オランダ報告10

 オランダでの幼児施設には、もう一つの特徴があります。それは、保育カリキュラムなどの内容の自由化だけでなく、経営主体の自由化です。特に保育園には公立園がないと書きましたが、いわゆる何園も経営している企業立が多いことにびっくりしました。今回見学した園ででも、いくつか経営しているグループ園でした。

 それぞれの園の見学では、それらグループの責任者、園長、教育担当者(ペタゴシスタ)が説明してくれました。ペダゴジスタというと、イタリアのレッジョ・エミリア・アプローチに配置されている教育専門家の調整官が有名で、私は、この存在がレッジョ・エミリア・アプローチの特徴の一つかと思っていましたが、オランダでは、基本的にはどの園にもそのような担当職員がいました。たぶん、彼女らの資格は、大学で専門的な知識を学んできた人だと思うのですが、申し訳ありませんが、その話からそう専門性は感じられませんでした。ただ、保護者に対しては、その存在が、民間企業で保育する上での説得力があるのでしょうね。見学でも、実際に保育が参考になるというよりも、同じような考え方の方向を持っている理念の説明から、参考になることが多かった気がします。そのキーワードを、見学先別に並べてみたいと思います。

 1日目に見学したイエナプランを取り入れている小学校は、カトリック園ですが、バレンドレヒト市に2か所、リダーケルク市に1か所、三つの地区に学校を持っています。イエナプランについての説明はブログで別に説明していますので、ここでは省略をして、説明された話をします。この学校には1年生から8年生まで全生徒600人在校しています。小学校でありながら異年齢でクラスを形成しているのですが、その理由として説明されたのが、「子どもは違っているから豊かである」「子ども同士が教え合える」「一人一人がよく見れる」「知っている子、知らない子が当たり前になる」という言葉でした。
2013.10.8-2
そして、学年ごとの課題を全員がクリアするために、ヴィゴツキー方式をとっているということでした。ヴィゴツキーについて説明するとなると、なかなか難しいのですが、簡単に私の認識から説明してみます。彼は、ロシアの発達心理学者ですが、「発達の最近接領域」という考え方を提唱しました。それは、子どもが新しいことにチャレンジする際に、自分一人の力だけでそれを達成できるときと、大人がほんのちょっと手助けをしてあげることで達成することができることがあります。その2つの水準のズレをヴィゴツキーは発達の最近接領域と呼んだのです。それは、子どもによって、個人差があり、その子が持っている成長可能性とでもいうものです。2013.10.8-4
もちろん、それは、子どもにかぎらず、大人にもいえることなのです。ということは、このイエナプラン校では、その学年で到達しなければならない課題をクリアする場合は、一斉に同じことを教えるようなやり方ではなく、子ども個人個人に合わせて手助けの仕方を変えるということです。いわゆる、子どもとの距離感は、個人によって変えるべきで、年齢によって一斉に同じような教え方では落ちこぼれができてしまうという考え方なのです。
2013.10.8-3
また、学校とは、「学校共同体という考え方から、ここに理想的な市民社会をつくること」であるということでした。そのために「サークル対話」によって、「リフレクション」を行い、「仕事(自習)」によって、「自主的、共同的に学習」をし、「催し」によって「共同的共感」をします。また、園長、職員の異動がないことで、「チームワーク」が育ち、「学校の文化」が育ちます。教室は、「工場労働者のいるところ」から「リビングルーム」としての空間に変えます。

お当番表

お当番表


保護者に対しては、年に3回説明会を行い、年4回に茶話会、年3回懇談会を持ち、たまには保護者の料理会もします。また、毎週金曜日には、玄関ホールでクラスごとに発表会を行うそうです。