育児への貢献度

 育児で最近問題になっているのは、父親の育児参加です。生き物のなかでは多くはメスが子育てをしますが、中にはオスが育児をする種とか、オスとメスが協力して育児をする種とか、両親とも全く子どもをかえりみず他の種に子育てをさせる種まであります。その中で、人類はどの種に近いのでしょうか。

 ジャレド氏は、こう分類しています。極端な例としてダチョウやタツノオトシゴをあげています。彼らは、メスが産卵し、あとはすべてオス任せです。一方、多くの哺乳動物と鳥類の一部は、それと対極で、オスは、メスとの交尾をすめば、あとはすべてはメスに任せ、オスはまた別のメスを追いかけ、子どもの養育に関与しません。サルや類人猿にはこの両極端のあいだにおさまる種類が多く、どちらかというと哺乳動物の習性に高いと言います。父親は、母親や子どもたちと一緒に暮らしますが、集団構成の観点からは、母親と子どもたちの集団のなかに父親という存在が加わり、もう一つ大き目な集団が形成されるといった形態に近く、子どもを部外者たちから保護する程度は担うものの子どもの養育や世話への関与はほとんど見られないのです。

 では、人間の父親はどうかというと、子どものよう国関わる程度はダチョウのオスより少ないが、類人猿や他の霊長類のオスに比べれば多いのです。たしかに、父親が赤ん坊の世話に関しては、母親より面倒見が悪いのですが、父親が子どものために重要な役割を果たしている社会が大半だと言います。社会によっては、生物学上の父の死とともに、その実施の生存率も低下するといった現象がみられるくらいだそうです。子どもの存在には、どうも、食事を与えるとか、おむつをかえるとかいうだけでない大きな役割がありそうです。

 同じ人間社会といっても、その生業形態や生活形態によって違うようです。父親が最も子どもの養育に関わるのは、女性が食料の大方を調達する社会であり、女性の時間は食料の調達に割かれている場合だそうです。たとえば、アカ・ピグミー族では、森のなかで食糧を採集するのも、網を使っての狩りに参加するのも、母親の仕事であるため、当然、父親が積極的に子どもの養育に関わるそうです。このように、牧畜民の社会と狩猟採集民のそれとのあいだで、父親の子育てへの貢献度と女性の食糧確保における貢献度の平均値を比較した場合、どちらの貢献度も狩猟採集民の社会の方が高いそうです。また、男は戦士として戦うものであり、それに時間を割くものであるという自負が男性の間に浸透しており、攻撃的な他の男性から家族を守ることこそが男の仕事であると思っているような社会では、父親が子どもの養育に関わる傾向が少ないようです。この社会のように、男と女の役割分担がはっきりと分かれている場合、男性は少年を含めて男性だけで生活をし、女性は女性だけで一緒に暮らすという部族もあるようです。

 このように、伝統的社会における父親の育児への貢献度を見ると、日本では最近父親の育児参加が叫ばれるのは分かりますね。戦時中における男性の戦士としての役割が強かった時代、国を守ることこそが男の仕事であると思っていた時代では、とうぜん父親の子どもへの養育に関わる傾向は少なくなるのは当然でしょう。また、男性だけが働いて、食糧確保の役割を担っていた時代では、母親が中心になって子育てを担うのは当然だったのでしょう。しかし、現代の日本では戦争はなくなり、男性だけが社会とかかわる、食糧を確保するわけでもなくなった社会では、男性も育児に貢献しなければならないというのは当然でしょう。

育児への貢献度” への8件のコメント

  1. 狩猟採集民の中で、女性が食糧調達の役割を担う部族があることに驚きです。狩猟をして食糧をとってくるのは男性がしていることだとばかり思っていました。これもまた、TV等のメディアのみからしか情報を得ていない影響ということでしょうか。育児や食糧調達といったことを役割分担することは大切でも、その役割を養育者の中で入れ替えることも必要であると感じました。それは、子どもへの影響が違ってくるという意味もあると思いますが、より現代にマッチしているからと思ったからです。現代の“イクメン”登場の背景には、そのような理由が隠れていたのですね。

  2. はい。もう、本当に当然だと思います。来るべきのために自分自身に言い聞かせています。社会形態に合わせて、役割が変わっていくというのは、夫婦や家族でより良く生活していくために必要なことですね。女性が食料を調達する社会も、男性が育児に参加しない社会もその時代の背景にあった形態だとすると今の社会をしっかり把握し、どうあるべきかを考えることが大切ですね。その社会で生活するお互いが、家族が暮らしやすければ、それが理想なのかもしれませんね。保育園側としてもその父親のモデルを示すということは大切なのかもしれません。もりぐち家代々の男性を見ていますと、ちょっとどうなのかな…という父親像ばかりですので、反面教師的に捉えていたりもします…。

