個別教育

 もし、「1+1はいくつですか?」と聞いたら、年長児でもすぐに「2」と答えるでしょう。その答えができた子は、「計算ができる」と評価します。では、「1+1=2」であることを説明しなさい」と言ったら、説明できるでしょうか?それは、大人でも難しいかもしれません。では、「1+1=2」であることを英語で説明しなさい」と言ったら、多くの人はできないでしょう。その人は、計算ができないのでしょうか?英語ができないのでしょうか?説明ができないのでしょうか?質問が複雑になると、その中のどこに躓いているかがわかりにくくなります。すると、それに対する対応が違ってきます。様々な課題がある中で、小学校では、どのような力を子どもにつけようとしているのでしょうか?子ども園を含めて、新たな教育議論がされるといいと思っています。
 また、私の園での職員の資質は、何かを知っているよりも、何かを知ろうとする気持ち、不思議がる気持ち、感動する気持ちの方が需要であると常々言ってきました。それは、子どもにも言えることで、「わからないことは、指導の方法次第で、探究心を刺激して学習意欲を沸かせるきっかけになるのです。元来、学校とは、この、子どもたちの“わからないこと”を一つ一つ引き出し、そこから学ぶ機会を提供して子どもの発達を支える場であったはずです。」というのは、オランダ在住のリヒテルズ・直子さんの言葉です。

 来週月曜日からオランダに行きます。見学先は、リヒテルズさんに、すべてコーディネートしてもらいました。私は、ずいぶんと昔にオランダに行ったことがあります。その時には、たぶん一か所どこかの園を見学したような気がします。しかし、その時には、あまりにも日本とかけ離れていて、どう見てよいかよくわりませんでした。今回、どのくらいのことを見てくることができるのか、みなさんに見た方がよいと薦めた方がいいのか、もしそうであれば、ドイツ同様、ツアーを企画していくのかなどの下見をしてくるつもりです。できる範囲で、オランダ報告をしようと思っています。その前に、少し、リヒテルズさんの「オランダの個別教育はなぜ成功したのか」という本を読んでみようと思います。オランダの教育についての書籍が何冊か書棚にあり、この本が目に付いたので、何かの縁かもしれません。

 リヒテルズさんは、オランダの「イエナプラン教育」を日本に紹介しようとしています。イエナプラン教育は、もともと、ドイツの教育哲学者ペーター・ペーターセンがイエナ大学の実験校での実践を通じて提唱してきたものです。最初に、彼の言葉を紹介します。

「将来どんな政治的、経済的な状況が生じるか、私たちは誰も知らない。本来は、人々の不満、利益追求、闘争、そして今の私たちには想像できない新たな経済的、政治的、社会的状況によって決まるだろう。けれども、たった一つの確信を持って言えることがある。すべての厳しく険しい問題は、問題に取り組んでいこうとする人々がいて、彼らにその問題を乗り越えるだけの能力と覚悟があれば、解決されるだろう、ということを。」それができるのは、こういう人たちでなければならないとペーター氏は言っています。
 
「親切で、友好的で、互いに尊重する心を持ち、人を助ける心構えができており、自分に与えられた課題を一生懸命やろうとする意志を持ち、他人の犠牲になる覚悟があり、真摯で、嘘がなく、自己中心的でない人々でなければならない。そして、その人々の中に、不平を述べることなく、ほかの人よりもより一層働く覚悟のある者がいなくてはならないだろう。」