ドイツ報告2013-13

 ドイツをはじめとして、海外の保育室の装飾には写真を多用します。その代りに、クマさんや犬などが擬人化された装飾は少ないようです。それらは、例えば昨日紹介したアメリカのテルマ氏らが著わした「保育環境評価スケール」における評価項目を見ると、日本と少し違うところが見えます。それは、ドイツで見た環境が同じ考え方であることがわかります。この評価の「乳児版」で見てみます。

 「日常のケアのための家具」の項目に、「とてもよい」という評価項目に、「子どもに接するのに快適な大人用の椅子がある」そして、その説明には、椅子に変わる例えば大きなブロックなどに座り、それを保育者が具合が悪いと感じていなくても、そのような間に合わせのものではなく、きちんと大人用の家具が求められるとあります。それは、今回のブログでも取り上げた「保育者の人権」を守るということです。

 また、ドイツのどの部屋にもある「くつろぎ空間」についても、「安心して落着ける空間」の項目の「よい」に、「1日のうちほとんどいつも使える特別のくつろぎの場所がある」とあります。日本の保育室には、なかなかこの「くつろぎの場所」を見ません。しかも、この項目の「たいへんよい」という評価は、「特別のくつろぎの場所以外に柔らかなものに触れる場所がいくつかある」とあります。部屋のいろいろな場所に柔らかいものが必要とあります。それは、おもちゃだけでなく、柔らかい家具やクッションや敷物などが必要で、それにいつでも触ることができるようにすることが大切であるとしています。ドイツでも、マットとかソファーが置いてあるくつろぎの場所の他にも、いろいろなところにクッションが散らばっています。
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 また、「とてもよい」に「くつろぎの場所は本を読んだりその他静かに遊んだりするときに使われる」があります。多くのドイツの絵本ゾーンには、椅子とテーブルは置いておらず、マットが敷き詰めてあったり、クッションが置かれてあります。日本から訪れた保育者は、図書ゾーンにいすが置かれていないのを見て、「どうやって本を読むのだろう?」と思っていたようですが、私が、「ゆったりと座りこんで読むことが多いのですが、時によっては、寝っころがって読んだり、うつぶせになって読んだりしています。」というと、少しびっくりします。絵本を読むというのは、知識を得るというよりも、リラックスするという効果が大きいのでしょう。
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 保育室内の展示、装飾についてもドイツやアメリカでの基準は少し違うようです。アメリカの評価スケールの乳児版には、「最低限」として、「少なくとも3枚の色鮮やかな絵やその他の教材が子供のみ安いところに展示してある」とあります。どうも、日本人は、パステル調とか、淡い色遣いが好みのようです。特に乳児においてはそのような傾向がありますが、実は色鮮やかな色の必要があります。ですから、「よい」環境は、「たくさんの色鮮やかですっきりした写真やポスター、絵が部屋全体に展示してある」となります。昨年のドイツで鮮やかな色で統一された園を思い出します。
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 また、ドイツでは、壁面装飾以上に、天井からのつるし物が多くみられます。アメリカの評価でも「よい」環境に、「モビールやその他つるすものが、子どもの見えるところにある」とあります。それは、壁面装飾の多くは平面のものが多いことと、つるしたものは動きがあるからだと言います。アメリカの評価スケールを見ても、ドイツでの保育室の意味が解ってきます。
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ドイツ報告2013-13” への6件のコメント

  1. 「保育者の人権」、「くつろぎ空間」、「室内の装飾」と評価が具体的な内容として存在するのですね。これはやはり日本とは違う所ですね。ここまで、具体的な内容で評価基準があるとまた、違った動きが生まれてきそうです。「絵本を読むというのは、知識を得るというよりも、リラックスするという効果が大きいのでしょう。」本当にそうですね。「教養のために本を読みなさい」とか「教養のためにこの本を読みます」ということを耳にするとなんだか違和感を感じていました。もちろん、あることについて調べたり、勉強をしなければならない場合に本を読むことはあります。でも、やはり本への入り口は「この本を読んでみたい」や「本を読んでいる時間が好きなんです」という思いであるような気がします。私がそうなだけかもしれませんが。と、なんだかかなり方向がズレていますが、藤森先生の言葉から変なスイッチが入ってしまいました。申し訳ありません。

