使用範囲

 レゴが新しい教育ツールであるブロック「マインドストーム」を開発したことで、中国で人気が出ました。しかし、現在では、世界中で小学校から高校の間で導入が広がり、過去15年で世界60カ国の5万以上の教育現場で導入されているようです。日本でも、小中学校はもちろんのこと、東京大学や京都大学、明治大学など6000校で採用されているそうで、もはや、おもちゃではなく教材としてレゴが使われているのです。また、子どもへの教材どころか、大人が買っても楽しめるところから、アメリカでは、大人もこぞってこのマインドストームを買っているようです。

 多分、レゴを組み合わせて、何かの形を作るものとだけ考えていたら、思いつかなかったかもしれません。また、開発部にいる人たちだけでは思いつかなかったかもしれません。2006年に発売されたロボット教材「インドストーム」は、その制作過程を可視化し、熟練のレゴファンの集団を改良の作業に参加させたのです。そして、その作業が進むにつれ、レゴファン集団の数を増やし、最終段階では、100人ほどのファンを参加させて最終的な修正や変更をさせたということです。社内だけでの閉塞された社会で、いくら頭を絞ってみても堂々巡りをする可能性があります。そんな時に、いろいろな人の意見を聞くことは大切です。また、実際にそれを使う人の意見を聞くことも大切なことです。それを、レゴ開発では、使用者の意見を聞くだけでなく、その人たちも交えて開発していったのですから、人気が出るのは当然と言えるかもしれません。特に、レゴのようなおもちゃには、熱烈なファンがいるわけですから、彼らの方が、社員よりもよほど商品に精通しています。したがって、この取り組みは、熱烈ファンが商品開発に参加するという新しい取り組みのせいかとも言えます。

 このように開発された商品ですから、その利用者の幅は広がります。その甲斐あってか、このレゴの教育プログラムは、学校などの教育を超えて、企業の研修現場でも広く使われるようになりました。日本でも導入している企業は230社を超え、マインドストームを使ったロボコンに参加する企業も多くなりました。レゴ社の日本人向けの宣伝文句では、「マインドストームで、論理的な思考力や、創造的な課題解決力、プロジェクトマネジメントスキルなど、日本人が苦手とする表現力やプレゼンテーション力を培うことができます。」と訴えています。

 また、この教育プログラムとしての利用は、もっと広がっていくようです。ずいぶんと前から、宇宙飛行士を選ぶ試験にも使われているようです。2009年に行われた宇宙飛行士の候補者選抜試験にマインドストームが採用されたそうです。その課題は、グループごとにいくつもの課題や難題を克服しながら最終的にロボットを完成させるというものです。この完成にいたるまでの過程を見ることで、チームワークやリーダーシップ、さらに不測の事態が発生した際の対応力などを判断できるということで採用されているようです。

 このような商品は、もはや私たちが持っているレゴのイメージを越えています。しかし、ブロックとして自在に組み合わせることができるというレゴの基本的な機能は失っていません。実際にその作品を見ると、よりその実感をします。ということは、真の機能を失わず、その機能を熟慮した結果生み出された商品なのです。

 ただ、私たちが子どもたちに与えようとするブロック、積み木とは離れてしまっていることは事実です。