積み木による建築遊び

 ここまで見てくると、フレーベルの考えた恩物は、はっきりとした区別はできませんが、遊具というよりは、教具というような意味合いが強い気がします。フレーベルは教育目的を幼児の内なる神性を純粋完全に表現させることとしました。幼児の内なる神性とは、内発的創造性にみられ、幼児の内発的創造性は遊びにみられるということから、遊びを有力な教育手段としました。ですから、遊びを教育の出発点とし、労作を帰着点としたのです。出発点である遊びは、幼児が自己の内面を、自由・自発的に外面へ表現したものですが、幼児の自己表現を補助する教材遊具として恩物が考案され、恩物を通して遊びから労作へと幼児は誘導されていくことを意図したのです。

 第4恩物は、直方体がテーマです。第3恩物が第2恩物の経験から進めたものであるように、第4恩物も第2恩物で経験した立方体を取り出して、二等分と四等分することによって、8個の直方体ができます。これは、第3恩物とは別な分解のしかたで直方体という新しい形が生まれることを子どもに気がついてもらいます。また、直方体では、辺の長さが皆同じではありませんし、面の大きさも違います。それを比較して、大きい、小さい、長い、短いというようなことを学びます。進めて、面の大・中・小を知ります。次に、この直方体を積み上げたり、横に並べたりして遊びます。並べ方、積み方で、長く、高く、短く、低くなったりすることがわかってきます。
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第5恩物は、立方体と三角柱です。第6恩物が立方体と直方体ですから、なんだか逆の気がします。第5で突然三角柱が現れるのですが、それは、第3恩物の立方体を発展させると三角柱になるからで、それによって創作の自由ということが中心としています。そして、三角柱を知ることで、五面体という新しい形と奇数を学ぶことになります。また三層ということが、39個という奇数個をつくり、はじめて奇数を数えることになります。
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また、形も大きさもずいぶんと豊富になります。ですから、その組み合わせも複雑になります。半分、また半分、2つで同じ大きさ、2つで同じ形になりますし、面と面を合わせてみるとその面の大きさも、違うものがあることを気がつかせます。また、模倣遊びも複雑になります。第5恩物では三層ということを生かして、三方向へのびる模倣遊びをさせ、できるだけ全部を残さずに使うようにします。また、いちばん小さい四角は、次に大きい四角はというように、三角形、長方形、六角形なども考えるように問いかけをします。それを経た後、自由に積木遊びをして遊びます。

フレーベルが恩物の中で積み木とした考えた最後の第6恩物は、第4恩物を発展させたもので、柱と受けを加えて実際にちかい理想的な建築ということをテーマにしています。全部で36個の積木が用意されていますが、直方体18個、柱6個、受け12個とすべて3の倍数となる数が用意されています。まず、面の大きさや、長さについて比較したり、どうしたら同じ大きさや、長さ、高さになるかを理解させます。そして、直方体と柱と受けを使って、空間を十分に取り入れた建築をさせます。これが、いま子どもたちが積み木を使って取り組む遊びの主な用途です。
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しかし、そのためには、第6恩物だけではパーツとしては足りないので、第5恩物といっしょにして、建築遊びをさせます。これによってできるものは子どもたちにとって最高の建築となるものだと位置付けています。