円柱

フレーベルは、1838年に、一連の教育遊具を創案しました。その教育遊具は、神が人間に与えた素晴らしい賜物であるという意味から、『Gabe(独)』『Gift(英)』と名付けられました。日本では1876年に、恩恵により仏や父母から賜ったものという仏教的意味合いから「恩物」「賜物」と呼ばれるようになりました。そして、20の恩物を提案しましたが、その第一恩物として、形体の基本として、また、精神的には理想の象徴として「球」を選びました。そして、子どもの最初の出合いの遊具として、生まれたばかりの乳児から与えることができる遊具として用意すべきものとしました。そのためやわらかい材料で作られています。

そして、第2恩物として「三体」を定めました。 第二恩物は、「球」「円柱」「立方体」の三体を選び二者識別をテーマにしています。この形をフレーベルが提案したものに正確に表現すると、直径6 cmの球、直径6 cm、高さ6 cmの円柱体、および一辺6 cmの立方体により構成されています。材料は、いずれも木製です。そして、この恩物をこのように使うことが書かれてあります。まず、「球」を十分に認識させ、順々に比較しながら、「円柱」「立方体」へと紹介し、そして、それぞれの形体の持つ性格を知り、新しい要素を発見させながら、基本形態を認識させます。そして、「立方体」は、すべて平らな面であり、まっすぐな縁を持ち、新しく角があるということに気がつきます。「立方体」は、「球」や「円柱」のように転がらないし、動かないことを知ります。また、「立方体」をつるして回転させると、形が変形して、中に「円柱」が見えるときがあることに気がつきます。ということで、回転遊びに用いるために、3体にはU字型の輪がついていて、紐についているホックに引っ掛けることにより、様々を形が提示できるようにします。U字型の輪は、球体に1 個、円柱体には、円の中心・円の縁・側面の中心の計3 個、立方体には、稜角・面の中心・稜線の中心の計3 個ついています。dai2onbutuしかし、フレーベルがどうしてこの三体を選んだのかは気になるところです。

フレーベルは教育目的を幼児の内なる神性を純粋完全に表現させることとしました。この幼児の内なる神性は、内発的創造性にみられ、幼児の内発的創造性は遊びにみられるので、遊びは有力を教育手段であるとしました。ということで、遊びは幼児が自己の内面を、自由・自発的に外面へ表現したものということで、幼児の自己表現を補助する教材遊具として恩物が考案されたのです。そして、恩物を通して遊びから労作へと幼児は誘導されていくと考えました。

どうも、フレーベルは誘導するという考え方が強いようです。そのために、デューイからは、「恩物自体には幼児を引き付ける魅力が十二分にあるのだが、幼児の自由な遊び方を許さないほど系列化・体系化された保育方法に難点がある。」と批判されます。ですから、恩物の使用はアメリカで次第に衰退していくのです。この指摘にあるように、フレーベルは誘導するために序列化したために、第2恩物の三体は、球体から、それを直線で囲まれた立方体に誘導するために、途中に円柱を入れたようです。

こうなると、その形は、子どもの興味や関心から離れていっているようです。