個の積み木から

 人は、どうやって社会を形成していったのでしょうか?私の園では、職員の自主的クラブ活動があります。それは、たとえば、ある職員が「ラーメンを食べたい!」と思った時に、誰かに「一緒に行く人いない?」と誘えば、ラーメン部が発足します。二人以上になると、クラブになります。もしかしたら、昔、人類がどこかに行こう、何かをしようと思った時に、だれかを誘えば社会が生まれたかもしれません。それは、一人が寂しいというよりも、その人が必要だったからでしょう。それは、結婚相手です。そして、そこに子どもが生まれ、家族ができます。その家族が数家族集まり、族を作ります。それが、血縁小規模社会です。

これを見てわかるのは、個が次第に集まり社会になっていくことです。以前ブログでも取り上げましたが、「個と集団は両立するか」という教育のテーマがありました。個と集団は、両立する、しないではなく、いい個がいい集団を作り、いい集団はいい個を作ります。それは、一人で何かをするよりも、集団で何かをする方がいいものが生まれるということです。それは、一人一人のいい作品がつながって、大きな素晴らしいものができるのです。そのために、他人と協力することを覚えます。これを子どもたちは積み木を作りながら学んでいくのです。家族から、社会が生まれていくかのように、子どもたちの少人数で作っていた作品が、隣とつながって、大きな作品になっていくのです。
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私の園で子どもたちが使っているレンガ積み木は、「3センチレンガ」「3センチレンガの2倍の長さ(3センチ×1.5センチ×12センチ)」「3センチレンガの33倍(3×1.5×18)」「3センチレンガの4倍(3×1.5×24)」「3センチレンガの5倍(3×1.5×30)」の大きさのものです。これは、フレーベルの恩物に近いのですが、ブロックを組み合わせて何かを作るときに、その長さが、倍々になっていると、ぴったりと合わさります。また、長い棒の積木は柱やはりの役割を担います。レンガと長い棒の積木の組み合わせでダイナミックな立体物を作る事が出来ます。そして、そのダイナミックさは、集団で何かを作るよりも、個が作ったものをつなぎ合わせた方が、それぞれの役割を担い、そのブロック一つ一つが生きてくるのです。
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このような子どもたちの取り組みに、保育者はどんな役目を担うのでしょうか?それは、まず、物を用意しなければなりません。集団で大きなものを作るために十分なブロックがなければなりません。次に、それをつなぎ合合わせ、ダイナミックな作品を作る出来る空間を用意しなければなりません。全体が狭く、十分な広さを取ることができないときには、子どもの様子を見て、ダイナミックな作品が生まれそうなときには、他のゾーンの広さを縮小して、ブロックゾーンを広げます。逆に、少し下火の時は、他のどのゾーンを広げるかを考えます。次に、ダイナミックな作品や、他とつなぎ合わせることが生まれるための十分な時間を確保します。それが、無理な時には、続きをやることができる時間を確保してあげます。そして、何気なく、隣とつなぎ合わせるともっとダイナミックなものになるという働きかけをします。このブロックを導入した当時は、その作品のイメージが子どもにわいてこなかった時に、ドイツの子どもたちが作った作品の写真をそのゾーンの中に掲示しておきました。それに刺激を受け、その真似をして、すぐにそれを越えた作品を作ることになりました。これらの環境が、今は、異年齢の中で伝承されています。

これが子ども文化であり、人類としての学びをしていることになるのです。