就学前から高校

 バラック・オバマ大統領は2013年2月12日、二期目就任後初めての一般教書演説を行いました。その中で、就学前教育について触れています。昨日のブログに引き続いてこのように演説しています。「ジョージア州やオクラホマ州のように、最も早い時期の子どもたちの教育を優先する州では、生徒たちがより該当学年の読みや計算をし、高校を卒業し、仕事を持ち、より安定した家庭を築くことを期待できるように成長することを研究が示しています。私たちはこれがうまく機能するのを知っています。だから、機能させてどの子どもたちも人生のレースにおいて早くも後ろのほうからスタートすることがないよう確実にしましょう。子どもたちにその機会を与えましょう。」

 オバマは、きちんと研究データに沿って政策重要項目を挙げています。日本では、なかなか研究データを根拠にした政策、また、子どもの権利条約を批准したことの反映など対応が遅い気がします。たぶん、アメリカと違って、手順に手間がかかるのでしょうか?しかし、そのうちに子どもたちは大きくなり、社会に出たときにその結果としてのひずみが出てしまいます。教育は、結果がのちに出てくるものであるだけに、その対応は急がなければなりません。オバマは、演説をこう続けています。

 「また高校卒業証書が子どもたちを良い雇用への道につかせることを確実にしましょう。現在、ドイツのような国々では、私たちのコミュニティカレッジにおける一つの技術学位と同等の力を持った高校生を卒業させることに焦点を合わせています。したがって、これらのドイツの子どもたちは、高校を卒業するときにはすでに雇用の準備ができています。彼らはそこにある雇用のための訓練を受けてきているのです。今ニューヨーク公立学校、ニューヨーク市立大学、IBMが提携した、ブルックリンのP-Techのような学校では、学生たちは高校卒業証書とコンピューターとエンジニアリングの関連学位を持って卒業しています。私たちはこのような機会をすべてのアメリカの学生に与えることが必要です。」

 オバマは、研究データを使うだけでなく、海外における成功例をきちんと検証し、良いところは真似をしようとしています。「日本は日本だ」と言わずに、何が良いことなのかを見極める力があるのです。そして、ただちに施策に反映します。日本では、検討会を何にもわたって行われることが多いようです。

 「だから四年前、私たちはRace to the Top(トップへの競争)をスタートさせました――ほぼすべての州により賢明なカリキュラムと、より高度な基準を発展させることを自覚させる競争です、すべてを私たちが毎年教育に支出する分の1パーセント程で。今夜、私はハイテク経済の要求のためのより良い卒業生を備えるように、アメリカの高校を再設計する新たな挑戦を伝えます。私たちは大学と雇用者たちとの新たなパートナーシップを発展させ、科学、科学技術、エンジニアリング、数学に焦点を合わせたクラスをつくる学校に報酬を与えます――それらのスキルは今日の雇用者たちがたった今、そして未来にあるだろう雇用を埋めるために探しているものです。さて、さらに良い高校と並行して、ほとんどの若者はよりいくらか高度な教育が必要でしょう。より多くの教育を受けたなら、より良い仕事を得て中流階級へ進む傾向があるというのは簡単な事実です。」

 一般教書の中で、教育に言及している部分の分量は、それがいかに大切なことであるかを示しています。特に、就学前教育について、女性の社会進出というような理由からでなく、子どもの視点から話しています。日本でも、待機児対策を、もっと子どもの視点から語ってほしいものです。

就学前から高校” への8件のコメント

  1. アメリカは3億人が暮らす大国です。多くの移民を受け入れています。ある地域の言語は英語からスペイン語へと変わりつつある、ということを聞いたことがあります。世界の牽引国家として長らく君臨してきた同国もリーマンショック以来様々な課題に直面しています。こうした課題を克服する手段が「教育」であるという認識を大統領が「一般教書演説」で示したのでしょう。国の将来は若者たちにしかないという思いを強くしているのでしょう。年金や老後のことについても同然言及しているわけですが、今回紹介された演説における具体性を省みると、思いの真摯さが伝わってきます。振り返って、我が国の場合は、教育行政の鍵を握っている人々が力が弱いのか老齢なのか、あるいは今のままでいいと思っているのか、なかなか目に見えた変化を実感することができません。「ゆとり教育」と言われながら、何が「ゆとり」だったのだろうか、と訝しく思います。そしてわからないうちに教科書が厚くなり、授業時間数は増えました。しかし、子どもの満足度熱中度は国語算数より体育のほうが高いです。今、政権が代わって二年目の通常国会が開かれています。教育行政に対する政権与党の姿勢、方向性を一国民として見極めていきたいと思います。

  2. 最先端の研究結果、または全く新しく実証されたことに注目し、それらをすぐに取り入れるといったスピード感を感じます。また、「Race to the Top(トップへの競争)をスタートさせました」という言葉にも、世界に大きな影響を与えている強い意思というか、アメリカらしさといったものを感じますね。“政策に焦点を合わせた学校には報酬を与える”という発言から、アメリカにおける近日・未来の雇用者は「科学、科学技術、エンジニアリング、数学」といった力を求めていることがうかがえます。そこには、科学者や技術者の時代を加速させる勢いがあり、そういった分野の雇用拡大を行っているドイツをよき手本として、見習っていこうとするスタンスには驚いています。世界の情勢を担っている国でも、他国の良き面を真似しようとしているのですね。自国を冷静に分析し、良いものをすぐに取り入れ、子どもの視点からの政策。これらのスピード感や柔軟性が、世界をリードしている国としての由縁なのでしょうか。

