触る~積む

 以前、妻に「孫にはどんなおもちゃを与えると喜ぶの?あなたは専門家だから、わかるでしょ!」と聞かれました。二人の孫は、1歳半とほぼ2歳児です。その時に、保育雑誌とか、専門書に、子どもにとってこんな効果がある、いいおもちゃとか、それぞれの年齢にあったこんなおもちゃがいいと書かれてあるのを思い出して、それを提案して買い求めたことがありました。しかし、最近は、私の助言をあまり信用しません。なぜかというと、子どもにとっていいおもちゃといって買い求めたおもちゃには、ほとんど孫たちは興味を示さず、そのおもちゃでは遊ばないことが多いからです。赤ちゃんには、言い聞かせたり、やらせたりすることは通じません。それこそ、発達の原理原則である「自ら環境に働きかける」ことが重要なのです。「いいおもちゃ」とは、まず「子ども自ら働きかけるような物」であることが条件なのです。

 次に、何のためにそのおもちゃを子どもが選ぶのかといえば、そのおもちゃを通して子どもが自分の気持ち、欲求を適切に満たしてくれるものを選びまず。それは、手触りであったり、素材であったり、ある形であったりします。少し大きくなると、高く積みたい、家を作りたい、船を作りたいというように、そのおもちゃの持っている機能であったりします。それは、もちろん一つのおもちゃがすべて兼ね備えている必要があるということではありません。しかし、子どもの気持ちをそのおもちゃで遊ぶことによって満たすとしたら、様々な思いを受け止めることのできるおもちゃが、いいおもちゃかもしれません。

 様々な思いというのは、個人差もありますが、年齢差もあります。それは、子どもの思いによって、そのおもちゃが可変していくものがいいおもちゃといえるかもしれません。その一つが、積み木なのです。積み木は、その子なりに、それぞれの年齢なりに出来上がる作品が違うのです。簡単なものから、複雑なものまでつくることができるのです。また出来上がる作品だけでなく、積み木は、舐めたい欲求、投げたい欲求、壊したい欲求までも満たすことができるのです。こうなると、恩物やカプラは少し対象は狭くなります。しかも、カプラの対象は、「子どもから大人まで幅広く遊べます」ということであれば、0歳児から6歳児までいる園でいうと、ほんの一部の子を対象にしたおもちゃということになります。

 私の園で、職員が園の成長展という行事の中で、「つみきからはじまるみんなの成長」という展示をしました。tumikiseityo子どもたちが、積み木という遊具を、それぞれの年齢でどのように遊んでいるかを0歳児から学童の児童まで通して写真で見せたものです。ひとつの遊具である積み木とのかかわりをそれぞれの年齢で見ることによって、子どもたちの発達を見ていこうという趣旨のものです。最初は、0歳児が、「じっと見る」ところから始まります。tumiki 1そして「触ってみる」「舐める」といきます。この段階から子どもとのふれあいを見ていくことができるのは、もちろん、どんな積み木でも赤ちゃんはします。このころに気を付けなければいけないのは、飲み込んでしまわない大きさでなければなりません。
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 赤ちゃんの遊びを見ていると、次にしようとするのは、意外と積もうとします。ひとつの積み木の上にもう一つ乗せようとします。このころの積み木は、あまり小さいと積むことができませんし、滑って乗っかりにくいものは無理です。まだ、細かい手の動きができないために、何となく偶然と積めたという感じです。
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