  3. はい、私も一父親として息子の発育をサポートしているつもりです。とはいえ、出来の良いサポートとは言えない現実もあります。父親の育児参加、ということでいえば、保育園に子どもさんたちを連れてこられるお父さんたちの姿が多くなってきているような気がします。「男性だけが社会とかかわる、食糧を確保するわけでもなくなった社会では、男性も育児に貢献しなければならない」ということの結果でしょう。母親父親の役割分担はあったほうがいいですね。子どもに細かく関わるのが母親なら、おおらかに、ある意味で大雑把に、すなわち余裕をもって、子どものことを受け止めるのが父親とか・・・昨今はその逆もありですかね。私は現代という時代に父親であって良かったと自己満足に浸っています。「戦士」にはとてもなれませんし、「攻撃的な他の男性から家族を守ることこそが男の仕事」、と割り切られると、私の場合、とても困ります。我が家は私より家内のほうが「家族を守る」ことができるような気がします、いざとなったら。家内が仕事で留守の時は、息子と二人で過ごします。とはいっても、父親が育児、ではなく最近は、子どもに面倒みてもらうこともあります、たとえば食事の面とか・・・。それはそれで気持ちがいいものですね。

    ところで、臥竜塾ブログ、本日で丸8年続きました、しかも一日も休まずに。今日は臥竜塾ブログの大晦日!2008年と2012年は閏年ですから当ブログは2922回を数えます。藤森先生、大したものです。心より敬服申し上げる次第です。明日より9年目!当ブログにより私たちを導いて下さいますようコメンテイターの1人としてお願い申し上げます。

  4. 育児に参加をしていると思われる人を見ていると、当然のことと考えている人が多いような気がします。逆に、難しく考えてみたり、女性と全く同じようにしなければいけないと考えている人は、あまり育児に参加できていないように思います。片寄った捉え方かもしれませんが、それでも男性の参加の重要性が、方法も含めてもっとアピールされてもいいんじゃないかと思ってしまいます。社会的な意味とか人類における意味についてのアピールが進めば、やっぱりそうだよなと動き出す人は多いんじゃないでしょうか。時代を踏まえた子どもに対しての親のあり方については、興味を持っている人が多いはずです。子育てはまだまだ変わっていく可能性が高いと思うんですけどね。

  5. 少し前から「イクメン」という言葉が生まれましたが、父親の育児参加は普通になってきたように思います。保育園に送り迎えに来る親も父親の割合も昔に比べると増えたと思います。特に東京の場合は母親も仕事をしないと保育園に預ける事が難しいので、必然的に父親も育児に参加しないと、生活リズムが回らないかもしれません。時代が変わればいろいろな事が変化します。その時代に合わせた物にシフトしていく必要があります。育児もその一つです。子どもが過ごす環境や社会が明らかに変わってきているのに、昔のまま変わらない育児を行っていると思います。そんな中で育児は母親だけが行うことでなく、父親としての家庭での役割も重要になってきます。保育がなかなか変わらないのならば、少なくとも家庭では時代に合わせた形に合わせていく必要がありますね。

  6. 社会の移り変わりにおける、父親の育児への貢献度の変化。

    戦時中からは大きく変わったとはいえ、現在の社会から見るとまだまだ男性の育児参加は求められている気がします。 男性の育児参加について何も言われないくらい整った時、それは男性の攻撃的な役割を求められる戦争などとは一番遠い位置になったような気がして少しうれしくなってしまうのは私だけでしょうか。

    及ばずながら、男性の育児参加について、広げていく貢献をしていきたいと思います。

  7. 育児に貢献する父親の考察を人類の今までの社会構成の中から考察していくというのはとても面白いですね。確かに今の時代、戦争や戦国時代のように身近に戦いというものがなくなっている今の社会では家庭に父親が貢献していくことが当然になっているというのはとても納得いきます。実際、自分に子どもができた場合も積極的に関わっていこうと思っています。今の社会共働きが増えているというのは狩猟採取民のように母親の食糧調達における貢献度は高まっているということでしょうね(笑)

  8. 少し前に、国会議員が育児休暇を取ることで、民間の人たちの間にそのような雰囲気を広げようとする動きがありました。
    そのような動きは、当然の流れであるということがこのブログを読んで認識できます。
    食料調達や育児などの分担のバランスにより、母親と父親の養育に関する傾向が変わるとのことでしたが、我が家でも今は嫁が仕事をしていないので、主に子どもたちのことは任せていますが、来月からは働きに出るようになります。
    自分も今まで通りではいかなくなるということを、改めて感じました。

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