ドイツ報告2013-10

 ドイツでは、保護者からの苦情はほとんどないにもかかわらず、保育者不足が深刻のようです。ということは、保育者のなり手がないのは、苦情があるからではないようです。しかし、もう一つ、日本では保育者のなり手が少ない理由に、書類の多さがあるような気がします。保育士資格を取得した人が、派遣会社に就職する人がいます。保育士不足のため、派遣会社から保育士を紹介しますという電話がよくかかってきます。そんな時に、保育士が不足しているのに、どうして派遣会社に保育士がいるのだろうかと不思議に思います。どうして、身分が安定する職場を選ばず、不安定な派遣会社に行くのだろうかと思います。それは、派遣会社からの派遣される保育士の給料は高いからです。しかし、ボーナスなどを計算すると、それほど高くありませんし、会社でも手数料を取るので、保育士に渡る給料はそれほど高くありません。
 それなのに、派遣の方がいいのは、書類を書かなくていいからということを聞きます。また、保護者とも責任をもってはなさなくていいからだといいます。保育者になろうと思う動機には、子どもと遊べるからということがありますが、実際は、保護者対応、書類作成、会議、書類に追われてしまいます。しかし、派遣保育士は、基本的に、子どもと遊んでいるだけでいいからだと言います。

 ドイツでは、日本にあるような月案、週案、指導計画、保育日誌はありません。まず、週案は、保育者のための計画ではなく、保護者に来週は何をするかということを知らせるものです。園の玄関に貼られていました。しかも、その内容は、ミュンヘン市の保育カリキュラムである「バイエルン」に書かれてある領域のどれにあたるかをその内容に対応するように書かれてあります。それは、何曜日には、何を目的にどんなことをするかを保護者に知らせるもので、保育者が子どもに何をさせるかという計画ではないのです。また、ほかの園には、どの先生が、どんなことをす

 それは、保育日誌の考え方も同様です。日本における保育日誌は、その日に何をしたかを記録するものです。私は、その記録の意味はよくわかりません。よく言われるのは、その日の保育の振り返りであり、後でその記録を見ることで、何か問題が起きたときにどんなことをしていたかを確認するためと言われます。しかし、それであったら、1日中全てあったことを記録しておかなければならないのですが、実際は、1日のうち、保育者が意図して行った1時間くらいの保育の記録にすぎません。それでいながら、かなりの労力をかけていながら、その日の保育の目的は見えません。ドイツでは、保育者自身のために保育日誌は書きません。保護者に、どんなことを、何を目的として行ったかを知らせるものです。日本でも、その日に行ったことを保護者に知らせることがありますが、それは、親子の会話のネタであったり、知らないことを知らせるという感じです。

 保護者向け掲示には、ドイツらしいものがあります。子どもたちは一応あるグループに所属しますが、どの部屋で遊んでもいいことになっています。しかも、0歳児から6歳児まで入り混じって遊んでいます。午後、保護者が園に迎えに来た時に、わが子がどの場所で遊んでいるかわかりませんので、どの部屋に行けばいいかわかりません。しかも、保育者は、お迎えに来た保護者には全く対応しません。保護者は黙って我が子を連れて帰るだけです。そこで、玄関を入ったところに、誰はどの部屋にいるのかということを掲示している園がありました。そして、保護者はわが子をその部屋から連れて帰るときに、わが子の写真を欄外に移していくのです。そうすることで、その子が降園したことが保育者にわかるのです。

 保護者に対して丁寧に説明する部分と、保護者が自主的にする部分が日本とは少し違うようです。