湯治

 私は、よく温泉好きといわれます。以前ブログで書いたと思いますが、私は高校生までは入浴は銭湯でした。育った地域の下町では、ほとんどの家庭は銭湯に通っていました。ですから、私は自分で好きな時に、一人でのんびりとは入れる家庭風呂にあこがれていましたから、ホテルで、小さくてもいいのでのんびりひとりで入れるバスはあこがれました。しかし、我が家で小さい風呂に入るようになってから、大きな風呂に手足を思い切り伸ばせることが楽しみになってきました。しかし、そうはいっても、温泉はそれほど好きではありませんでした。それは、「湯あたり」なのでしょうか、温泉に入った後、だるくなるからです。また、せっかく温まりたいのに、寒い中で入る露天風呂もあまり好きではありませんでした。

 それが、年を取るにしたがって、疲れをいやすのに、温泉にゆっくり浸かることが効果的になってきました。ということで、最近は、講演などに地方に行くときには、終わったその晩は、ゆっくりと温泉に浸かって、のんびりすることにしています。そうすることによって、次への活力を取り戻そうとしているのかもしれません。そんな温泉の効果を感じます。

少し前の日経新聞に「ヘルスツーリズム 湯治現代風に復活 温泉+散歩で病気予防/観光との連携課題」という記事が掲載されていました。そこには、「日本に古くから伝わる“湯治”が、現代の生活様式にマッチした“ヘルスツーリズム”としてよみがえろうとしている。ドイツを手本に、温泉やウオーキングで疾病の緩和や予防につなげる健康保養地作りに取り組んだり、温泉に滞在して療養する人の費用を補助する自治体もある。宿泊や飲食など地域の活性化への効果を期待する声がある一方で、定着には医療と観光の連携など課題もある。」

確かに、日本には「湯治」という「温泉に入浴して病気を治療すること」という治療方法がありました。そして、その目的として、疲労を回復させる「休養」、健康を保持し病気を予防する「保養」、病気の治療をする「療養」の3つがあります。どこか体の具合がよくないときに、知識や医療の技術が十分に発達していなかった時代、その伝聞されていた効能に期待して、温泉に入浴したり飲泉するなど、多くの人が温泉療法によって病気からの回復を試みていました。
そして、明治時代以降、医学の近代化が図られて西洋医学が中心になっていくのですが、湯治の近代化として滞在型温泉療養施設の建設がドイツのエルヴィン・フォン・ベルツ博士から提案されています。これは実現しませんでしたが、いくら医学が発達しても、江戸時代に定着していた湯治文化はすぐに廃れることはなく、細々でも続いていました。

一方、ドイツでは「クアオルト」という「健康保養地」というものがあります。これは、温泉や気候、海といった自然の力を活用し、予防や治療をする地域を指します。(1)病院などの治療施設(2)専門医(3)交流施設(4)滞在プログラムがあるという条件で、州がクアオルトを認定しています。そして、医師が処方すればクアオルトでの治療が保険の対象になるそうです。ドイツには、2007年統計によると、計374カ所(2007年)あるそうです。

 そんな状況のなかで、“ヘルスツーリズム”はどのような意図を持って進められているのでしょうか?そこから現代の日本の課題も少し見えてきます。

湯治” への7件のコメント

  1. 「湯治」、懐かしい響きです。祖父や父、叔父たちは、特に冬の間ひと月ぐらい湯治宿で自炊しながら、あるいは賄いつきで、温泉につかっていたようです。仕事の閑散期を狙って体を休めに行っていたのでしょう。私の郷里の内陸地方には良い温泉があります。私も子どもの頃父が時々行っていた湯治温泉に連れて行ってもらったことがあります。冬の雪深い温泉地。近くにはスキー場があり、そこで初めて竹スキーではない本物の板を履いてのスキーを経験しました。温泉は熱い思い出しかなくその後も温泉にはあまり行かず、現在に至っています。今でもあまり長くは温泉につかっていられません。おそらく経験数なのでしょうね。「湯治」のつもりで温泉につかていればもう少し長くいられるのでしょうね。温泉地といえばかつて訪れたハンガリーにもあちこち温泉がありました。皆さん水着を着て入浴。私も水着でハンガリーの温泉を経験しました。

