国語力

文科省では、「これからの時代に求められる国語力」を構成する具体的な諸能力について、どうあらわしていいか悩みました。それは、望ましい国語力の一般的な水準を示そうとすると、「個人差が大きい」「国語力は生涯にわたって発達するものなので,どの時点における水準を示せばいいのか」「国語力を構成している“考える力”などの水準を示す場合,極めて抽象的になる」など難しい問題をあげています。
そこで審議会で話し合った結果、まず、努力目標は、日本人の成人として,ここまでの国語力は身に付けたいという,生涯にわたる努力目標を示すことになりました。また、国語力を構成している「考える力」「感じる力」などは,日常の言語生活においては「聞く」「話す」「読む」「書く」という具体的な言語活動として発現していることを踏まえ,「聞く」「話す」「読む」「書く」のそれぞれについて「目指すべき目標」を具体的に示せば,分かりやすいのではないかと判断しました。

そこで、幼児教育でも、子どもたちに「聞く力」「話す力」が重視されています。また、この力は当然社会に出ても必要な力です。それは、人とのコミュニケーションをとるためだけはなく、どんな仕事をする上でも必要になる力です。現在、就活している人が多くいるかもしれません。経団連が毎年発表している「選考時に重視する要素」によると、昨年、企業が学生に求める力1位は9年連続で「コミュニケーション能力」だそうです。このコミュニケーション能力というのは、もちろん「聞く」「話す」「読む」「書く」ですが、幼児期で求める能力、小中学校で求める能力は少し考え違いをしている人が多いように思えます。多くの人が思う「聞く力」とは、先生の話をきちんと聞く力と思っている人が多いようです。「最近の子どもは、聞く力がなくて困る」と嘆く教師をみると、少し勘違いしているのかな?と思ってしまいます。また、みんなの前で、キチンと自分の考えを述べることが「話す力」と思っている人がいます。しかし、現在、社会に出てから求められる力は少し違うようです。きちんと、社会に出てから求められる力を見通した中で、その力をつけていく必要があります。

まず、どうして各企業が「コミュニケーション能力」を求めるかを考える必要があります。それは、最近の仕事は、プロジェクト単位やチームで仕事をする機会が増加しています。そこで、そのなかで話し合いをする時に、きちんと自分の考えを整理し、相手にわかりやすく「話す力」であり、同じチームの人の意見を理解して、その人が言いたい内容を理解する「聞く力」です。この力は、先生からの知識の伝達するような保育、授業では身に付きません。子どもたちを机といすに縛り付けて黙って先生の話を聞くような保育、授業でも身に付きません。また、プロジェクト単位やチームのメンバーは、必ずしも同年齢とは限りません。同じ年齢とだけしか話をした経験がないと、違う世代の人の言っていることを理解することが困難になってしまいます。もちろん、男女、生活環境、様々な多様性を受け入れる力も重要になってきます。

社会の変化をもう少しよく見る必要がありそうです。英語を早く教えるという議論だけでなく、おおくの人が社会に出て必要だと思える国語の力を、もうすこし、検討する余地がありそうです。