惣菜の中に、主食とともに弁当として売られる場合や主食となるサンドイッチなどの調理パンや寿司なども広い意味で含まれるようになりました。また、日本では、ハムやサラミ、マリネ、オーブン料理など主に洋風惣菜そのものをデリカ(デリカテッセン)と使われていますが、英語圏では本来、惣菜を販売する店舗を指すようです。

このような最近の傾向のように、生鮮食品が縁遠くなれば、日本の成長戦略に欠かせない農業分野の改革にも微妙に関係してきています。おいしいブランド米や「安心・安全」を売り物にする有機栽培の野菜も、国内消費が頭打ちになってしまい、それらの生産に弾みがつきにくくなってしまっているようです。

 今回、無形文化遺産に登録された「和食、日本人の伝統的な食文化」から、もう一度その趣旨の「多様で新鮮な食材を尊重し、栄養のバランスに優れている」という観点から身近な食事を見直したいものです。