  2. 温泉療法が医学的な根拠を持っているのですね。確かに温泉やお風呂に入ると疲れた体が回復したような気持ちになり、活力が湧いてくる気がします。また、温泉に入って、活力を養うという余裕を持つことも大切になるのかなと思いました。忙しい毎日で、残業ばかりの人にとってゆくっりと体を伸ばし、今日あったことを整理したり、忘れたりという時間を作ることが難しいのかもしれません。そのような余裕もないのかもしれません。幸い、私はそのような経験をしたことがありませんので、想像することしかできませんが、終電や深夜タクシーという言葉が示すように働き過ぎで、余裕のない人は少なくないように思います。バランスよく働ける生活が大切なのですかね。

  3. 島根に来ていただいたときはできるだけゆっくりと温泉に入ってもらえるようにしようと考えているんですが、毎回ゆとりのないスケジュールを組んでしまって慌ただしく入ってもらうことしかできていないことを反省しました。次こそは、と思うんですが、また同じようなことになってしまいそうな予感もしています。ヘルスツーリズムという言葉は初めて聞きました。森林セラピーなんとかも似たところがあったりするんでしょうか。地域の資源を活用してのことなんでしょうが、せっかくであれば一過性のもので終わらないような工夫も必要でしょうね。

  4. 「クアオルト」という健康保養地。病気を予防したり、治療したりする施設であることは、概ね想像ができましたが、「交流施設」という位置付けも含まれていることに驚きを感じます。きっと温泉だけでなく、人々が集い、たくさんの方々と交流を持つことで、病気の予防や治療に何らかの効果を与えるという考えがあるというこでしょかね。そして、保険の適用をも認める「クアオルト」。個人だけでなく、州ぐるみで実践に移すことが、大切であるということを再認識しました。

  5. 時々、スーパー銭湯に行くと、温泉がある銭湯もあります。その場所に必ず書いてあるのは、効能です。温泉の成分によって体の疲れを癒したり、怪我を治したりと、様々な効能が書いてあります。そうは言っても一回だけ入るだけで、効果があるのかな?と思いますが、藤森先生が言われるように、大きなお風呂に入って、手足を伸ばし、ゆっくり浸かると疲れも取れ、とても癒されます。ヘルスツーリズムのように、観光と温泉で病気を予防する。なかなか外に出ようとしない若者が多い中で、時には外に出てたくさん歩き、疲れた体を温泉で癒す。私を含めて、若い人にはこういう体験も必要のような気がします。

  6. 温泉地には必ずといっていいほど、そのお湯の効能が書かれていることが多いですね。そこには肉体疲労はもちろんのこと、切り傷などの外傷や筋肉痛といったものまでその効能にあたることがあります。しかし、そういったことが科学的に認められ、ドイツでは保険の対象になるというのは面白いですね。こういった効能を実感するほど入ったことはありませんが、ストレス解消や疲れが取れるというのは実感します。少なくともこのストレス社会の現在ではこういった温泉などはとても有用に思います。昔のことが今の社会で見直されることがブログの中でいくつも出てきましたが、その昔に自然にあった文化が今の社会になってその根拠が見直されることが多いのを見ていると、過去の生活には本当に無駄がないように思います。

  7. 湯治(とうじ)、いい響きですね。憧れます。火山国日本は温泉大国でもあります。私も大好きです。山の帰りは温泉、と決めています。思い出の温泉は、信州は白馬の北にある小谷温泉。昔、この村の雨飾山登山の際に立ち寄ったのが大湯元山田旅館。開湯は戦国時代の弘治元年(1555年)に遡り、武田信玄旗下の武将が発見したとされ、以来、長い間湯治場として親しまれてきました。家内と私は木造3階建ての本館(大正3年築) に泊まりましたが、テレビもない素朴な湯治部屋に大感激。一日中風呂に使って湯治気分を満喫できました。温泉は重曹泉でもちろん100%自然湧出の源泉かけ流し。煉瓦張りのレトロな湯殿。茶褐色で濃厚な泉質なので10分も入ると湯あたりします。飲用可で胃腸病にも効能あり。最寄駅は南小谷。新宿発の特急あずさの終着駅ですから、藤森先生ぜひいっぺん行ってみてください。通年営業ですから冬でも宿泊できます。露天から見る信州の山々、あ~日本人に生まれてよかった~。

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