  2. 色鮮やかな壁面に天井装飾、大人用の椅子も、評価スケールにしっかりとのっとったものであるところがすごいですね。「絵本を読むというのは、知識を得るというよりも、リラックスするという効果が大きい」というように、日本での“目的”が諸外国では違った意味を持っているというのは、やはり文化の違いなのでしょうか。一口に“文化”と言ってしまうのは違う気もしますが、なかなかそのような考え方を持てないのは事実です。しかし、ひとつ言えるのは、発信は「子どもの姿から」というところではないでしょうか。「絵本を読んでいると、なんだかリラックスしてるなぁ」「天井のゆらゆらを見てることが多いなぁ」など、子どもの姿が基本です。そのためにも、絵本の近くにはリラックス出来そうな素材を置かなくてはなりませんし、天井にも何かを吊り下げてみなくてはわからないことです。素材の多さには、「子どもは何に興味を持つのか」をしっかりと受け止める、可能性を保証する意味合いを感じます。

  3. 保育環境評価スケールは幼児版ばかりで乳児版はあまり目を通していませんでした。乳児版に書かれていることも、こうやってみると大事なことばかりですね。何もできない存在として乳児を見ていると絶対に出てこない考えだと思いますが、やはり世界の考え方は違うんですね。くつろぎの空間にしても、必要な色彩にしても、昨日のブログに出ていた家族の写真や手形などにしても、乳児が過ごす環境として考えなければいけない事はたくさんあります。なぜそのような環境が必要なのかというところから、丁寧に考えていく習慣が必要なんでしょうね。今勉強会でも乳児を取り上げているところですが、このような視点からの話ももらい上がってくれば嬉しいです。

  4. 保育室の環境を考える時には今までの固定概念を壊さないと、新しい発見は出来ません。まず大人用の椅子を乳児の部屋に置くという発送はなかなかありません。それも「保育者の人権」を守るという意味は、保育士という職業を重要視しているように思います。そして装飾に関しても同じです。どうしても壁面装飾を考えてしまいがちです。私も実際に働くときに装飾というのは壁にするものを思っていたので、天井から吊るすという発想は全くありませんでした。更には本を読むスペースです。椅子に座って本を読むというイメージからマットやソファーの上で寝転がって本を読む。ブログにも書かれていますが、知識を得るという事でなく、リラックス効果を子どもに与えるという考え方も新鮮です。やはりドイツ報告を聞くと、自分の園の環境を見直すのにとても刺激になります。

  5. 保育室の環境を聞いていると、その考え方の違いがよく見えてきますね。比べるとどれだけ日本の保育環境が固定概念で作り上げられているのかということを感じます。よく聞かれるのが「今までが・・」といったようにそこに根拠なく、今までの通説によって環境を作ることが多くあり、まだまだ、「環境を通して・・」という部分は深めていくことが必要であるように思います。「くつろぎのスペース」や「天井のスペース」環境として活用できるところはいろいろとありますが、そのコーナーやゾーンをどういうために意味のあるものにするか、子どもたちの意欲のでる環境にするか、今後ともしっかりと模索して、考えていくことが必要ですね。

  6. 本年のドイツミュンヘン保育施設研修もいよいよ明日から始まりますね。まぁ、明日は一日移動日ですから、実質は明後日から本年分の報告が頂けるものと楽しみにしております。そうすると、私のコメントもいまコメントしている昨年分と本年分とドイツ報告へのコメントになりますね。これもまた楽しみ。どんなシンクロニシティを経験できることでしょうか。それはさておき、テルマさんの評価スケールをドイツの施設に当てはめて考えると、いろいろなことがよくみえきますね。今回のブログで紹介された「大人の椅子」のことは本当にそうだと思います。子どもたちはテーブルとイスにつきながら、その横で保育士さんが床に正座して食事の場にいる動画を拝見することがありますが、確かに違和感を感じますね。子どもが椅子に座っているのなら保育士も同様に大人用の椅子に座ってほしいと思います。大人の行動がモデルになるとすると、床に正座ではモデルになりませんね。

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