教育ツール

 組み立てブロックでいうと、世界中の中で有名なレゴですが、実は、2004年ころには、いつ破産してもおかしくない状況に追い込まれていたようです。そのような状況の中では、当然、どのおもちゃを新しく開発して、どのおもちゃをボツにするか、という議論が続けられます。しかし、このような話し合いは、ずっとしてきているわけで、それで業績が落ちてきているのであれば、何か改革が必要になります。それまで、新商品の開発部のほとんどがデンマーク人でしたが、これではグローバルな競争に勝てない、と考えた新就任の部長は外国人を登用し、さらに部内にマーケティングチームも発足させました。

 また、おもちゃに対して正直に「好き、嫌い」といった本音を語ることができるのは「子供と酔っ払い」しかいないという結論に至ったそうです。これは、名言ですね。これは、先日亡くなったやなせたかしさんの小さい子どもに大人気のアンパンマンについても言えますし、児童小説である那須正幹原作の児童文学シリーズ「ズッコケ三人組」も、子どもからの評価で人気が出たものです。

レゴ社も、開発するおもちゃを子どものグループに見せながら、改良を重ねて商品を世に送り出してきたのです。それが、レゴ社復活の秘訣だったともいわれています。レゴに関する著書『Brick by Brick』のなかで、著者であるデービッド・ロバートソン氏が、「マネジメントの役割が、どんなおもちゃを市場に送り出すか考えることから、徹底的におもちゃを下調べしたか確認することに変わったからだ」と話しています。そこから、現在、世界第2位のおもちゃメーカーにまで上り詰めたのです。では、子どもの評価から、どのような商品が開発されていったのでしょうか?

最近、こんなニュースが流れました。「ブロック玩具メーカーの枠を越えた企業として、さまざまな商品を世に送り出すことで同社の業績はかなり順調だ。」というものです。その商品は、もはやブロックを組み立てるだけのおもちゃではなくなっているのです。遊びの範疇を越えて、多方面に広がっているのです。今年の上半期に、レゴの売り上げが上昇した大きな理由の1つに、中国の存在があげられています。中国での売り上げは実に70%も伸びているそうです。中国はいまだに消費市場としての規模が大きく、おもちゃ販売でも現在、世界で2番目に大きな市場だそうです。その中国で成功した商品は、「教育版LEGO」というものが中心だそうです。中国では徹底した暗記など詰め込み型の教育が行われ、そこから自主性や創造性は生まれにくいといわれていますが、この「教育版LEGO」は、そこに自主性と想像力を付けてくれるLEGOの教育ツールだという触れ込みなのです。中国だけではなく、保護者にとって「教育的」ということばにはよわいですね。

この教育ツールとは、「マインドストーム」というおもちゃ教材です。マインドストームは、レゴ社とアメリカのマサチューセッツ工科大学との研究から生まれたロボット教材だそうです。「アナログのレゴブロックとコンピュータを内蔵したデジタルのパーツがセットになり、生徒たちの主体的な学びを育成する21世紀型の教育ツール」という触れ込みです。パソコンにつなげてプログラミングをしながら、レゴでできたロボットを組み立てていくというもので、1人でもチームでもいろいろと思考を巡らせながら完成を目指すというものです。私などは、それを聞いただけではなんだか難しそうな気がしますが、プログラムアイコンをドラッグ&ドロップするだけでプログラミングできるなど、10歳の子どもでも扱えるように設計されており、子どもの自主的な学習能力を育てるのにも役立つそうです。

いかにも中国ではやりそうですね。

教育ツール” への8件のコメント

  1. これまでの子どもの需要+教育的要素を取り込み、保護者からの支持が得られれば、さらに需要が拡大していきますね。また、玩具メーカーの枠を超えた商品開発ということで、ターゲットを変えることで新しいアイディアが生まれたり、売れ筋商品が複数あることで様々な社会情勢や経済状況にも対応でき、何よりも新しい視点を得ることで、ブロックのさらなる可能性を見い出せるなど、多くの利点が生まれていきますね。「マインドストーム」を作って動かしている映像を見てみましたが、大学のロボット工学の授業を見ているかのような印象ですが、対象は小学生や私塾等〜扱えるような内容になっているのですね。自分もやってみたいと思いました。きっとはまっていくでしょうね。

  2. 実際の子どもの反応を見ながら改良を重ねていくという姿勢は私も見習いたいです。一度、出来上がったものをそのままの状態でずっと置いておくのではなく、子ども達の実際の姿を見ながら、こうした方がいいのではないかと少しずつ改良し、常に変化させながらより良いものを作っていくというプロセスは保育でもとても大切なことですね。出来上がったものに満足せず、向き合っていく姿勢はいつも持っておかなければいけないなと改めて気づかせていただきました。「プログラミング」と聞いただけで、なんだか難しそうなものを想像してしまいます。きっとやってみると楽しいものだったりするのかもしれませんが、あまりそういうものに馴染みがないので、イメージができません。どこかで実際に体験することができるとまた違った印象になるのかもしれません。

