オランダ報告8

 オランダでの園の寝室にはかなりショックを感じた方が多かったのですが、先方の園に「鳥小屋みたいですね」と聞いてみたところ、園長先生は、「私たちもそう思いますが、子どもたちのセイフティーのために仕方ありません。」と答えたそうです。ですから、私もメンバーに半分冗談でこう言いました。ドイツとか、オランダの園から日本に見学に来た方々が、木も石も砂利もなにも置いてあらず、小石ひとつ落ちていないただっぴろい園庭を見て、「犬のためのドッグランのような園庭ですね」と聞かれたときに「子どものセイフティーのために仕方ありません」と答えるようなものです。
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 そんな日本とオランダの考え方の違いは、違いとして見るのではなく、子どもにとってどう考えるかという点でみれば共通のところが見えてきます。例えば、ピラミッドメソッドは、「テスト会社CITOによって作成された広範にわたる周到に準備されたメソッド」という説明がリヒテルズさんからされました。しかし、その内容を簡単に言うと、保育室では子どもを小さなグループごとに扱い、子ども達の選択によって遊びのコーナーに分かれて保育を行ないます。2013.10.10-1そして、この幼児教育法の特色は、「保育環境や遊びの素材を充分に整える」「継続性のあるプロジェクト保育という学びのプログラム」「従来の心理学を超えた動的心理学を応用した保育」とされています。

また、保育者は、遊びをうまく展開させたり、子どもの興味や言葉を引き出すような質問をするなど、幅広い保育技術を持った人として捉えられ、このような保育者がいる保育室が、この保育の「足場」となります。ということで、「幼児期の子どもの成長には、子どもが自分自身で遊びを選び、それを展開できる保育環境が準備する教育と、子どもを自分の殻(自分中心の世界)から抜け出させるために、保育者による指導とのバランス感覚が必要」ということになります。私が最近、「見守る保育における意図性」についていろいろと考えているのですが、まさに、子どもの主体性、自発性と、保育者の意図性のバランスなのです。
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また、教育内容にはさまざまな領域の発達や子どもが求める特別な支援もあります。これらは、言葉への刺激、工夫された遊び、そしてテユーター(個別指導)というユニークな方法が含まれています。それは、保育集団の中で傷つきやすく、自己表現ができにくい子どもに対しての支援です。これは、もともと移民の子に対してのオランダ語教育の重視というところから始まっているからでしょう。

子どものとの距離感にも似たような考え方があります。まず、大切なことは、子どもが安心して遊びを探す保育環境は必要です。その場合、保育者がいつも子どもの側にいる必要はないと言います。このように説明しています。「むしろ、意図的に少し離れて子どもたちだけで遊ばす場合もあります。保育者が側にいることで、子どもは遊び方や遊ぶ目的もはっきりと知りますが、同時に、保育者は子どもから離れた場所から子どもが自分で遊べるようにも指導するべきです。というのは、子どもから離れた場所からたずねたり、答えたりすることで、子どもに現実の目の前にあるもので説明されないことは、見えるものから、見えないものへの判断力を身につける過程の一つです。」
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この距離感は、心理学の研究によっています。「いつも子どもの側にいて、あれこれと指示をしながら遊ぶ親に比べて、子どもとの距離感をもって遊ぶ親の子どもの伸びる力は大きいことです.要約すれば、まず始めは子どもの近くに寄り添い、子どもが具体的に自分の遊びの場所を理解し、遊び方が分かれば、子どもとの距離を取ってあげることが大切です。

まさに日本古来の文化である「見守る」に近い考え方です。