調理食品

通常、副食物として供される食品である惣菜は、煮物や焼物、揚物、蒸し物、和え物、酢の物などがありますが、それは、主食を単品だけでは味気ないところに彩りを添えるということもありますが、栄養学的な側面からも意味あります。それは、主食だけでは得られない栄養を補助する働きもあるからです。そのような惣菜に、最近ある変化が起きています。

それは、惣菜を家で作らず、買ってくる家庭が多くなってきているのです。すでに江戸時代でも、調理済みの惣菜を行商・屋台で販売する煮売屋という業態がすでに存在していたそうです。しかし、本来は家庭で作ることが主であった惣菜は、晩婚化にともなう単身者の増大、核家族化や専業主婦の減少、またバブル景気時からのグルメブームなど社会的な変化にともなって、購入するようになってきたのです。そして、新たな言葉も生まれました。それは、大手広告代理店が命名したのですが、家の中で調理し食事をすることを「内食」、調理されたものと食事の場所の両方を提供する「外食」、持ち帰り惣菜のことを、内食と外食の中間であることから「中食(なかしょく)」という造語をつくったのです。それによって、皮肉にも、一時若干すたれ気味だった「惣菜」という言葉が新たに使われだしたのです。

この中食は、様々なところで非常に多く提供されています。惣菜の商品は、精肉店のコロッケを始め、家庭でも手間のかかるオーブン料理、主に昼食用に利便性の高い弁当や惣菜パンなどが主流でしたが、しだいに揚げ物、煮物、サラダなども需要が高まってきました。スーパーマーケットでは惣菜売場の見直しがさかんになり、コンビニエンスストアでも多様なニーズに応えられる品揃えが図られました。デパ地下といわれるデパートの地下は、1日中たいへん混雑しています。このデパ地下における付加価値商品として、煮物、揚げ物、漬物、豆料理、佃煮、サラダなどのほか、様々なお弁当も売られています。昨年末、偽装で大騒ぎをして知ったのですが、かなり高額のおせち料理の売れ行きがいいようです。それは、デパートだけでなく、スーパーやコンビニも同様で、今年の正月は都内ではほとんどの店が1日から開いていました。一昔前は、年の瀬に買い込んだ食材でおせち料理を準備して、松の内はそれを食べていたのですが、今は1年中、24時間開いている店が多く、正月気分も無くなってきました。

これらの惣菜の普及により、食卓の変化が起きています。総務省の家計調査は約20年間の食卓の変化をよく表しています。2人以上の世帯でみると、キャベツや白菜などの「生鮮野菜」を12年に買った量は90年を16.7%下回ったそうです。また、「生鮮魚介」も34.4%減、塩ザケなどの「塩干魚介」も38.3%落ち込んでいます。1世帯あたりの人数が減った影響があるかもしれませんが、昨年の7~9月でみても生鮮野菜の購入量は前年同期を1.0%下回っているそうです。

 それに比べて、弁当やおにぎりなど「調理食品」の12年の購入額は90年に比べ31.2%伸びています。なかでもサラダと冷凍食品はそれぞれ約2倍となり、電子レンジで素早く調理できて種類も増えた冷凍食品の人気が目立っていると言います。カレーやハンバーグなどの素材になる「生鮮肉」が1.3%減ったのを見ると、家庭で作るのから、できたものを買ってくるようになったことがわかります。