  3. レゴ社の「マインドストーム」のホームページを拝見しました。レゴブロックやパーツを組み立てパソコンと連動させる、まさに「21世紀型」おもちゃの典型ですね。小さい子向けかと思っていましたが、小中学生や大人でも十分楽しめるものです。「教育版レゴ」が中国で爆発的に売れているのは現在の中国の国情を観るととても頷けます。大人も子どもも我先に新しいものに飛びつき試しているようです。私が知らないだけで日本でも結構流行している教育玩具なのでしょうね。私たちと違って今どきの子どもたちは「プログラミング」によってパソコン上でバーチャル世界を作り上げるのが上手です。先日息子がIPODの画面上で「ジェットコースター」を作ったといって見せてくれました。どのようにして作ったのか私にはちんぷんかんぷんでした。わが子がレゴ社の「マインドストーム」を知ったら欲しがるでしょうね。

  4. 教育版LEGOなんてものが登場しているんですね。実物を見たことがないのでなんとも言えませんが、そのネーミングについてはうまくやるなあという印象です。教育的だけでなく、知育という言葉のついたおもちゃが多く見られるようになりましたが、それだけで子どもに良さそうなイメージを持たれるということは、乳幼児にどのようなことが大事かがまだはっきりとしていないことや浸透していないこともあるように思います。例えば縄跳びに「体だけでなく脳も鍛えられる知育縄跳び」と書かれていたら、自分もおっ!と思ってしまうかもしれません。「教育的すごろく」なんかも。もうやめておきますが、教育的や知育という言葉に頼ってしまうと、その遊びにはどんな意味があってその体験が何につながるかを丁寧に考えることをやめてしまうような気がして、それがよくないように思っています。

  5. 確かに子どもに遊んでもらうために開発し販売するのであれば子どもの反応を見て商品化するのが単純な気がしますが、なかなかそう簡単にはいかないものなのでしょうか・・・。「マインドストーム」初めて聞きましたがそういったものまで発売されているのですね。私が子どもの頃に遊んでいたレゴブロックからはパソコンを使ってプログラミングをし・・・なんて全く想像できませんが子どもは楽しいのかな?と思ってしまいます。チームで相談しながらとも書かれていましたが、私はよけい周りとの関わりが減っていってしまうようにも考えられました。

  6. 子どもに玩具の感想を直接聞くことは、一番手っ取り早い方法ですね。保育園でも活動や手作りおもちゃ、お部屋の環境を考える場合も、最終的には子どもの姿を見て決めると思います。そんな中でレゴブロックが子どもの反応を見ながら開発した商品が「教育版レゴ」暗記だけでなく自主性と創造性を身につけるための物と言われると、確かに中国の保護者には人気が出そうですし、その流れは日本にも来そうな気がします。実際に見たことも試した事がないので、何とも言えないですが、パソコンを使わないと自主的な学習や友達との関係を身に付けることが出来ないのは、なんだか違和感を感じます。

  7. 意外と見落としがちな観点なのかもしれないですね。子どもが使うおもちゃだから、子どもにまず遊んでもらって情報を得る、簡単なようで企業となると難しいのかもしれません。しかし、一つ言えることはやはり大人の先入観ではなく、もっと根本的に見方を変えていかなければいけないということですね。保育においても、保育者が良かれと思っても、子どもにとっては大きなお世話ということがきっと多いと思います。「本来の子どもにとって」ということを考えたときにどう目線をもっていけば良いのかはこのレゴ社の姿勢から読み取ることができるように感じます。こういった目線は保育者としても見習っていかなければいけませんね。それにしても、従来のレゴで充分知育的なことはあるように思うのですが、「教育版レゴ」ですか、他のコメンテーターの方もおっしゃってますが、知育に偏るあまり、「関わる」といったことを重視することがなくなっていますね。どうも中国やアジア圏は知育ばかりが先行しているように思います。

  8. 厳しい状況だからこそ、レゴ社全体が一丸となって「新就任の部長は外国人を登用」や、「マーケティングチームの発足」など、大きな改革を成功させることができたんですね。
    そして、自分たちに本当のことを言ってくれる人を見つけたからこそ、中国という大きな市場でのニーズを知ることができ、そこから「マインドストーム」というヒット商品を生みだされる。
    本音で語ってくれる人の存在の大切さをすごく感じました。

    おもちゃという子どもに夢や、楽しみを送る会社が、自分たちのピンチの時に、子どもを信じるという決断をする。あたり前といえばあたり前なのかもしれませんが、見習っていきたいと思います。

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