  3. アメリカといえば経済的にも豊かな国で、富裕層の割合も高いのだろうと思ってしまいますが、現状か必ずしもそうではないようですね。経済的にかなり厳しい状況の人達が大勢いるというのがアメリカの現状でもありますね。そのことへの対応策として、就学前教育の重要性が叫ばれているということでしょうか。オバマ氏の「研究データを使うだけでなく、海外における成功例をきちんと検証し、良いところは真似をしようとしています」という姿勢は未知の領域へも進んでいく力強さを感じます。もしかすると、リスクを回避するという能力が長けているのが日本のいい所でもあるのかもしれません。しかし、そればかりではなく、科学的根拠に沿って、問題が生じているところへリスク回避ばかり考えるのではなく、果敢に進んでいく姿勢も必要なのかもしれません。「教育」に関しては持論も持っておられる方が多いようにも感じます。「子どもは〇〇しとけばいいんだ」、「〇〇を教えることで礼儀が身に付くんだ」、「〇〇を子どもの時期にしっかり親が…」自分自身が経験してきたことを肯定し、それを全て、多くの子ども達の教育に当てはめるばかりではなく、科学的根拠に基づいた教育という視点は方向を決めていく人々には持っていてほしいですね。

  4. 『日本でも、待機児対策を、もっと子どもの視点から語ってほしいものです。』これは本当にそうですね。待機児問題を大きな問題ではないなんて言うつもりは全くありません。ただ、子どもに関する施策を作っていく地元の会議に参加していて、待機児対策からスタートしたものを待機児のいない地でどのように取り入れていくかという意味のよくわからない議論が進められているのを見ると、一体何がしたいんだろうと思ってしまいます。どのような大人になってもらいたいのか、そのためにどのような乳幼児教育教育を行いたいのか、そのことが明確になっていないのはやはり大きな問題があると思います。早く方向転換しなければいけないはずなんですが。

  5. 日本の待機児童対策は子どもの視点ではなく大人の視点ですね。施設をたくさん作って、そこに待機児童の子どもを入園させればいい、という安易な考え方。確かに待機児童は解消するかもしれませんが、保育、教育の質はどう保証されるのでしょうか。その点、オバマ大統領の演説では就学前教育の重要性を唱え、また将来への道をしっかりと保証してある内容です。更には研究データやドイツでの成功例など、根拠に基づいた内容です。日本の待機児童の対策を始め、様々な政策を打ち出していますが、どうも「今が良ければいい」という考え方が強いような気がします。政治家としては日本の未来もしっかりと考えていると思いますが・・・なかなか感じられません。子どもの視点、大きく言うと日本の将来を見た視点から議論が行って欲しいです。

  6. オバマ大統領のきちんと研究データに沿って政策重要項目を挙げ、さらにヨーロッパなどの良い所を積極的に取り入れ、実践していく様子は本当にアメリカという国を良くしたいという愛国心のようなものを強く感じます。大統領なので当たり前かもしれませんが、そのスピード感であったり柔軟性というのは驚きます。やはり、本当に何かを良くしたいという思いのある人は視野が広いように思います。参考にしつつしっかりと芯がありますし、真面目さがにじみ出ているのを感じます。少し勤務年数が長くなるとある程度の経験を積み少しプライドのようなものが出てくるように思います。そうなると本当の自分を出せなくなる気がします。そんなことは捨てて学ぼうとする気持ちの方が前に出ている人の方が成長するのではないかと思っています。そんなことをふと読んでいて感じました。日本も早く他国を尊敬し参考にしていける国になればと思います。

  7. 以前、ドイツに保育研修に行ったときに、オバマ大統領が言ったように「高校を卒業するときにはすでに雇用の準備ができている」部分は同じように言われていました。また、そのことに非常に感銘を受けたのを思い出しました。自分も学生時代を送っていましたが、だからといって、即戦力になるようなことをしたかというと疑問に思います。日本でも研究データを使った政策重要項目を立てられているのかもしれませんが、機能していないように感じますね。最後の文「待機児対策を、もっと子どもの視点から」というのは「うんうん」とうなずいてしまいます。果たして、今のように待機児がいるから保育園を作るというのが適切な対応なのか、それは預ける保護者にとってはいいのかもしれないが、そこに預けられるこどもはいいのか、その質は確保されるのかといったところはまだまだ議論されるところなのだと思います。大人の観点で保育や教育を語られることは日本社会では多いですね。他国を視察ということはされているのですが、そこでの利点や観点をもっと活かしていくことや政策の実行性をもっと行政・現場ともに考えていかなければいけないですね。

  8. 就学前教育を進めるにあたって、研究データや実際の海外における成功例をあげて、きちんと説明する。あたり前のことかもしれませんが、そうした誰しもがわかりやすくなるような配慮があることにより、より効果的なものになるのでしょうね。日本においても、もしかしたらそういった説明をしているのかもしれませんが、まだまだメディアでは取り上げられることはなく、また関心もそれほどない気がします。
    良い政策を掲げ、なおかつ全員が取り組みやすいよう環境を整えていく。それは何においてもおいても言えることなのですね。

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