ドイツ報告2013-8

 ドイツでは、日本と比べて女性の社会進出に対しては職場における配慮は恵まれているようですが、保育者不足は、全く日本と同じ状況のようです。それは、どの国でも同じ状況なのかわかりませんが、OECDの重点項目に、「保育者の権利」が挙げられています。私も、私が提案する「見守る保育」の重点項目の9番目に「保育者は、子どもに奉仕をしたり、世話をする人ではなく、一人の人格を持った人として子どもと共に生活すること。」ということで、保育者の人権をあげています。

 少し前にスウェーデンから園長先生と研究者が見えたときに、「日本の保育園を訪ねて、胸が痛むことがあります。それは、赤ちゃんの食事の世話をするときに、保育者が赤ちゃんが座るようにとても小さい椅子に座っていたり、床に正座して赤ちゃんに食事を与えている姿を見る時です。」この指摘は、私は必ずしも当たっているとは思いません。養育者が床に座ってローチェアーに座っている赤ちゃんに食事を食べさせているのは、日本の畳の文化で、欧米では、椅子に養育者が座ってハイチェア―に座っている赤ちゃんに食事を食べさせているのと同じだからです。しかし、確かに最近では、若い人は畳に正座して食事をする習慣は家庭ではなくなっているのですから、園でも椅子の生活の方が楽かもしれません。

 よく、園で「子ども主体」ということは言われますが、では、「保育者は客体」なのかというとそれは違います。人と人との関係では、どちらかが主体でどちらかが客体であってはいけないのです。ですから、逆に「赤ちゃんは何も自分ではできない」からと言って、客体であってもいけないのです。

 ドイツでは、赤ちゃんのおむつ交換台が高い位置にあり、そこに階段がついていて、赤ちゃんは自分でその階段を上っていくということをよく話しますが、それは、赤ちゃんの自立を促すというほかに、保育者の腰を守るということもあるようです。かなり昔ですが、北欧に行った時に見せてもらったおむつ交換台は、電動で交換台が下がり、赤ちゃんがその上に乗ったら上まで動かして替えるというものでした。これなどは、明らかに保育者の腰を守るというためでしょう。

同じように、調理室の調理台はかなり高いものですし、子どもと食事をする保育者は大人の椅子に腰を掛けていました。ただ、これは文化の違いでしょうが、保育中に保育者がリンゴをかじりながら子どもを見ていたり、足を投げ出しているのを見ると少し違和感を感じます。また、赤ちゃんのベッドサークルを見ましたが、日本のように柵が下がらないので、赤ちゃんの出し入れにかなり腰に負担がかかるのではないかと思いました。

このように、働きやすい職場づくりを心掛けてはいるのですが、保育者不足には頭が痛いようです。それには、給料面の処遇の低さが大きな理由の一つではあるかと思いますが、私は、もっと根が深い気がしています。それは、少子化と関連があるように思います。ドイツでも、日本以上に少子化です。家庭で育児をするようにとかなりの優遇措置を取っていますが、少子化は留まるところを知りません。それは、無条件に、自分のことは差し置いても赤ちゃんの世話をすることが次第にきつくなってきたということもあるのではないかと思います。少子化が始まり、自分が大切にされ、自分が好きなように生きてきた女性に、1日中赤ちゃんの世話をするということが負担になり始めているのかもしれません。